表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者「魔王倒したし帰るか」  作者: 湯葉
僧侶の手記
22/50

73ページ~77ページ

 街を脅かし続けていた魔物の集団を殲滅したとして、街の中での私達は英雄扱いされた。

 産まれたばかりの赤ん坊を一度抱いて欲しいと赤ん坊の母親に言われたが、やんわりと断る。


 私たちは英雄なんかじゃない



     ◆



 勇者が次の街への出発を王へ進言したが断られた。


 もし命に反するならば、罪人とみなすとまで言われた。

 どうやら王は、私達を国の守り手とし、飼い殺しにしたいようだ。


 街で噂されている、隣国との戦争が近いという噂は本当なのかもしれない。



     ◆



 何処でも監視の目が光っている。

 精神的な疲労が溜まり、常に身体が重い。



     ◆



 勇者が街からの脱走を提案した。


 これだけの監視の中、気付かれずに逃げる事は無理だという事はわかっている。

 逃げれば罪人の烙印を押される事もわかっている。


 それでも誰も反対しなかった。

 どうせ、私達はとうの昔に罪人なのだから。



     ◆



 必要最低限の荷物をまとめ、深夜に逃げるように宿を飛び出した。


 監視者に見つかったのか、すぐさま街中に鐘の音が響き渡る。

 怒号と悲鳴が響き渡る中、私達は走り抜けた。


 途中、家の中から怯えた目でこちらを見つめる、名付けを断った赤ん坊を抱いている母親を目の端に捉えた。

 きっと彼女は、自分の子を英雄にしようなどとは思わないはずだ。


 どうかあの子が、普通の人生を歩みますように。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 勇者一行は、魔物退治の道具。あれば便利な毒薬。あんな者達にはなるな。あれは魔物と同じ。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