第九場
次の日。
俺のテンションは朝から北極の気温並みに低かった。
それもそうだろう。あんなにばっちり女の子にビンタをくらったんだから。
それでも俺は、心がズンと重くのし掛かるような後ろめたさを感じながらも、親が進学させてくれた大学だと、奮い立たせ、朝から全く興味もない経済の講義を受けていた。
そして、今、本日最後の講義である5限目の日本経済の講義を受ける為、初めて入る教室の中に一歩を踏み込む。講義の度に、ことり達と顔を会わせたら気まずいなって思いながら、教室中をくまなく見渡し、六本木真琴達と空いている席に適当に着席する。
大学の教室と言うと、雛壇のようになっている場所を想像しがちだが、東南大学はそう言う教室の方が少なく、まっ平らな教室に机と椅子が並べられている事の方が多い。だから、雛壇の教室に比べ、生徒に紛れてしまえば、特定の生徒を見つけるのは困難で、席に座ってさえしまえば少し心が楽になって、思わず溜め息が漏れた。
「はぁ~・・・」。
「・・・どうしたの?」
「え?」
真琴の言葉が何に対しての問いかけか分からず、反射的聞き返す。
「溜め息・・・。今日、すごい多いよね?」
「そうか?」
別に意識していなかった。
「うん。すごく多い。どうしたの?昨日すごくイキイキと出ていって・・・。何かあった?」
「・・・別に何でもねぇよ。」
「そうかなぁ・・・?」
「・・・」
じっ~っと見つめてくる真琴の目を見れなくなり、思わず目をそらす。
「・・・まぁ、いいや。何かあったらいってね。友達でしょ?」
「・・・おぅ。」
真琴はバックからスマホを取り出し、いじり始めた。
初対面のインパクトが強すぎて若干の気後れがあったが、真琴って根っから良い奴なんだよな。
五限の講義が始まった。大学に定年退職と言うものはあるのだろうかと疑わしい程の老人教授の講義を受けている間も、昨日の出来事が頭から離れない。
ことりに叩かれた頬の痛み。キッと睨むことりの顔。それらを思い出す度にさらに胸を締め付ける。昨日は長く感じた90分間と言う講義の時間も今日はあっという間に過ぎ去った。
校内に鳴り響く講義終了のチャイムを聞き、たらたらと経済学について語っていた教授が、ピタッと講義をストップし、「今日はここまで」と言って教室を出ていく。
俺もそれにならって席を立とうとした時、真琴が声をかけてきた。
「そう言えば、昨日、演劇サークル行ったんだよね?どうだった?」
「えっ?」
突然の真琴からの質問に、ことりにビンタされた何て言えず、どう話したものかと思考する。
「・・・」
考え込んだ俺を不思議に思ったのだろう。
「今朝から悩んでるのは、それが原因?」
と、気にかけてくれた。
「まぁ・・・な。」
「で、何があったの?」
「何があったって言う訳でもないだが、ただ、ことりを怒らせて、ビンタされた・・・」
「えっ!!」
今まで興味無さそうに、くっちゃべっていた野本や藤本達も一緒に驚く。
「なんで?」
目は本当に口よりモノを言う。真琴は心配そうな目をしているが、野本達は明らかに興味や他人の不幸を喜んでいる目で俺を見てくる。
「・・・言いたくない。」
話を打ち切ろうとする俺になぜか野本達が食い下がる。
「なんでだ?」
「ここまで言ったんだから、同じだろ?」
「言っちゃえば楽になるぜ。」
「な?」
どうみても面白半分にしか思えん。
「絶対嫌だ。」
「だから、なんで?」
「お前らって、全力で人の不幸を喜びそうだからな。」
「・・・」
「なんで何も言わん?」
「ソンナコトネェーヨ」
野本たちは明らかに動揺しながら言った。
目を逸らしてんじゃねぇーー!!
やっぱり言わなくて正解だった。コイツらは所詮根が腐りきった奴らなんだよ。クズなんだよ!
