表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者「魔王倒したし帰るか」  作者: 湯葉
僧侶の手記
42/50

155ページ~158ページ

 私たちは人であることすら許されないのか。



     ◆



 自国の王は支援を断った。

 物価の安い私たちの国と、物価の高いこの国とでは、財布の中身が天と地の程も差があるらしい。


 それでも勇者は必死に支援を申し出、断られ、温情を申し出、断られ、幾度も幾度もこの国と自国を行き来した。

 そして出された二つの国での妥協案。


『僧侶、魔法使いの二人の身柄を売り渡す』


 魔法が盛んなこの国では、私たちの存在は貴重らしい。

 今後、定期的な魔物や魔法に関する資料の提出。及び、冒険が終わった際の身柄の所有権がこの国の出した条件であり、自国の王はその条件を飲んだ。


 彼らにとって、私たちなど物でしかない事を理解した。


 誰を恨めばいいのか。何を恨めばいいのか。

 物に何かを恨む権利など無いのか。



     ◆



 大量の物資を譲り受け、国を挙げてのパレード。

 出立する私たちがここまでの扱いを受けたのは初めてかもしれない。


 みんな、張り付いたような笑顔で民衆に手を振っている。


 国を出ると、それまで笑顔だった王の兵たちは私たちを見もせずに引き返して行った。

 私たちも彼らを見送ることなく、国を後にした。



     ◆



 次に向かうのは英雄の国。

 いくつもの街から英雄が集まる国。

 幾度も魔物の進行を退けた最後の大国。


 彼らは何を思い、誰のために戦っているのだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] これほどの事を仕出かしておいて、冒頭の帰還した勇者へのあの態度である
[一言] 人を物のように売り買いする国王達は、人間の国なのか?魔物よりも魔物な国なんだろう。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