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魔王子  作者: 雨時々ノコ
4/5

4話 魔法→メイドの仕事

朝食を食べ終わると、俺は書斎に向かった本当ならば魔法も凄いが剣の腕も魔国随一である親父に稽古をつけて貰いたかったりするのだが10歳になるまでは自分で鍛えろというので、朝食の後に書斎で魔法に付いて勉強をしながら体に魔力を循環させ魔力量を高め、魔力精度もあげる為の鍛練をする。


(これも、もう毎日の習慣になってるよな。あの時と比べると魔力精度もかなり上がってるし伊達に魔王の子じゃないな、自分ながら魔法の才能は凄いと思う)


3歳の時に書斎で魔法の本を発見した時はテンションが上がって書いてある魔法を発動させようとしたが出来たのはせいぜい生活魔法くらいで(それにすら二時間程度試行錯誤を繰り返してやっと発動させた)初級魔法以上ともなると発動する予兆すら無かった。

生活魔法を発動させた時の魔力の喪失感だと魔力が足りてないということは無いと思うのだが、どうやっても発動しなかった為に本を読み進めていくと魔力精度というのが足りなかったらしい。

これは分かりやすく例えると何の格闘技もやっていない素人が急にボクシング世界チャンピオンの体を手に入れたとして、それでチャンピオンと同じ動きができるか?というのと一緒で答えは否だ。

パンチの打ち方一つを取っても素人とプロとじゃ比べものにならないチャンピオンともなると尚更に差は大きい。

つまりはどんなに強靭な肉体を持っていても動かし方を知らないとチャンピオンの様な動きが出来ないのと一緒で、どんなに大きな魔力を持っていても魔力の動かし方を知らないと初級魔法以上の複雑な魔法は発動できない。

逆に言えば魔力精度が高ければ最低限の魔力で大きな魔法を撃つことだってできる。


「やはり魔法というのは奥が深いな、知れば知るほど底が見えない」


「あ!ヴェリル様だー、こんなとこで何やってるんですかー?」


と声をかけてきたのは新米メイドのリカさん、頭に付いている猫耳が彼女の種族が猫の獣人であることを示している。


「リカさんこそ何しているんですか?今は掃除の時間だったはずですが?」


「えへっ、抜け出してきちゃいました!」


(いや、リカさんそれはドヤ顔で言うことでは無いような…)


この会話からでも分かるようにリカさんは、かなり自由な人でありいつもメイド長のセーナさんに怒られている。(ていうか、何でこの人がグランザイル家のメイドとして雇われてるんだろ?)

それでも俺にとってはあまり気を使われないで済むし話していて気が休まる人だから構わないし、むしろ居てくれて凄く楽しかったりもする。


「リカ?またあなたは仕事を抜け出して何をやっているのかしら?」


漫画であれば背後にゴゴゴコゴと擬音が付きそうな怖さでセーナさんがやってくる。


「メ、メイド長!?いえ、あのこれは、その…そう!ヴェリル様が私とお喋りをしたいと言うものですから!ね?ヴェリル様」


と涙目でリカさんが助けを求めてくる、リカさん…助けてあげたいのは山々なんだけど言い訳が苦しすぎるっていうか、たぶんセーナさんにはバレバレだと思うんだけど


「ヴェリル様すみません、リカには後でキツく言っておきますので」


「えっ!?そんな!?ごめんなさいメイド長、もうしませんからーっ!助けてヴェリル様ぁーっ!!」


とセーナさんがリカさんをひきずって仕事に戻っていくと、さっきまで騒がしかった部屋が急に静かになり少し寂しい気分になる。


「そろそろ体でも動かしに行こうかな」


俺はもう一つの日課である、トレーニングと剣の素振りをしに庭へと出掛けることにした。





「全くあなたという人は、毎日毎日叱っているのにまだ、足りないようね?」


「グスッ…すみませんメイド長ぅ…」


泣きながら新米メイドのリカは答えるが、そんなのお構いなしにセーナは続ける。


「あのね?泣くくらいなら何であんなことをするのかしら?ていうかこれで何回目?進歩の無い人は家畜と一緒よ?」


「すみません…グスッ…途中までは掃除をしていたんですが…グスッ……気付いたらヴェリル様とお喋りしていて…たぶん何か悪い魔物が私を誘導したんですよ!そうですよ!そうに違いありま「黙れ。」はい…」


とリカの必死の言い訳も虚しく冷たい声で制止が入る。


「あなた前もそんなこと言ってなかった?キッチンでつまみ食いした時も暴食の魔物がどうとか、あなたの不注意でグランザイル家の壺を割ってしまったときは悪霊が乗り移っただの、そんな言い訳が通じると思うの?あなた馬鹿なの?ごめんなさい…聞くまでもなく馬鹿だったわね」


「メ、メイド長、それは酷く無いで「黙れ。」」


更に冷たい声での制止が入り、リカの心はもう折れそうになっている。


「誰があなたに発言を許可したの?あなたの言い訳なんてどうでも良いの、とにかく…口を動かす前に手を動かしなさい!という訳であなたには大広間の掃除を一人でやってもらうことにするわ、一日で終わりそうにないなら寝る時間を削ってでもこなしなさい」


因みにグランザイル家の大広間は主にパーティーなどで使われる場所であり、その規模は人が1000人規模で入ろうが落ち着いて動けるスペースを残すほどに広く普通であれば屋敷の20人のメイドと5人の執事達が一斉に取り組み、それでも一時間ほどかかる。

そんな場所を一人でこなすとなると凄まじく時間がかかることになるが


「メ、メイド長さすがにそれは無「黙れ。」」


「あなたの選択肢は、はいか喜んでか了解しましたのどれかよ?」


「ハ、ハイヨロコンデヤラセテイタダキマス。」


「そう、やってくれのね?まぁ魔法の使用は許可するから早く行って終わらしてきなさい」


魔法を使って掃除をすることも出来るが複数でやる場所は、周りの迷惑になってしまう為、通常は全て手作業でこなす。


「ハイ!ソレデハイッテキマス!」


その日、「メイドチョウノイウコトハ、ゼッタイ」と死人の様な目で呟くリカの姿がいたる所で目撃されたという。

セーナさんは王族の三人を除くと屋敷内でのヒエラルキーではトップです。

今まではメイド達しか出てきていませんが執事達も王宮には居ます、そのうち出てくるかも?

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