「ツクモ・・・。」
クズ判定を下した俺に話しかけてくる奴がいる。
真琴だ。野本達の友達を友達と思わない悪行に、一緒にクズ判定してしまったが、コイツは付き合いが浅いながらも分かるくらい良い奴だ。だから、
「僕はそんなことしないよ。」
と言われるとと信じてみたくなる。
「だから、教えて。何があったの?」
「・・・。」
「ねっ?」
つぶらな瞳で見つめられると、まるで吸い込まれそうな気さえした。
「・・・ことりの腰巾着の女と口喧嘩して、その勢いで演劇をバカにした・・・。」
俺の口は自然と開いていた。
だが、その信頼はやはりコイツらによって粉々に砕かれる。
「あちゃ~。それはもう嫌われたな~(笑)」
「そうだなぁ~。間違いなく嫌われたな~(笑)」
「そうそう~。一人だけリア充に走ろうとするから、バチが当たったんだな~(笑)」
このスーパーモテないブラザーズがっ!!
「失礼だよっ!!」
と野本達を静かにさせようとしているが、真琴一人ではどうにもならないくらい盛り上がる。
「・・・でも。」
「ん?」
野本達のことは諦めたのか、真琴が俺の袖を引っ張る。
「話を聞いている限り、もう一人の女の子もいけないけど、ツクモも七瀬さんか必死でやってることをバカにしたのは良くないよ・・・。」
「・・・別に俺だって本気でお遊びって思ってる訳じゃねえよ。ただ・・・。」
「ただ?」
「ただ・・・。あの時はカーっとなってたと言うか。頭に血が上っていたと言うか。だから、勢いでつい・・・。」
「つい、お遊びって言っちゃったの?」
「ああ。」
「勢いでも、言って良いことと、悪いことがあるでしょ?」
「分かってる。分かってる・・・。」
真琴の言葉の1つ1つが胸に刺さる。
「・・・」
そして、その痛みが俺に取り返しのつかないことをさせてしまったんだと実感させてる。
「・・・」
言葉が出ない。
言葉が見つからない。
言葉が・・・分からない。
「・・・」
それを察してか、真琴も黙って俺の言葉を待っている。
「・・・俺、どうしたらいいのかな?」
やっと捻り出せた言葉は、自らの答えじゃなかった。
「・・・」
真琴は何故か黙っている。
「・・・どうしたら・・・」
「ツクモ、この答えは人に聞くことじゃないよ。」
真琴は真剣な眼差しで見つめてくる。
「それに、ツクモはこの答えを持ってるはずだよ。」
透き通った瞳を、俺は見つめ返す。
が、その瞳を直視するにはあまりにも真っ直ぐ過ぎて思わず目をそらす。
・・・俺が悪いんだ。
そうだ。俺が悪いんだ。
俺が悪いんだよ!俺が!!
そんなのずっと分かってた。分かってたけど、分かりたくなくて。認めちゃったら、罪悪感で押し潰されそうだったから、認められなくて。
でも、認めなければ余計に心が苦しくて。
全部。全部、分かってた!!
そうだよ。俺が悪いんだよ。
大きく深呼吸し、もう一度真琴の瞳を見る。そこには変わらず真琴の瞳があった。
「・・・俺、謝ってくるよ。」
たった一言がなんか俺の心を軽くした気がした。
「そうだね。その方がいいね・・・。」
真琴の笑顔が俺の迷いに更に光を照らす。
「でも、ことり、まだ学校にいっかな・・・。」
大学入学祝に両親から貰った腕時計に目を落とす。時間の針は17時の5分前を指していた。
「そう思って・・・。七瀬さん、入っていいよー!」
真琴が俺に向かって声をかける。
「??」
いや、その視線が見ているのは俺じゃない。
俺は無意識に真琴の視線を追い、パッと後ろを向く。
「あはは・・・」
そこには少し俯き照れながらこちらを見ている七瀬さんがいた。
キッ、聞かれたッ!!
