10 5歳になりました
月初:かなり期間空いたので、変なとこがあれば遠慮なく言ってください!
ヴォル:こんな期間空いてるのに読み続けてる人なんていないだろ⋯⋯
月初:⋯⋯
○●○●
「ヴォル、今日のサラダにする分の野菜を採ってきておくれ」
「分かった、母さん」
外に出て、父さん母さんの畑に野菜を採りに行く。
サラダな用の野菜なら向こうの方の畑かな?
「ヴォル君、おはよう」
「おはよう、おじさん。今日も畑を耕すの?」
「そうだよ。ヴォル君は野菜を収穫しに来たんだろう?」
「うん、サラダにして食べるんだって」
畑に着くまでに隣(といっても畑2つ挟んでだけど)に住んでいるおじさんに声をかけられた。
おじさんはここ数日毎日鍬を持って自分の畑を広げていて、朝から晩まで鍬を振っている。
あまりに長いことやり過ぎて1度奥さんの怒鳴り声が聞こえたくらいだ。
おじさん曰く、鍬を振っている間は無心になれるとか。
ちなみにおじさんが僕が野菜を採りに来たのが分かったのは、僕がいつも野菜を入れている籠を持っているからだ。
僕が拾われてからもうすぐ2年が経つ。
正確な日数なんて分かりはしないけど、誕生日のお祝いが2回あったからきっと2年経ったということなんだろう。
この世界の子供の成長は早いようで、5歳ともなると身長が関わらない限り殆どの家事や畑仕事ができるようになる。
あれから毎晩起きては体を鍛えて、疲れて眠って朝が来るの繰り返しの生活を送って、筋肉がついてきたというのもあると思う。
走ったり筋トレしたり体を動かしたり、たまに村の近くに来るスライムやゴブリンのような見た目のモンスターを観察したりした。
全部漫画で読んだものとと大差ない見た目だった。
ゴブリンは森の方からは殆ど出てこないのだが、スライムは自由に動き回っていて、たまに村の外にはぐれたようにポツンといることがある。
そいつに向かって石を投げても大して効いている様子もなく、最初は肩が痛くなるまで投げてやっと倒せた。
倒した時にあのゼリーのような部分が無くなっていくのでわかりやすい。
出てくるスライムの種類は多くて、大きいものや小さいもの、当たり前の青色や遭遇数は少なかった緑色、たまに鋼色のスライムも見かけた。
このスライムは他のと比べるととても硬く、中にある核みたいなものが外に出ている時を狙って石を投げてやっと倒せる。
中にあるそれはスライムの弱点なのか、他のスライムでも当てるとすぐに倒せた。
でもって、RPGゲームに出てくるメ○ルスライムよろしく経験値があるようで、倒した後に体がすごく軽く感じた。
そういったことが何回かあったので、今の僕は他の同年代の子よりもレベルが高いと思う。実感はないけれど。
早く自分のステータスが知りたい。今も体がうずうずしている。
僕が夜に家を出ているのは父さんたちには話していない。
それと、父さんは狼人族で他の人より耳がいいので、僕が夜に外に出る音で起きてしまうのか心配していたのだけど、毎日父さんは耳栓をして眠っているそうだ。
前に耳栓をせずに寝たらうるさ過ぎて眠れなかったと愚痴っていた。
そんな感じで日々を過ごし、ついにアレの時がやってきた。
「なんで俺たち集められたんだ?」
テーブルを挟んで向かいの席に座ったルイスがそう言う。
今ここには僕、ルイス、ベリアの子供3人とそれぞれの親が集まっている。
「何でって⋯⋯大事な話があるからだ」
父さんが含んだ笑みでそう言う。
大事な話ってなんだろう?
「大事な話って何なの?」
ベリアも首を傾げて分からないジェスチャーをする。
ちらりと目線をこちらに向けてきたので、肩を竦めて分からないことを示す。
僕も分からない。
父さんを見ても⋯⋯父さん?笑ってない?肩が小刻みに震えてるよ?
