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ギルドハイラズ 作者:語作り

アンデッドウォーリアー・ピラミッド編

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闇の中から骨の腕

大剣士ホッチと王道魔法使いパプル、新米召喚士モモと水と葉の妖精ペルピーのパーティーは、順調にアンデッドウォーリアー・ピラミッドの内部を進んでいく。

分かれ道は、パプルが正しいルートを教えてくれる。
彼女はダンジョンタワーで、アンデッドウォーリアー・ピラミッドの情報を調べてきている。
どこぞのCランクギルドがクリアしたおかげで、ある程度の情報は公開されている。

四角形の部屋に入ると、来た通路が閉ざされた。
部屋の中心に闇の粒子が集まって、体格の大きいアンデッドウォーリアーとなった。

ゴツい兜をかぶって、錆びついた大きいハンマーを両手で持っている。

部屋の奥を見ると、鋼鉄の扉が閉まっている。
どうやら、この敵を倒さなければ先へ進めないらしい。

「ゴオオオオ!」

()えてから、アンデッドウォーリアーはハンマーを振り上げて襲いかかってきた。
そのとき、いつの間にか高くジャンプしていたホッチが、振り上げられたハンマーに蹴りをいれた。
ハンマーの重さに強烈な蹴りの威力が重なって、アンデッドウォーリアーはバランスを崩して、仰向けに倒れた。

「モモ! 幻獣でこいつを倒してみろ!」

ホッチの指示に、モモは

「分かりました!」

雷幻獣(かみなりげんじゅう)のライライオンを召喚した。

召喚されたライライオンは、ブスッとしてジローッと主であるモモを見つめている。
元気な吠えも勝手な行動もしない。
どうやら最初に怒られたことが効いているようだ。

「ライライオン! あのモンスターに攻撃して!」

モモは大声でライライオンに命令した。
だが、ライライオンはフンッと鼻を鳴らすだけで、なにもしない。

「ライライオン! あ、主である私の命令が聞けないの!?」

モモは自分のことを主と言うのに慣れていなくて、つい(ども)ってしまった。
それでも怒鳴り声なので、ライライオンはビクッと体を震わした。

「さあ! 攻撃して!」

「グウウ……!」

ライライオンは低く唸って、命令に従わない。

「ウググ!」

倒れたアンデッドウォーリアーが起き上がろうとしていた。

これ以上はダメかと判断したホッチが、敵が起き上がる前に包丁似刀(ほうちょうにとう)で首を刎ねた。

首を飛ばされたアンデッドウォーリアーは、闇の粒子となって消えていった。

消えると同時に、部屋の奥にある鋼鉄の扉がひとりでに開いた。

「もう! どうして言うことを聞いてくれないの!?」

モモがライライオンにそう言っても、ライライオンはツーンとそっぽを向いている。

「ただ単に怒鳴ってもいけないんじゃないか?」

ホッチがそう言いながら、モモたちに歩み寄る。

「パプルは怒ればいいと言ったが、それが全ての精霊、幻獣、悪魔に当てはまるとは限らないんだろうな。
モモのやり方は『怒れば言うことを聞くだろう』という考えがみえみえだ。
それがそいつの反感を買っているんじゃないか?
怒るのは、勝手なことをしたときだけで、それ以外は優しく接してやってもいいんじゃないか?」

「そ、そうなのかな……」

モモは屈んで、ライライオンに『おいで』と手を差し伸べた。

ライライオンはその手に向かって、トコトコと歩き、怒られまくった仕返しか、可愛らしい足で蹴った。
ペシッと音が鳴った。

「ちょ、ちょっと! なにするのよ!」

「ガガガガ」

ライライオンは可笑しな声を上げて笑った。
そして、パアアッと光の粒子となって、元の世界へ帰っていった。

「な、なによ! あの子! 優しく手を差し伸べたのにー!」

「ハハハ。笑ったな。あの幻獣。少しずつ仲が良くなっているんじゃないか?」

「そ、そうなのかな〜……。まだ私を主と認めてないような気がします……」

「これからこれから。さあ、先へ進むぞ」

再びホッチが先頭で、ダンジョンの奥へと進んでいく。

モンスターが集団で現れても、ホッチが軽々と、一匹だけを残して、倒していく。

モモがライライオンを召喚して、単体の敵を倒そうとする。
だが、ライライオンは勝手なことはしなくなったが、攻撃をしようとしない。
命令を無視するのだ。

それでも諦めず、モモは何度もライライオンを召喚して、攻撃を命令する。
怒りたくても我慢して、お願いしたりもした。

ライライオンはプイッとそっぽを向いたり、ツーンとして聞き入れようとしなかった。
しかし、次第にモモへの態度が変わっていき、ついに彼女を主と認めたのか、命令を聞いて単体のアンデッドウォーリアーに攻撃した。