俺はまたパッと真琴の方を向く。
真琴はにんまりと笑顔で、コクコクと一度頷いた。
「こんにちは・・・」
その声に俺はバッと振り向く。先程より少し強く振り向きすぎたか、少し首が痛い。
「こんにちは・・・」
俺も何て言っていいか分からずとりあえず、おうむ返しする。
だが、それ以降ことりは何も喋らず、俯いている。
「・・・」
言わないといけないことは分かっているし、もしかしたら聞かれてるかも知れないから、従来よりも言いやすいのかも知れないが、それでも俺の口はウェイトリフティングのウェイトの様に重かった。
「・・・」
言うなら今しかない。
「・・・」
言え!!
「あの・・・」
「・・・はい。」
一歩を踏み出したが二歩目がなかなか出てこない。
「・・・」
長渕剛の『西新宿の親父の唄』が俺の中で鳴り騒いでいる。
(♪やるなら今しかねえ)
「きっ・・・」
「き?」
(♪やるなら今しかねえ やるなら今しかねえ 66の親父の口癖は【やるなら今しかねえ】)
「昨日はごっ・・・。ごっ、、ごめん・・・。」
「・・・うん。」
「お遊びなんて、俺、全く思ってないから!!」
「・・・うん。」
「本当の本当に、これっぽっちも思ってないんだ。」
一度開いた口は言葉を勢いよく溢れ出す。
「あの時はただ・・・」
「・・・うん。分かってる。売り言葉に買い言葉だったんでしょ?」
「うん・・・。ごめん。」
俺は深く頭を下げる。
「やめてよ。別にそこまで気にしてないから。」
「でも、俺本当に酷いこと言って・・・」
「やめてって。それに謝るのはこっちだよ。・・・叩いてごめんね。」
ことりも深々と頭を下げる。
「別にことりは悪くないよ。俺が悪いんだ。」
「いえ。どんな事があっても手をあげるのは良くないから・・・。私の方が悪いよ。」
「いや、俺が!」
「いえ、私の方が!」
自分の主張を通そうと、俺は目でもことりに訴える。そしたらことりも・・・。
ぷっ。
『はっ、はっはっはっ・・・』
俺らは笑った。
笑って、笑って、笑った。
なんか抱え込んでたものを吐き出すように、全てのものを洗い流すように、笑い声に変えて笑った。
ひとしきり笑った所で、ことりが口を開く。
「・・・どうかな?演劇サークル、入らない?」
「丁重にお断りします。」
と野本が返事を返す・・・?
んじゃねぇぇぇえええ!!!
「なんでお前が答えるんだよ!!」
「だって、お前、IKNのメンバーだろ?」
「なんだよ。アイケーエヌって?愛研究会の略か?」
「一生(I)彼女(K)が出来そうに無い者達が集う野本(N)達の会」
真琴が答えを言う。
「そんなもんに入った覚えはねぇよ!!!」
「テメェ、これはマブダチへの裏切りだからな!!」
「そうだ、そうだ!俺達、IKNへの裏切りだからな!!」
訳の分からないことを叫ぶ藤本に問う。それを見て真琴が口を開く。
「はいはい。邪魔物は帰ろうね。」
そう言って、真琴は野本達を追い払った。
「・・・ねぇ、七瀬さん。」
真琴が野本達を連れていくのを見て、堤がことりに声をかける。コイツら知り合いか?
