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24 宿を探そう

ちまちま書いていたせいか同じようなこと何回も書いてる気がする······

 また街を探索して起きた翌日(その日)、なんとなく程度だけど王都の立地とかは分かった、というか頭に叩き込んだ。

 これから住んでいく土地なんだからしっかり覚えないと。


 今のところ他の土地に行こうという気はない。

 ゲームでも始まりの街、村といったステージが用意されているのであれば、適正レベル等が極端に高かったりしない限りは人との会話とか探索を含めてほぼ制覇するタイプなのだ。


 ほぼというのも一部のゲームであったりする、余りにも完璧に隠蔽されたものだったり、4、5個以上の特殊な条件が重なった時だけ発生する〜〜となると流石に出来ないからだ。僕は攻略サイトとかは読み込まないからね。


 村にいた時に敵として倒したモンスター達は強いとは思えど倒せない訳では無いし、そこまで苦戦する程でもない。せっかく来た異世界、すぐ死ぬのは嫌だからわざわざほかの土地に行って強いヤツと戦う!なんてことはしない。


 思考が少し逸れてしまった、今は宿探しだ。

 安くてご飯が美味しくて広いスペースがあって出来れば他人の目が通りにくくてお風呂があって······いやこれはなくてもいいか、村には元々無かったし。ベリアが魔法の練習と言ってお風呂を作っていたみたいだけど僕は知らなかった。羨ましい······


 僕も風呂には入りたかった······でも女性(ベリア)にお風呂を頼むのもアレだし僕が異世界から来てるってすぐ思われそうだし······


 頭の中で『お風呂に入る』と『女性にお風呂をお願いする』『異世界から来てるってバレる』とを天秤にかけると、後者が一気に落ちて、『お風呂に入る』がどこかに飛んで行った。

 ······うん、お風呂は無くていいや、井戸や川で洗える。冷たいけど。




 宿の中に忘れ物がないか確認する。今日この宿を出るのだから当たり前のこと、勉強道具を忘れられたら嫌だからね。

 宿を出るとは言ったけど、それは同時に2人と別れることを意味している。


「次会うとしたら何年後かな?」


 2人は寮生活だし、あれだけ大きな敷地があったら小さな商店街とかはいくつもあるだろう。入ったら外に出る可能性がないこともない。


「いつでも会えるだろ?外に出らダメって言われてねぇんだし」

「そうそう、それに服とか街に出ないと買えないしね」


 そう言う2人は笑顔だ、これからの学園生活を想像して胸を膨らませているんだろう。


「そう······だね」

「3年間通ったら私も冒険者になるから、その時は誘ってね!」

「俺もなるぞ!」


 3年経ったら学園を卒業しているから、ベリアはその時に冒険者になるようだ。

 ルイスもなるって言ったけど、騎士になるんじゃなかったっけ?

 ん?今なにかピッと来たような······なんだろう?


「じゃあ僕は入ってくる2人に何でも教えれるように頑張るよ」

「言ったからね!死んじゃダメだよ、約束!」

「もちろん、死ぬのは嫌だよ」


 ベリアが少し恥ずかしそうに小指を出してきたので、僕もその指に小指を絡める、指切りげんまんだ。

 村にいた時からやっていたことだ。最初はベリアが始めたけど、いつしか約束事の時は村中の皆がやっていたっけ。


 もちろん、ルイスとも指切りげんまんをする。

 お互い自分の夢を、叶えるために。




 僕は学園にはついていけないので、冒険者ギルドへと続く道で別れることにした。

 鼻の内側から痛みを感じながら、2人に手を振り続けて別れた。2人も見えなくなるまで振り返って手を振ってくれた。


 本当に、こんな別れ方で良かったのかな······

 冒険者という職業上、いつ死んでしまうかは分からないのだ。いつも元気いっぱいでいても、死ぬ時は死ぬのが人生ってどこかで見た気がする。

 とはいえ、この世界だと殺人とかテロ行為、戦争とかがいつ起きてもおかしくない訳で、そういう意味では誰もが危ないのだ。

 もう2度と会えないかもしれない。


「─────っ!」


 パチンと平手打ちの音が脳にまで響く。自分で思いっき両頬を叩いたからだ。


 叩いたおかげで、少しネガティブな思考が薄らいでいく。


「そんな訳ないだろ?村にいた時だって、早々に死ななかったんだ」


 約束したじゃないか、絶対3年後に会うって。

 それに、ベリアやルイスの強さなら、村の森にいたモンスターは1体だけなら相手をすることになっても勝てると思う。

 出発前夜のベリアみたいに、相手が複数居たら分からないけどね。


 ヒリヒリと痛みがさす頬を押さえながら息を吐く。

 戦争だっていくら戦いが日常の一部とて常にどこかがずっと戦争している訳でも無いはずだ。それに戦争になったら皆始まる前に分かるだろうし、学園って言う限り避難場所とかにもなるくらい頑丈だったり守りは硬いはず。


