01 僕の自慢は君
ここは魔法都市エストレラ。
僕は一人前の魔法使いを目指している。
一人前の魔法使いになるためには都市の中にある10校ある6年制の魔法の学校のどこかに行って卒業したあと、見習い魔法使いの期間を3年終えたあとやっと一人前の魔法使いとして認めてくれる。9年っていう長いようで短い期間で僕らは膨大な量の呪文や術式、医学、薬学、歴史など色んな事を学ばなきゃいけない。
ちなみに僕の名前はリロイ。第五魔法学校の2年生。12歳だ。
去年はなんとか落第せずに済んだんだけど、今年はどうだろうか。僕は成績優秀な方じゃないし、人よりも魔力が多いわけでも、センスがあるわけでもない。でも落ちこぼれってほどひどくはなくて、いわゆる中の下。特に先生達からは目もつけられず、褒められずっていう一番目立たないポジションにいるやつだ。
でも、こんな落ちこぼれ気味の僕にも誇れるものはある。幼馴染のアイルだ。彼女はとても成績優秀で、どの科目も学年で10位以内に入っている。加えて彼女はとても美人だ。彼女の栗色の髪と青い目は誰もが惹きつけられると思う。そして性格もいい。なんてったってこんな僕と出会ってから6年以上ずっと仲良くしてくれているんだから。こんな彼女を好きにならない方がおかしいだろう。それくらい僕は彼女が大好きだった。
彼女が笑うためなら、なんだってできる自信はあるしなんでもしようと思う。
こんな何の取り柄もない僕だけど、彼女のためにできることはなんでもしたいって思うんだ。
こんな僕だけど、彼女の一番近くにいる自信だけはあるんだ。
それだけが、僕にできる唯一の自慢だ。