「なんですか?えっと・・・堤くんでしたよね?」
「覚えてくれてたんだ。」
「はい。一応、同じ学科の人達の名前は一通り。それでなんですか?」
「七瀬さんが創ろうとしている演劇サークルのことなんだけど。」
「?」
真琴が野本達を追い払ってて戻ってくるが、先程の場の空気の変わり様に戸惑って俺に話しかけてくる。
「どうしたの?」
だが、俺も何がなんだか。だから、
「さぁ?」
とだけ返した。
堤は神妙な面持ちで話を切り出す。
「ツクモが演劇部、演劇部ってうるさかったから、僕なりにこの大学の演劇部について調べてみたんだ。それでわかったことがあるんだ・・・。」
「なに?」
「・・・あったんだ。この大学には数年前まで演劇部が。」
「えっ!」
俺と真琴の声が漏れる。
「最近でこそインターネットが広まって、色々な情報を手に入れやすくなったけど、それでもその演劇部についてはあまり情報を手に入れることが出来なかった。分かったのはその演劇部は現在廃部していると言うことと、劇団の名前くらい・・・。」
「劇団の名前?」
俺は思わず聞いた。
「『劇団栄華』。それがかつてこの大学に存在していた演劇部の名前だ。」
「・・・」
「そして、七瀬さんが立ち上げようとしている劇団の名前も『劇団栄華』・・・。これって何かの偶然かな?」
堤の推論に対して七瀬さんはまだ黙っている。それにしても、今の名前どこかで・・・。
「偶然だろ?そんなことより早く帰ろうぜ。遅くなっちまう。」
と、俺は黙り込んでしまったことりを気遣い、話題を反らそうとした。
「・・・いえ、偶然ではないんです。」
「ことり?」
「・・・私が行おうとしていることは、かつてこの大学に存在していた『劇団栄華』の再興。劇団栄華終いの代の一人、私の姉、七瀬睦月の悲願を叶えることです。」
「・・・えっ!?」
☆☆☆☆☆☆☆
『正しいヒーローの作り方』:第九場
どことも分からない場所。
睦月寝ている。そばに渚と見習い天使が立っている。
睦月「…んっ。」
渚「お目覚めですか?綾瀬睦月さん」
睦月「あれ?渚さん?」
渚「あなた、また死んだんです。何があったか覚えていますか?」
睦月「…まさか結菜ちゃんが。」
渚「神崎結菜さんの事が嫌いになりましたか?」
睦月「…」
渚「人が何を思っているかなんて、天使の私達にもわかりません。…人を嫌いになる事は簡単です。でも人を好きで居続けることはとても難しい。だから人間は面白いんです。人の心を受け入れる事。それが愛情です。私も愛情を知りたい。だから私は人間に生まれ変わりたい。」
睦月「渚さん…。」
渚「もう一度聞きます。神崎結菜さんの事が嫌いになりましたか?」
睦月「…わかりません。」
渚「では、もう一度現世に戻って答えを探してください。ほら、信太朗さんが貴方のために友達ともめてますよ。」
信太郎とつかさ、胸倉をつかみあいながらもめている。
そこに弘志がゲーム機を持って入ってくる。
弘志「…全く状況が飲み込めないんだけど?」
つかさ「空気読んで。」
信太郎「…良い機会だ。話すよ、全部…」
弘志「OK。理解した。」
信つ睦渚「何を!!」
弘志「だから、信太郎がこの前事故にあった時、天使からゲームを貰って、未来をやり直すことが出来る様になったんだけど、どうしても睦月ちゃんが死んでしまうんだろ?」
信つ睦渚「なんで!?」
弘志「ほら、俺、四葉さんに薦められて友情表現専門学校通ってたじゃん?友達の言いたいことを理解するのは、友情表現の基礎だから。」
信つ睦渚「すごっ!!」
四葉、一瞬姿を現し、ピースして去る。
弘志「でもさ、そんなことになってるなら、相談してくれればいいのに?」
つかさ「そうそう。それが本当なら、私達だって手伝ったのに。」
信太郎「お前ら…」
弘志「どうせまたやり直すんだろ?今度は俺達にも手伝わせてくれよな。」
信太郎「でも、過去のつかさ達は睦月が死ぬことを知らないわけだし…」
つかさ「そうか…。」
弘志「何言ってんだよ。友情表現があれば時間だって超越…」
つかさ「そうだ!私達しか知らない暗号を決めておくって言うのは!」
