第3章 聖教国の闇
リアの過去:汚された聖騎士の誇り
「……ミノル様。私はかつて、聖教国の第一近衛騎士団で副団長を務めていました。民を守り、神の教えに従うことが私のすべてでした。ですが、あの日……見てしまったのです」
彼女の語る真実は凄惨だった。 聖教国の最高権力者である枢機卿たちは、不老不死の秘薬「神の涙」を生成するために、孤児院の子供たちから魔力を抽出し、魂を削り取っていた。
「私は告発しようとしました。ですが、すでに教会の騎士団も、神官たちも腐りきっていた。彼らは私の正義を『狂気』と断じ、公衆の面前で私の名誉を剥奪したのです」
さらに、最高枢機卿はリアに、じわじわと身体を蝕み、魔力を封じる『汚壊の呪い』をかけた。 「『正義を叫ぶ口から、絶望の血を吐いて死ね』……そう笑われ、私は街を追われました。私が守りたかった民からは石を投げられ、汚物を見るような目で見られて……」
リアの拳が、白くなるほど強く握りしめられる。
「……奴らは今も、子供たちの涙で、不老不死を夢見て美食に耽っています。それが、許せないのです」
復讐の号砲
俺はリアの頭にそっと手を置いた。
「十分だ。セーラ、カレン、準備しろ。今夜、聖教国のメニューを書き換える。不老不死の薬なんて不味いもんより、後悔の味をたっぷりと教えてやる」
「……待ってました! 偽善者の皮を剥ぐのは、研究の息抜きに最高だわ!」(セーラ) 「あの鼻持ちならない教会の連中ね。隠してる金貨の匂いも、全部嗅ぎ取ってあげる!」(カレン)
俺たちは「テレポート」で、聖教国の中心部、豪華絢爛な大聖堂の真上へと跳んだ。
聖教国強襲
夜空に浮かぶ俺たちを、教会の防衛システムが捉える。 「不敬なり! 何者だ!」
「……ミノル様、私に行かせてください。あの日、捨てた誇りを取り戻したい」 リアが前に出る。俺は彼女に、全魔力を注ぎ込んだ「ハイ・フィジカルブースト」と、俺の「空間把握」を共有する支援魔法をかけた。
「行け。後ろの結界も、飛んでくる魔法も、俺が全部『ディスペル』と『念動』で塵にしてやる」
リアが「白銀」を抜き、大聖堂へと真っ逆さまに突っ込んでいく。
経験値を獲得しました(因縁の地への到達)。 ミノルは後方から「念動」で、向かってくる数千の騎士たちの武器をすべて叩き落としました。
「……さあ、掃除の始まりだ」
大聖堂の夜空に、リアの絶叫と俺の魔力が混ざり合う。 「裏切り者のリアだ! 殺せ! 枢機卿閣下に仇なす賊を一人も生かして返すな!」
大聖堂を囲む白銀の甲冑――第一近衛騎士団。かつてリアが副団長として背中を預け、正義を語り合った仲間たちが、今や私欲に溺れた枢機卿の「牙」として立ちはだかった。
「……ミノル様、止めてくださるな。彼らは、あの日私に石を投げた民衆よりも罪深い。真実を知りながら、地位のために子供たちの犠牲に目をつぶった者たちです」
リアの瞳に、かつての慈悲はない。 俺は静かに頷き、空中で指を鳴らした。
「ああ、分かっている。リア、お前の道に立ち塞がる『障害物』は、俺がすべて固定してやる」
聖教国強襲:第一騎士団の終焉
俺は「念動」を広域に展開し、地上を駆ける騎士たち数千人の足を、地面に縫い付けるように固定した。 さらに、ルナが付与した「重力加速」をリアの剣に重ねる。
「……『聖光断』!」
リアが閃光となった。 かつては「守るための剣」だった白銀が、今は「裁きの刃」として騎士たちの首を、胴を、容赦なく断ち切っていく。
「ぎあぁぁ! 動けん、体が動か――」 「助けてくれ、リア! 昔のよしみだろ――」
命乞いは、リアの剣撃の風にかき消された。 騎士団長をはじめとする精鋭たちが、俺の「空間把握」によって逃げ道を塞がれ、一人、また一人と物言わぬ肉塊に変わっていく。
「セーラ、カレン。逃げる奴がいたら仕留めろ。一人も漏らすな」 「了解。風の刃で、ネズミ一匹通さないわよ!」 「ふん、腐った鉄の匂いが鼻に付くわね。……そこよ、隠れてる奴は!」
騎士団殲滅、そしてレベルアップ
数十分後、大聖堂の前庭は、かつての白銀の輝きではなく、赤黒い血の海に沈んでいた。第一近衛騎士団、全滅。
