03 僕と君と彼
放課後、僕とアイルが帰路についていると遠くから誰かが走ってこっちに来るのが見えた。
目を凝らしてよくみたら一目瞭然だった。
黒い髪の少年、ヤンだった。
息を切らして僕らの元に来たヤンを僕らは不思議そに見つめた。
そしてアイルが口を開いた
「ヤン君?だったけ。どうしたの?何かあったの?」
「えっと、あの…ちゃんと礼を言ってなかったから。」
「お礼?なんで?」
「だって、今日オレの事助けてくれただろ?自己紹介のとき。」
「あー、あの時ね。全然気にしないで。ただ単純に違う学校の事に興味を持っただけだから。」
アイルとヤンのやり取りを見てて、意外と素直なやつなんだなって思った。
「僕はリロイ。彼女はアイル。よろしく、ヤン君。」
「ヤンでいいよ、よろしく。リロイ、アイル。」
ヤンは微笑んで言った。
「そうだ、ヤン。これから僕らお菓子屋に行くんだけど一緒に来ない?」
「そうよ、一緒に行きましょう。」
「お菓子屋…?」
「そう、最近大陸全土に広がっているって話題のマッシュのお菓子屋だよ。知らないの?」
「いや、知らない。っていうか甘いものたべないし。」
「えー、信じられない。それなら食べないと。」
アイルと僕は乗り気でないヤンを無理やり引っ張ってお菓子屋へ向かった。
少ないお小遣いで買ったお菓子を3人で分けて食べた。ヤンは感動したみたいで、もう一度お店に戻って自分用のお菓子まで買って帰ってた。
この時から、今まで僕とアイルとヤンは3人でいるようになった。
授業も移動教室も放課後だって僕らは一緒だった。
僕とアイルだけだった世界にヤンという新しい光が差し込んだ。