弘志「無視かよ!」
信太郎「例えば?」
つかさ「例えば、人には必ず秘密にしてることってあるでしょ?それをアンタに教えるから、過去に戻ったらそれを私達に伝えるの。そうすれば自分しか知らない秘密を知っている信太郎に、どうして知っているのか聞いてくるはずでしょ。その時に理由を話せば…。」
信太郎「なるほど。良いかもしれない。」
つかさ「よし、そうとなれば秘密ね…。弘志、アンタ何にする?」
弘志「秘密か…。そう言われても…。ほら、俺ってオープンな人間じゃん?俺、お前らに秘密とかないんだよね?」
つかさ「無いならあれで良いんじゃない?小っちゃい頃ムッチャンの事が好きで、リコーダー盗んじゃったってヤツ。」
信睦弘天「ええーーーー!!」
つかさ「しかも、小学校の時はソプラノリコーダー。中学校の時はアルトリコーダー。」
弘志「うぉぉおおおーーーいいいい!!なんでお前がそれを…」
信睦天「認めた!!」
弘志「違う!!」
信太郎「何が違うんだ?」
弘志「それは…」
信太朗「まあいい。で、盗んだヤツはどうしたんだよ?」
弘志「返したよ、アルトリコーダーは…。」
信太朗「ソプラノリコーダーは?」
弘志「…。」
つかさ「ここに。」
弘志「なんで!!机の奥底にしまっておいたのに!!」
信太朗「しまうなよ。そもそもしまって、何してんだよ!!」
弘志「舐め回す?(真似できない舌の動き。)」
睦・渚「おぇぇえええーー!!」
信太郎「俺、友達やめていいかな?」
つかさ「私もやめたいけど、それじゃ秘密をばらした意味がなくなっちゃうし…」
弘志「だから、違うんだって!」
信太郎「まぁ、そうだけど…」
弘志「とにかく返してくれよ!!」
弘志、つかさからリコーダーを奪い、去る。
睦月「あっ、私のリコーダー…。」
信太朗「…よし、気を取り直して、つかさの秘密は?」
つかさ「私の秘密は…。実は私、弘志の事が好きなんだ。」
信睦渚「えっ?」
信太朗「マジ!?」
つかさ「マジ。」
信太朗「…うわ、あいつ、いつも肝心な時にいねえ!えっと…、聞いてもいいか?弘志のどこら辺が好きなの?だって、あいつ変態で、色々な専門学校通ってて…。」
つかさ「どこが好きって聞かれると…、今言われてたとこも含めて全部好き。変態なところも、変な専門学校通っているところも、空気読めないところも、他の所も全部含めて弘志だから。」
信太朗「…弘志には言わないの?…なんなら俺から…」
つかさ「いい。いつかちゃんと私の口から言うから。」
信太朗「そっか…」
弘志、リコーダーを隠し、戻ってくる。
弘志「まったく、油断も隙もあったもんじゃ…」
信太朗「やっと戻ってきた。」
つかさ「私の秘密、もう教えちゃったよ。」
弘志「あっ、ずりー。俺にも教えてくれよ。」
つかさ「さぁ、信太朗。そろそろ。」
信太朗「おう、そうだな。…弘志、頑張れよ。」
弘志「だから、何がだよ!」
信太朗「『チェンジ・マイ・ライフ』」
渚、天使見習い、現れる。
渚「あなたの運命を決めるゲーム。人生をやり直しますか?」
信太朗「はい。」
渚「相変わらず早いですね。それにしても睦月さんが結菜さんに殺されるより前にタイムリープして、その世界のつかささんや弘志さんとコンタクトを取るというか。先程得た二人の秘密をネタに二人を強請り、半ば強引に未来から来たことを信じさせ、力を合わせて結菜さんの犯行を阻止しようとするとは…。本来、私達の立場からすると止めないといけないのですが、こうなってしまったのは私にもほんの少しだけ原因がありますので、特別に見逃してあげましょう。」
信太朗「随分と話が分かるじゃないか…。」
渚「別に、いつも掟、掟言っているわけではありませんから。…それに個人的な気持ちとして貴方に睦月さんを救って貰いたいと思っている自分が、どこかにいるのかもしれません。」
信太朗「ふ~ん。」
渚「そんな事より、準備は良いですか?いきますよ?」
信太朗「おう。いつでもやってくれ。」
渚「それでは望月信太郎に…。」
信太朗「神のご加護があらんことを!!」
渚「あっ!!」
渚、去る。
☆☆☆☆☆☆☆




