二章『世界状況』
例えるなら…そう。そこはまるで巨大都市だった。
レベッカという少女から聞いた話では、この街は五つに分かれているらしかった。
東の街、イースト。
西の街、ウェスト
南の街、サウス。
北の街、ノース。
そして中心街のセントラル。
この五つの街は、セントラルにある巨大な塔によって操作されている。
その塔の監視機能が狂ってしまうと、全ての街の指揮が取れなくなる。
つまり、混乱を起こしてしまう。
そして今イリー達はその中心街のセントラルに居たのだった。
「レベッカを知ってるのか?」
ザクセルが今一度聞いた。
その質問にはイリーが答えた。
「あ、ああ。会ったんだ」
「何!会った!?」
エルバがその答えに強く反応した。
イリーとミルは一緒だった。
同じ「何か関係があるのだろうか」という目線でお互いの目を見て考えを交換した。
が、何も返って来なかった。
「レベッカが、何か…?」
ミルが聞くと、ザクセルが座って喋りだした。
「レベッカ…あいつは、初めて俺達がここに来た時、説明をしてくれた。この街の事も、この街の住人どもの事もな」
ザクセルが何気無く言ったその言葉が、イリーには気に止まった。
「俺達と同じだ…」
「え?」
イリーの言葉にエルバが顔を向けた。
「俺達も、彼女にここの事を教えてもらった。じゃあこっちからも聞くけど、レベッカは…ずっと前から居たって言ってたか?」
それにはエルバが答えた。
「ああ。前から住んでいて何もかも知っている、と」
イリーはその答えを聞いて何か違和感を感じたが、すぐにザクセルの声で忘れてしまった。
「で、彼女は何処に?」
「連れて行かれた」
ミルが答えた。
イリーが答える暇も無く。
「レベッカは…変な奴らに連れて行かれたの。黒いマントみたいなものをまとった男達に」
それを聞いたザクセルとエルバは蒼くなった。
「く…黒マント…」
「ザクセル、あいつらだ」
ザクセルは震え、エルバは顔を真っ青にしている。
「あ、あいつらって?」
イリーが恐る恐る聞いてみた。
返って来た言葉は衝撃的だった。
「ノースシティに居ついた謎の集団、「ブラックウィンド」だ…」
ザクセルが説明した。
その説明はこうだ。
ノースシティに突如現れた謎のブラックウィンド。通称「黒い風」。
奴らの目的は未だに分からないが、イーストシティの「ホワイトソウル」と争っている。
ホワイトソウル。通称「白い魂」。
この二つの組織の主な特徴は、団員全員が光の武器、「ライトアームズ」を使うと言う事だ。
ライトアームズとは、自分の気を使い、光の素になる物を集め、瞬時的に武器を作るという超能力である。
このライトアームズを使った戦争が、このプログラムゲームの物語だと言う。
「ライトアームズか…」
イリーが自分の手を見て呟いた。
「ライトアームズは何故だかここの住人しか使えない。気をつけろよ」
ザクセルがイリーの目を見て話した。
そして、続けた。
「しかし、一説に、レベッカの話だと何らかのバグで人間も使えるようになるらしい」
それを次いだのはエルバだった。
「でもそれはここの住人と違い、かなりの気と体力を消耗するらしい」
イリーとミルは静かに二人の話を聞いていた。
そして、ザクセルが終止符を打った。
「ま、気をつけるんだな」
そして、それをかき消すかのようにエルバが言った。
「とりあえず、危険を伴うが、サウスシティに行って見よう。何か掴めるかも知れない」
その意見によってこの四人はサウスシティに向かう事になった。
ふむ、なんだか凄い事になりそうだ。
がんばります。