 そうなると僕の方が先に逝ってしまう可能性が高くなるかな?ならどうするか、そんなもの──────


「強くならないと」


 強くなるしかないんだ、約束を守るために。自分も勿論そうだけど、2人が危険な状態になってしまった時でも守れるように。

 他の人と比べて段違いに強くなるまで、頑張らなきゃいけないんだ。


 その為にも─────


「レベリング、かな」


 強くなるには3種類の方法がある。


 1つはレベリング

 これは言わずもがな、レベルを上げてそれで上がった諸々のステータスで強くなる方法。所謂『レベルを上げて物理で殴る』パターンだ。

 やったことのあるゲームの中にレベルが上がるとスキルポイントだけ貰えて、それをステータスやスキルに割り振るようなゲームもあったけど、この世界でそんなもの聞いたことも見たことも無いからこのパターンは無い。

 この世界に来た時と比べると歳を重ねる成長以上にステータスが伸びているのは明らかだ。じゃなきゃルイスとの模擬戦で数瞬で間を詰めるなんて出来やしない。


 2つ目は鍛錬

 言い換えればスキル習熟でもあり、スキレベ(スキルレベル)上げである。

 大体のゲームではスキルレベルの概念があって、勿論レベルが高い方が強かったり追加効果があったりする。

 この世界でもスキルレベル的なものがあるのはベリアや父さんのステータスで確認済みだ。スキル名の後に『極』とか『改』とか書かれていて、詳しくは分からないけど強いことは確かだ。

 ······ここまで言っておいてなんだけど、自分のスキルレベルどころかどんなスキルを持っているかさえ分からないから何の意味もないっていうね。


 最後に装備

 ゲームによっては武器なんかどうでもよくて、自身のステータスさえあれば武器は何でも良かったり(武器は自身のステータス上げるだけのもの)することもあるけど。ここは現実の世界(ホントの異世界)だ。切れ味の善し悪しはあって、耐久度も違うし、武器によって相手へのダメージがもちろん変わってくる、実際そうだった。

 それならならどんな武器を持つのがいいのかな?異世界らしくミスリルを素材に使った武器とかかな?それとも魔法でつくられた武器だったり?

 ······なんて妄想してても何も変わらないか。今よりもいい武器、またそのさらにいい武器を見つけていかなくちゃ。

 今のところは切れ味とかダメージ量的には問題ないんだけど、環境や敵が変われば武器も変えなくちゃいけない。



 ······と言った感じで、消去法的に強くなる方法はレベリングしかない。

 いかんせん自分のステータスが分からないから、進捗だったり目安・目標とかは分からないけどね。




 ならば敵を倒そう、ついでにクエストを達成出来たらランクも上がって一石二鳥だね······という考えで依頼板に貼られたクエストを見に来たけど、ここらにはキング○○といった強そうな名前の魔物は貼られていない。

 おそらく周りの森の中にいる魔物が全体的に弱いのだろうか?それとも弱そうな名前ってだけで本当は強い魔物がいたりして?


 なんにせよ強い魔物がいないのはいい事だ。ゲームならば数回乙ってでも効率のいい経験値稼ぎを見つけるけど、1乙した瞬間終わりだし検証に必要な経験値の数値も見えないので、長時間かけてもいいので死なずに成長するのがいい。


「あっ」


 すっかり忘れてた。今日のうちに宿屋を見つけないといけないんだった。


 とはいえ、この王都の宿屋は大体見て殆どが庭のようなスペースが無いし、あったとしても高くてクエストを毎日数個やってようやく宿代が払えそうなくらいだ。

 そこに武器防具やポーション類、服代が加わってくるのでお金が足りなくなるのは目に見えている。


 ランクを上げればその分報酬をも増えるのでそこに泊まることもできるけど······僕の異世界センサー(つまり直感)が『それは何か危ない気がする』と言っているのでランク上げはぼちぼちやっていこうと思う。クエスト(お手伝い)をしてお礼を言われると嬉しくなるしね。


 ぼちぼちやっている間にレベリングのためにそろそろ王都周りの森に行きたいかなぁ、どんなモンスターが居るんだろうね、銀のスライムがいて欲しいな。


 ここに来る時、城門をくぐるためにステータスプレートで犯罪履歴が有るか無いか見ていたけど、ギルドカードでも通れるみた······い······


 ん?今頭の中でいいアイデアというか、大事な記憶がこう、思いついたような思い出したような······あぁ消えていく······


 こういう時は同じ思考を繰り返すと思い出せるときがある。

 どこだろ、レベリング······森······いや違う。じゃあ城門······ステータスプレート······んん!?


「そうか城門!」


 もっと正確には城門の外!王都から溢れ出た建物の中に、宿とかあったりしないかな······?


 そうと決まれば早速!






