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勇者「魔王倒したし帰るか」  作者: 湯葉
僧侶の手記
12/50

30ページ~35ページ

 勇者が奇妙な葉巻を皆から隠れるように吸っていた。

 聞けば吸うとよく眠れるそうだ。


 私も吸いたいと言うと、勇者が悲しそうな顔をしたのでやめておくことにした。

 眠れないのは辛いが、彼に嫌われるのは耐えられない。



     ◆



 勇者が明るい顔で移動魔法を覚えたと言った。

 これで食料と水の問題はかなり緩和されるだろう。


 神は我らを見放してなどいなかった。



     ◆



 悪夢は見るものの、どうにか眠れるようになってきた。

 時間とは、神が与えてくれた免罪符なのかもしれない。



     ◆



 勇者が旅の再開をみんなに伝えた。

 正直、気が進まない。だが、彼は勇者だ。私たちの中心だ。

 戦士や魔法使いも不満はあったようだが、結局、明日出発することになった。



     ◆



 荷物をまとめ、出発の準備をしていた際、随分と荷物が減っていることに気付いた。

 その減っている荷物の中に、勇者が大事にしていたいくつかの品が無いことにも気付いた。

 彼に言うと、困ったような顔で「無くした」と呟いた。


 ようやく私は理解した。

 本当の商人でもない私達が、長期に渡って街に滞在するという事の現実を。

 金銭は無限などではないという事を。



     ◆



 次の街までの行程は順調に進んだ。

 だが、私の心は重い。

 勇者と戦士の間にも、以前のような気安い空気がなく、常に張り詰めた感じがする。


 私たちは一体、何のために旅をしているのだろう。

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― 新着の感想 ―
[一言] 我々は旅をしているのではない。魔物を倒す戦いをしているのだ。そのためには全てを差し出す必要がある。我々は悪くない。悪いのは魔物だ。
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