テーブルの周りに立つ親たちは何も言わない。
ただ、父さんとは違ってどこか悲しそうな雰囲気がある。
「お前たちはステータスを知っているか?」
「「うん」」
そう返事したのは僕とベリアだけだ。
ルイスはというと首をさらに傾げている。
「ステータス⋯⋯なんだっけ?聞いた事あるような⋯⋯」
「はぁ⋯⋯」
ルイスが首を逆側にひねった後ろでサマンタさんが頭を抱えてため息をつく。
教えたけど覚えていなかったといった感じだ。
「まぁ、もう1度説明するからちゃんと聞け」
ステータスの話は前にも聞いていたのだけれど、周りの大人たちから話を補充されながら話していたので情報量が多くなった。
まとめるとこうだ
・ステータスプレートというものに自分のステータスが表示される。
・そのステータスとは自分の名前、レベル、体力、魔力、武技、魔技、俊敏、技巧、スキルのこと。
・レベルはゲームと同じく、敵を倒すと経験値が入り、それに応じてレベルアップする。
因みに父さんたちはレベル40くらいだという。
・体力はゲームでいうHPのこと。もちろんそれが無くなると死亡する。
蘇生魔法や蘇生できる特定のアイテムはあるらしい。
だけど元々冒険者をやっていた父さんたちは蘇生魔法ができる人を見たことなくて、同じく蘇生できるアイテムも見たことないとのこと。
・魔力はMPのこと、魔力は0になっても死亡することは無いけど気絶はするそうだ。
それに加えて気絶から起きても1日は頭が痛くなる。
魔力切れには注意しないとね。
自分が魔力を持っているとは限らないんだけどね⋯⋯
・武技は近接戦闘力を示しているみたい。
剣にしろ弓にしろ、取り扱いに関している。
・魔技は武技の魔法版のこと。
魔力の扱いの上手下手、同じ魔法を使用しても質が違ったりする。
・俊敏は自分の速度全般のこと。
走る速度、攻撃速度に関係する。
・技巧は器用さのことで、手先の器用さはもちろん、武器の取り扱いやスキルの覚えやすさ、取得したスキルの熟練度が上がりやすくなる等がある。
どうして武技や魔技と一緒くたにされないのだろうか?
生産職の技術力がここに反映される感じなのかな?
・体力や魔力は『今の数値/最大数値』と表示されるけど、それ以外はアルファベットで表示される。
・アルファベットの最低はGで、最高はSである
・一般的な大人のステータスで最高Bが入るかどうかで、それ以外はCかDとなっていて、5歳の平均はF、才能があればCが出る。
「とまぁこんな風に、自分の能力が簡単に分かるんだな。どうだルイス?分かったか?」
と、父さんは胸を張りながら話した。
当のルイスはというと⋯⋯
「う、うん。わかっ、た?」
全然理解していなかった。
量が量だからね。
「ルイスに説明するのは後でいっか⋯⋯それでお前ら、ステータスってどこで見るか分かるか?」
父さんはルイスへの説明を止めて、僕達に聞く。
それはさっきの説明でも言ってたね。
「ステータスプレートで見れるんでしょ?」
答えたのはベリアだ。
父さんはその答えに満足そうに頷く。
「ステータスはこのステータスプレートで見ることができる。通常なら自分にしかステータスが見えねぇようになるから、他の奴に見せる時はいちいち見せることを考えねぇといけねぇからめんどくせぇんだよな⋯⋯」
ぶつぶつと言いながら父さんはどこからか銀色の板を取り出す。
大きさは手のひらに収まらないくらい。
通学の際に使っていた定期カードよりも大きい。
周りの大人たちも、手を伸ばす場所は違えど、その手には同じ銀色の板がある。
一体どこから出しているんだろう?
「今、どこから出したの?」
僕の疑問に父さんは口を開く。
「これはな───」
「これは自分が出したいと思ったら出てくるんだよ、こんな風にね。実はその事はステータスプレートを貰ってから話そうと思っていたんだけどね⋯⋯よく分かったね」
僕の質問に答えたのはベリアの父、ロットさんだ。
僕の顔に手を持ってきて、マジシャンがトランプを何も無いところから出すように、一瞬のうちにステータスプレートがその指に挟まれるように現れる。ゲームであるようなエフェクトやSEはもちろん無い。
「「「おおー」」」
僕たちが驚く声を上げると、ステータスプレートを目の前で出したロットさんはくすくすと笑う。
「こんな風にいつでもどこからでも出せるんだ。どうしていつでもどこでも出せるのかは皆分からないから、そこは訊かないでね」
なるほど、異世界特有の謎であり常識っていうあれですか⋯⋯
「んん"っ!」
父さんが咳払いをして注目を集める。
「それで、だ。5歳になったらステータスプレートを取りに行かねぇといけねぇ」
おぉっ⋯⋯これは⋯⋯
「だから明日、ビージアス王都に行ってお前らはステータスプレートを受け取ってもらう」
よっしゃぁ!
喜びを声に出さず机の下でガッツポーズを作る。
待ちに待った自分のステータスを知る時が来たんだ!
憑依の時にあった神様からはテスターとしてのスキルを教えて貰えなくてずっともやもやしていたけど、やっと分かるんだ!
「んでもって王都には俺も行くからな!お前ら大人しくついてこいよ!」
父さんが満面の笑みでこっちを向く。
僕達は笑顔で頷き返した。
その後ルイスは夜までステータスの勉強をしたそうな⋯⋯
※ステータス説明にレベルを追加しました
(なんで忘れてたんだろ⋯⋯)