三章『サウスシティへ』
お互いの情報交換が済み、四人はサウスシティへと足を運ぶ。
この世界も、現実世界と同じで、外見は全く違いが無い。
これは現実世界とかなりのリンクがある。
そこで、何処かに往来するための物は無いか、全員で探す事になった。
「うん…こっちには無いぜ!」
ビルとビルの間を見渡しながらイリーが言った。
その近くで、道路脇に立って見回しているミルも同じように、「無いわ」と答えた。
「エルバ!あったか!?」
ザクセルが急かすように言い聞かせた。
「ああ、無い。確かこっちに駐車場があったような…」
と言いエルバが走った。
三人もそれにつられて走り出した。
走っている途中でイリーは地図らしき物を見つけた。
「なぁ、ザクセル、これ地図じゃないか?」
走りながらなので息を切らして返答したザクセルだった。
「あぁ?…あぁ、そうだ。これは、地図だな」
イリーはザクセルに役に立つから取っておけと言われた。
ポケットにスルリと入れ込んだ。
「ここだ」
エルバが急停止したのでイリーは転びそうになった。
「ホントに駐車場だ…」
ミルが驚いた目で見ていた。
「この世界は、ほとんど現実世界と変わってないからな。まだ色々あるだろう」
エルバが言った。
ザクセルがその中の車を一つ選んだ。
広い車で、最大で8人は乗れた。
「いい車だな、さっそく乗ろうぜ」
エルバが言って、ドアを開けた。
鍵はかかっていなかった。
「何でかかってないんだろ」
イリーが疑問に言った。
「この世界は何でもアリ、だからじゃねぇか?」
ザクセルが言った。
運転はエルバだった。
イリーは持っていた地図をエルバに渡した。
車の中でイリーが言った。
「自己紹介がまだだったね。僕はイリー:ザイル」
それに続けてミルが
「私はミル:イルクです」
といった。
「そうか、よろしくな」
とザクセル。
車内はエルバの安全運転のおかげで以外にも快適に出来た。
何気にミルとザクセルは意気投合していた。
現実世界に居たときの話や、職業の話などもしていた。
「俺は、元ゲームプロダクション会社の社員だったのよ」
ザクセルが言った。
「それのテストプレイを頼まれてやったんだが、その際に雷が落ちて…」
ミルがそこに入ってきた。
「私達もです。雷のせいなんですね…」
ザクセルは続けて、エルバとの話をした。
「エルバとは、落ちてきて間もないころだったな。歩いていたら急に人が落ちてきて、何だ何だ、と思ったら、
失神してたわけよ。それで俺が応急処置っていうか…」
そこまで話したときにエルバが割り込んできた。
「バカ、あれが応急処置か?ただ揺さぶって頬叩いてたりしてただけだろ」
ザクセルが驚いてエルバの顔を見た。
「し、知ってたの!?」
「頬の痛みを感じれば分かる」
ザクセルが顔を赤くして話をそらした。
「お、俺の学生時代の友達がすげぇ面白い奴でよ…」
みんなが笑った。
そうして安息の一時を過ごしていると、エルバが「着いたぞ」と言った。
「ここがサウスシティか…」
ビルは少ないが、自然が多かった。
「いいところだな」
イリーが言った。
「行こう」
そうザクセルが言った時だった。
いきなり何かがザクセルの鼻をかすめた。
「ッ!ライトアームズだ!」
振り返ると、そこには一人の男が居た。
しかもまだ子供だ。
「お前達、何者だ?」
表現豊かに書けたと思います…。
まだまだがんばります。