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勇者「魔王倒したし帰るか」  作者: 湯葉
僧侶の手記
13/50

36ページ~41ページ

 街へ到着し、宿で休んでいると、勇者と戦士の部屋から怒号が響いた。

 慌てて二人の部屋に向かうと、勇者と戦士が取っ組み合いの喧嘩をしていた。

 魔法使いの身を案じる戦士と、先へ進むことを選択した勇者との間で意見が割れたためのようだ。


 魔法使いと協力し、どうにか二人をなだめる。


 勇者が外へ頭を冷やしに行った際、前の街で私が気付いたことを二人に話した。

 魔法使いは気付いていたようだが、戦士は唖然とした表情をしていた。


 これが不和を解く切っ掛けになればいいと心から思う。



     ◆



 目が覚め、隣の部屋を覗いてみると、勇者と戦士がテーブルに突っ伏して寝ていた。

 辺りに散乱する酒瓶を見るに、二人で夜通し飲み明かしたようだ。


 昼過ぎに二日酔いで目を覚ました二人は辛そうではあったけれど、顔は晴れ晴れとしていた。

 一つの山を超え、私たちの結束は深まったようだ。



     ◆



 街に滞在している間、各自で仕事を請け負うことにした。


 勇者と戦士は街の近くに根城を持つという盗賊団を捕縛する仕事。

 私と魔法使いは街の教会で蔵書の管理の手伝いだ。


 不思議と冒険の旅よりも充実している気がする。



     ◆



 勇者と戦士が戻ってきた。


 報酬はそれなりの額があったらしく、豪勢な食事を取ることができた。

 どんな事があったのか二人に尋ねると、口を揃えたように「大したことはしていない」としか返してくれない。



 何故か胸に嫌なものが広がる。



     ◆



 路銀も増え、次の出発を明日に控える事になった。


 買い出しの際、広場に貼り出された立て札が目に入る。

 盗賊団が壊滅したらしい。


 冒険者の手によって首領以外はその場で殺され、首領も本日、縛り首になったということだ。

 淀んだ目で自分の手を洗い続ける勇者と戦士の姿を思い出す。


 私は、二人に何が出来るだろう。何が出来ているのだろう。

 ずっとそんな事ばかり考えている。

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― 新着の感想 ―
[一言] 冒険の旅なんかありえない。魔物胎児の仕事は戦いだ。そのためなら強盗団なんか魔物と同じだ。勇者と戦士は魔物を殺す。心も壊して魔物をコロス。
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