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2 ある5月のことです

どうしよう

目標を超低く設定したのに、その通りになっちゃってるよ

ジリリリリリリ……


「うぅ、うーん」


 目覚まし時計の音で、僕はベットで目を覚ます。


「……やっぱり夢か……」


リリリリリリリ……


 やっと体も動いてきて、枕横の机の上に置いている目覚まし時計を叩く。


リリリッ、リッ


 少し叩く力が強くなって目覚まし時計が机から落ちてしまったが、入学祝いで変えたばっかりなので、そうそう壊れることもないだろう。

 昨日は遅くまでソシャゲをやっていたから、頭が全然動かない。ついあくびが出てしまった。


「教科書、ノート、小説、筆記用具、メモ帳、っと。よし、全部あるな。」

一也(かずや)、出来てるよー」


 今日の持ち物を確認していると(小説は暇つぶしのためだ)、階下から、母さんが朝ごはんができたのを知らせてきた。


(今日は焼き魚だな)


 朝ごはんのメニューを香ばしい香りから予想しながら、階段を降りて食卓につくと、今日の朝ごはんの焼き鮭と豆腐の味噌汁、ほかほかのご飯が待っていた。


「やっぱりうまい!」


 焼き鮭の塩加減が丁度いい。ご飯が進んでしまう。ついおかわりを2回してしまったのは仕方がない。

 世の中には朝ごはんを食べない人がいるようだけど、なんでだろう?こんなにも美味しいのに。


「一也」


 味噌汁を飲んでほっこりしていると、母さんが話しかけてきた。


「もうすぐGW(ゴールデンウィーク)よね」

「もうすぐじゃなくて、明日からだよね」

「私、旅行に誘われちゃって、GW中は家にいないから留守番しててね〜」


 音符どころかハートマークがつきそうな喜んだ声で言ってくる。『キャピ』と擬音語が付いてもいいぐらいだ。歳が歳だが。

 家族みんなで旅行に行くことがほとんどないから、よっぽど嬉しいんだろう。

 気になったので聞いてみた。


「誰から誘われたの?」

(ひろ)さんからよ〜」


 母さんの声はまだ元には戻っていない。

 母さんの言う広さんとは、僕の父さんのことだ。


「またそれはお熱いことで……」

「そうよ〜、熱いのよ〜、ラブラブなのよぉ〜」


 いつもクールな母さんが体をくねらせている。ダメだ、熱すぎて母さんが壊れてしまった。

 非リアの俺には眩しすぎるので、この話は続けなかった。


「ごちそうさま」

「ねぇ一也」


 母さんがさっきまで惚気けていた口調を直して聞いてきた。


「なに?母さん」

「学校は楽しい?」


 母さんが笑顔で刺さる言葉を投げてきた。僕が小心者で、中学生の時にクラスに馴染めなかったことが気になっていたのだろう。いじめとかは起きなかったけど。


「楽しいっちゃ、楽しいよ」


 僕は精一杯の笑顔でそう返す。実際、授業にはついていけるし、余った時間に小説を読むのは良い。


「ふぅ〜ん、楽しいっちゃ、ねぇ」


 母さんは、僕が濁したところを的確に突いてくる。

 濁したと言っても、周りの話についていけなかったり、ほとんどクラスメイトと話してないだけなんだけど。


「い、いってきまーす!」


 僕は逃げるように、カバンを掴んで外へ出た。





 学校へ歩いていると、不意に夢のことが頭の中に出てきた。最近、毎日見るようになった夢だ。

 しかも毎回シーンが違って、今日は水に突き落とされる夢だったが、この前は銀髪の人と鎧を身につけた人が話し合っている夢だった。

 でも、妙に感覚があって、夢というよりかは――――


「……記憶?……なわけないか」


 考えついたありえないことを、頭の隅に追いやる。僕は荒田一也(あらたかずや)であって、銀髪の人や赤髪の人なんて見たことは無いし、盗賊団や魔法だといった言葉を使うことなんてない。それに、家だってシャンデリアとかついてないし。

 考えれば考えるほど謎が深まっていくばかりだったので、僕は考えるのをやめた。





 キーンコーンカーンコーン

 授業の終わりを告げるチャイムが響く。


「はい、それじゃあ今日の授業はここまでだ。GWで忘れんじゃないぞ」


 そう言って、先生が授業を終わらせた。内容は、次の授業開始までに、ノートをちらっと見たら思い出せるから大丈夫だ。

 周りを見ると、もう既に鞄を机の上に置き、いつでも帰れるようにしている人がいた。まぁその中に僕も入っているのだが。


「……?」


 頭の中で、ノイズのような音が響いた。きっとスピーカーの調子が悪くなったのだろう。





「ただいまーっと、なんだこれ?」


 家に帰ると、テーブルの上に置き手紙があった。半分に折られた紙を開けて中を見る。

 そこにはこんなことが書いてあった。


『一也へ

 一也が学校へ行っている間に広さんが帰ってきたから、そのまま旅行に行っちゃうね

 お金は机の上に置いておくから、GWの最終日に帰ってくるから、計画的に使ってね

 余ったらそれは一也のものだから』


「父さん……頑張るな」


 帰ってきて疲れているはずなのに、そのまま旅行に行くなんて、体力持つのかな?

 手紙には、使わなかった分、貰っていいってことが書いてあったから、出来るだけお金の消費を少なくしてGWを過ごそうか。

 そうなると……


「寝るか」


 寝て食事1回分を浮かせることにした。冷蔵庫の中には、サラダや生姜焼きの材料はあったが、今作るのが面倒くさいから、寝ることにした。

 ふかふかのベットに顔を埋めると、睡魔が襲ってくる。僕は襲われるがままに、眠りについた。

更新頻度あげるように頑張ります

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