第34話:一週間経過
気づけば、七日が過ぎていた。
朝が来て、
動いて、
夜が来る。
それを、七回。
劇的な出来事は、何もない。
畑は、相変わらず小さい。
芽は出たり、出なかったり。
家は、まだ隙間風が入る。
魔物は、遠くにいる。
襲ってはこないが、
いなくなったわけでもない。
何一つ、
“物語的な進展”はなかった。
それでも――
(慣れてきたな)
レオンは、朝の空気を吸い込みながら、そう思った。
水汲みの距離を、
正確に把握している。
火起こしに、
無駄な動作が減った。
夜の鳴き声に、
心臓が跳ねなくなった。
身体も、少しだけ変わった。
筋肉がついた、というほどじゃない。
だが、動きに迷いが減っている。
生活魔法も、
特別な存在ではなくなった。
必要なときに使い、
頼りすぎない。
それが、自然にできる。
学園では、
一週間は“評価の単位”だった。
成果が出なければ、無価値。
目立たなければ、忘れられる。
だが、ここでは違う。
一週間は、
ただの“七日間”。
生き延びた、という事実だけが残る。
レオンは、畑を眺める。
昨日より、
少しだけ整っている。
それだけで、十分だ。
誰も拍手しない。
誰も記録しない。
だが、
確実に、ここに積み重なっている。
「……悪くないな」
小さく呟く。
何かを成し遂げたわけじゃない。
世界を変えたわけでもない。
ただ――
一週間、
ここで生きた。
その事実が、
レオンを少しだけ強くしていた。
今日も、
いつも通りの一日が始まる。
劇的じゃない。
だが、もう不安でもない。
この生活に、
確実に――慣れてきていた。