強烈な電撃を食らったアンデッドウォーリアーは、黒焦げとなって倒れた。
闇の粒子となって消え、モモは初めて幻獣を従えて、敵を倒した。

「や、やったやった〜! ライライオンが敵に攻撃してくれた〜!」

モモはピョンピョン跳ねて喜んだ。

「やったな。モモ」

「おめでとう。モモちゃん」

「やったです〜! これで一つの課題はクリアです〜!」

ホッチもパプルもペルピーも一緒に喜んでくれた。

モモは嬉しい気持ちをダイレクトにライライオンへ伝える。
ライライオンを抱きしめて頰でスリスリする。

「ありがとう〜! 言うことを聞いてくれて〜!」

「ガ〜! ガウウ〜!」

ライライオンは恥ずかしそうに唸る。
そのまま彼女の腕の中で、光の粒子となって帰っていった。

「帰っちゃった。ちぇ〜。もうちょっとモフモフしたかったのにー」

モモは不満を呟いて、先へ進もうとした。
そのとき、体がフラッとした。

ホッチが素早くモモの肩を抱き、倒れないように気遣った。

「あ、ありがとうございます……。ホッチさん……」

モモは男性に肩を抱かれたのは初めてで、照れて赤面した。

パプルがリュックサックから、紫色の液体が入った瓶、マジックポーションを取り出した。

「魔力が不足したからね。これを飲みなさい。魔力が回復するわ」

「あ、ありがとうございます」

モモはマジックポーションをクピッと一口飲んで

「初めて飲みましたけど、美味しいですね。コレ。グレープの味がします」

美味しいと分かって、グビグビと一気に飲み干した。

「うん。体の調子が戻りました。さあ。先へ行きましょう」

モモは上機嫌で先へ進んでいく。
よほどライライオンを従えて、敵を倒せたのが嬉しかったようだ。

ホッチたちはスタスタと自然に進んでいく。
一本の通路の先に、青白く光る台座を見つけた。
台座の先は行き止まりで、一行はその前に立ち止まる。

「パプル。これはなんだ?」

「ワープ装置よ。台座から台座へ移動できるわ」

「てことは、この台座のワープを利用して、ゴールを目指すのか」

「ええ。そうよ。台座へ手を置いてみて。
置いた人とその近くにいる人たちを自動で飛ばしてくれるわ」

ホッチは青白く光る台座へ手を置いた。
青白い光が輝いて、気づいたときには円形の小部屋にいた。
モモとパプル、ペルピーもいて、すぐ側に青白く光る台座がある。

「移動したのか。ここはピラミッドのどこ辺りだ? パプル」

「このダンジョンはエリア分けされてないから、正確な位置は分からないわ。
情報にも載っていなかった。
でも、このルートで正解なのは間違いないわ。
先へ進みましょう」

パプルに促されて、ホッチたちは円形の小部屋から出て、分かれ道の多い通路を通る。

パプルの指示で、順調に先へ進んでいく途中、モモがドジして段差に爪先(つまさき)を引っ掛けて転んだ。

「ぷぎゃ!」

その声に、先頭で進んでいたホッチがなんだと思って振り返る。

「いたたぁ……」

モモは壁に手をつけて、ゆっくりと立ち上がる。

「大丈夫か? モモ」

ホッチがモモへ近づきながら、無事を尋ねた。

「だ、大丈夫です。怪我はありません」

モモは照れ隠しでえへへと笑って、大丈夫と答えた。
そのとき、手をつけていた部分の壁がガコッとへこんだ。

「えっ?」

モモがそれを確認したとき、その壁が左右に開いた。

ホッチがモモを手で突き飛ばした。
突き飛ばされたモモをキャッチしたのは、その真後ろにいたパプルである。

開いた壁は闇しか見えず、そこから骨の腕が何本も出てきた。
その骨の腕は、ホッチの肩や腕、足首を掴んできて、彼をその闇の中へ引きずり込んでいった。

「ホッチー!」

パプルの悲鳴が、分かれ道の多い通路で反響した。
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