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勇者「魔王倒したし帰るか」  作者: 湯葉
僧侶の手記
28/50

102ページ~106ページ

 この国の王がいるという港町へ到着した。

 入国は実にあっさりと終わり、拍子抜けしてしまう。


 宿に入り休んでいると、この国の兵が現れ、明日の謁見を命じてきた。


 明るかったみんなの表情が一転して暗いものになる。

 いつでもこの国から逃げられるように、荷物だけはまとめておこう。



     ◆



 翌朝、兵によって案内された城は驚くほどに小さいものだった。

 故郷の城どころか、砂漠の国の城よりも二回りは小さい。


 更に、王の姿にも驚かされた。

 私とそう歳の違わない女王。それがこの国の王。


 謁見はあっさりと終わり、私たちは数日の滞在を許された。

 何か裏があるように思えて仕方ない。



     ◆



 街で食料や水、装備品を買い込んだ。

 様々な人が行き交い、活気が凄い。目に映るものは珍しいものばかりだ。


 買い物の際、いくつかの噂話を聞くことができた。


 海向こうの国との交易により、この国は豊かであること。

 女王は若くも思慮深く、民に慕われていること。

 砂漠の国の物価が上がり、そこからの交易品が品薄になっていること。


 次の目的地は海向こうの国になりそうだ。



     ◆



 海向こうの国へは、どうやっても船で行くしかない事がわかった。

 問題は、その為に必要な旅費だ。


 路銀の余裕が無い私たちは、女王へと相談を持ちかけることにした。

 せめて、旅費が貯まるまでの滞在を許されればいいのだが。



     ◆


 長期の滞在は許されなかった。だが、事態は大きく変化する。

 みんな戸惑うばかりだ。


 女王の目的がわからない。

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― 新着の感想 ―
[一言] 国民のために尽くす若い女王。交易の活発な港町は、魔物退治の一行には不似合い。勇者一行は、魔物を倒す道具なのか?女王は国民だけの幸せを願う?
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