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シーグラス  作者: くじら
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3度目の6月

「長い時間をかけて綺麗になっていくんだ。

その過程が美しくて愛おしくて好きなんだ。」


どこまで戻れば、どこまで気付かないふりをすれば

貴方はまた隣で笑ってくれますか。



ピーーーーーーーーッ

静かな病室に私の泣き声と機械音が響いていた。


両親が早くに亡くなり育ててくれたのはおばあちゃんだった。

おばあちゃんが亡くなってお葬式の為に地元に帰ってきた私。

(何年ぶりだろ…ここに帰ってくるのは。)

高校を卒業してすぐに上京をした私は、なかなか地元に帰っては来なかった。


久しぶりに帰ってきた地元は何も変わっていなかった。

港の磯の匂い。ゆっくりと流れる時間。葉の揺れる音

あぁ、こんなにも綺麗な景色の中で育っていたのだと

上京して煌びやかな電飾、香水の匂いの中にいた私は忘れてしまっていた。

しばらく町を歩いていると

「こんにちは。お葬式にも顔出したのですが忙しそうに見えてご挨拶も出来ずにすみません」

見知らぬ青年が声をかけてきた。

「はじめまして、、で合ってますかね??すみませんどこかでお会いしてましたでしょうか?」

すると向こうは少し焦ったように

「あ!!すみません!僕は朝野と言います!

朝野 隆希りゅうきです。生前のお祖母様に良くしてもらって…」

話を聞いてみると少し前にこの田舎町に一人で引っ越してきたらしく、海の生物の生態系の研究を住み込みでしているんだそう。

「そうだったんですね、、それでうちの祖母とはどんなご関係で??」

私よりも少し歳下に見える青年が80にもなるおばあちゃんとどんな関係なのか気になるのは当然の事で。

すると彼は笑顔で、でもどこか少し寂しそうに

「この町に引っ越してきて知り合いもいなく馴染めなかった自分に話しかけて家族のように迎え入れてくれたのが満尋(まひろ)さんのお祖母様だったんです…それで私と歳の近い孫がいると満尋さんのお話も伺っていて」

おばあちゃんらしいなと思った。

消極的で人見知りをしてしまう私とは違って、社交的で誰にでも手を差し伸べるような暖かい人だったおばあちゃん。

「祖母らしいです…笑私が中々帰らず寂しい思いもさせてしまっていたかも思っていたのですが、、朝野さんのおかげでそんな事はなかったみたいですね」

朝野さんの顔が少し曇った気がして、、

「お祖母さん満尋さんの事凄く誇りに思っていらっしゃいましたよ。亡くなる前も…」

それからも朝野さんと私は祖母との思い出や私がいない間の祖母の様子など長い間立ち話をしてしまっていた。

夕暮れが綺麗に見える頃になり私たちは解散した。

「あ!満尋さん連絡先聞いてもいいですか、、?」

少し控えめに様子を伺いながら聞いてきた彼が少し可愛く思えた。


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