 城の外に出て驚いた。


「今日捌いたオーク肉の串焼きだ!3本銅貨2枚!」

「野菜はいるかー」

「各種ポーション取り揃えてるぞー」


 来た時は城壁とかその中に気を取られて気づけなかったけど、城壁に守られている訳でもないのにここに各種店が集まっているのだ。

 まるで新たに街が出来たかのようだ。


 さらに中と比べると掛け声か呼び声か、それが多くて中より活気があるようにも思える。明らかにポーションなんて呼ぶ必要なんてないと思うんだけどね。


 よく見てみれば、どの店も看板らしきものがない。確かにこれだと声を出さないと何の店かも分かりはしないけど、看板を掲げたりは出来ないのかな?規則で『看板を掲げることは出来ません』って決まっていたり?


 少し活気に気圧されながらも、宿を探すために建物を1つ1つ見ていく。

 看板がないだけで探すのが困難になってしまう、今も民家を宿屋と勘違いしたみたいに。

 んー宿屋······あるかなぁ。

 武器防具店、食料品店、ポーション屋、食事処と来れば宿屋もあるとは思うんだけどね······中々見つからない。



 ふと考えを思いつく。

 ······宿屋って声かけとか今はあまりしないはずだよね?こんな真っ昼間から声掛けしても、夜間にその人が来るとは限らないんだし。つまり──────


 アイデアは行動に、見つからなくとも最悪安眠亭に戻ればいいだけだ。部屋が空いていたらだけど。


 声かけには耳だけ傾けておき、逆に家の前に誰も立っていない建物を重点的に見る。窓も扉も全部閉まっているところは大抵民家なので、そこもスルーで。


 城門へと続く道には宿屋が無かったので、今度は城壁に沿って建物を見ていく。


 おっ、こんなところに薬草店······薬草店?ポーション屋じゃなくその素材状態ね······そんな店もあるんだ。


 あっちには······解体屋と。ふむ、狩った獲物を解体してくれるんだ。確かに、討伐証明にその獲物の1部が必要ならそういう専門の場所に任せた方が確実に切り取れるだろう。今もガタイのいい人2人がずんぐりむっくりな体に鳥頭がついたモンスター?を担ぎ建物へと入っていく。かと思えばすぐに出てきて、今度は縄で縛った小さな鳥を両手でたくさん持ってまた建物へと入っていく。


 そんなに往復するなら魔法の袋を使えばいいのに······と思ったけど、よくよく考えたら4次元収納(そういう魔具)って高価なもののはずなんだよね······それを2つ持ってた父さんがお金持ちだったって話か。冒険者ってそんなに儲かるのね······おっと、つい口角が上がってしまっていたみたいだ。


 もしそうだとしても、今のランクじゃその足元にも及ばないわけで。早くランク上げないとね。


「ん、こんなところにもレストランがあるんだ」


 解体屋から1棟とんで他よりかは少し大きな建物が建っている。城門の道からは外れているけど人は来るのかな?


 ······あーなるほど、レストランに解体屋ね。そっち優先で考えたのかな。


 となるとメニューが他に見ないような物だったりしそうだ。看板にメニューらしきものが書いてあるけど、ちょっと見てみようかな。




「······いや普通じゃん」


 てっきり内蔵とか特殊な部位を使った〜〜って考えてたんだけど、『ボアのステーキ』や『スパロウ(スズメみたいな小さな鳥だったはず)の丸焼き』といったごくふっつーのメニューが書かれてた。


「いらっしゃいませ!食べますか?」


 看板を凝視してたところに元気な声がかけられる。

 声の方をむくと長めのスカートに白いエプロンをつけた人が立っていた。

 声的に女の子······あと腰の位置的に身長が僕より低そうだ。


 朝から時間も経ってお腹がすいてるから。何か食べようかな。


「あっ、た、食べ、ます」


 ······何子供相手にキョドってるんだよ僕。






「うま」


 このうまは材料的な『馬』という意味ではなく、不意に口から出た『美味しい』の方だ。


 店に入って恐る恐る注文した『スパロウの丸焼き』だが、1口食べただけでわかる美味しさだ。

 内蔵とかは綺麗に取り除かれているから臭みや苦味はなく、表面がパリッとして中まで火が通っている。それにパサパサしていない。


 欲を言えば胡椒が欲しいところだけど、胡椒がテーブルの上に置かれるほどありふれた調味料じゃないから諦めている。

 このソース色のタルタルソースが肉の味に奥深さ?を足している気がする。


「美味しいですか?」


 心の中でうまうま言いながら食べていたら、さっきの子が笑顔で聞いてくる。


 フードは入った時に脱ぐように言われた。なんでもお父さんがフードを被った人が嫌いらしい。過去に何かあったのだろうか。


「美味しいよ、それに安いからしばらくの間お世話になろうかな」


 僕はそう言いながら、彼女に微笑む。


 ······何故キョドっていないかと言うと、無理やりキャラを作って、そのキャラになりきっているからだ。

 作ったのは『相手の目を見て笑顔を振りまく主人公っぽい誰か』、後で恥ずかしさで悶えるのは目に見えている。

 今は他のことを考えまくって気を紛らわせよう。······看板娘、将来は絶対美人になりそうだなぁ、宿屋どうしようかなぁ······


「それなら泊まっていく?」

「······ん?」

(文章的に)おかしなところがあったら言ってください

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