聖教国・第一近衛騎士団を完全に殲滅しました。 経験値を獲得しました。 レベルがアップしました。
「……ふぅ。まだ前座だっていうのに、それなりの経験値だな」
名前:ミノル(新川 稔) レベル:52(限界突破) HP:22,000 / 22,000 MP:28,000 / 28,000
【新規取得魔法】
魔力徴収(MPドレイン):殺害した対象の残存魔力を吸収し、己の力に変える。
リアは返り血を浴びたまま、静かに大聖堂の巨大な扉を見つめている。 騎士たちは消えた。だが、その奥からは、騎士たちよりもさらに禍々しく、凝縮された魔力の気配が漂ってくる。
「……次は神官たちね。彼らは騎士とは違う、狡猾な魔法の使い手よ」 セーラが眼鏡を光らせ、魔導書を開く。
「鼻をつくような、薬臭い匂いが強くなってきたわ。……この奥に、例の『神の涙』の工房があるみたいね」 カレンが鼻をひくつかせ、大聖堂の深部を指差した。
大聖堂の巨大な扉が、重苦しい音を立てて内側から左右に分かれた。 そこには、血の海となった前庭を見下ろす、白装束に身を包んだ「高位神官団」が並んでいた。
「……愚かなり、裏切り者の騎士。そして名もなき罪人ども。神域を汚した罰、その身に刻むがいい」
中央に立つ大司教が杖を掲げると、大聖堂のステンドグラスが不気味に発光し、神聖なはずの空間が「呪い」の魔力で歪み始めた。
聖教国強襲:神官団の禁忌魔法
騎士たちとは次元が違う。彼らは自らの魔力ではなく、地下の工房から吸い上げた「子供たちの生命力」を変換した、歪んだ神聖魔力を操っていた。
「『聖界結界・絶罰』!」
空間そのものが真っ白な光に包まれ、俺たちの肉体を分子レベルで分解しようとする波動が押し寄せる。リアが苦悶に顔を歪めた。
「くっ……魔力が、吸い取られる……!?」
「セーラ、対抗術式を組め! カレン、影から神官の喉元を狙え!」 俺は叫びながら、MP2,000を注ぎ込んで「念動」の防壁を展開し、強引に光の波動を押し返した。
「わかってるわ! 解析完了……術式の上書き、開始! 『反転魔力爆縮』!」 セーラの魔法が神官たちの結界に干渉し、光の鎖が逆に神官たちを縛り上げる。
「なっ、何だと!? 我らが法術を書き換えるだと……!?」
死闘と「魔力徴収」
神官たちは焦り、さらに禁忌の手段に出る。自らの心臓に杖を突き立て、命と引き換えに巨大な「光の魔神」を召喚しようとする。
「死ね! 異端者どもめ!」
俺は「空間断裂」を指先に纏わせ、召喚されかかった魔神の首を空間ごと切り落とした。 「リア、今だ! 神官たちの魔力供給源を断て!」
「おおおおおッ!」 リアが光を切り裂き、神官団の中央へ飛び込む。 俺は新魔法「魔力徴収(MPドレイン)」を広域に発動した。
「神の名前を語って、子供から奪った魔力だ……。すべて俺が回収してやる」
神官たちが絶叫しながら干からびていく。彼らが奪ってきた膨大な魔力が、俺の中に、そしてレベルアップのエネルギーへと流れ込んでくる。
高位神官団を完全に殲滅しました。 奪われていた魔力の80%を徴収し、純粋な経験値に変換しました。 レベルがアップしました。
大聖堂の回廊には、力尽きた神官たちの骸が転がっている。
「……はぁ、はぁ……。ミノル様、今の……神官たちは、人の皮を被った魔物でした」 リアの剣が、怒りで震えている。
名前:ミノル(新川 稔) レベル:53(限界突破) HP:25,000 / 25,000 MP:35,000 / 35,000
【取得魔法の進化】
空間把握(神級):大聖堂の地下深く、隠された「枢機卿の玉座」への最短ルートを特定。
「……見つけた。この真下だ。絶望に震えながら、最高級の酒でも飲んでる気配がするな」
カレンが鼻をひくつかせ、冷たい笑みを浮かべた。 「ええ、最低の匂い。腐った欲望と、恐怖の汗の匂いが混ざってるわ。……行きましょう、ミノル。最後の『掃除』よ」
大聖堂の地下へと続く螺旋階段を下りるにつれ、空気は粘り気を帯び、血と薬品が混ざり合った吐き気を催すような異臭が強まっていく。
最深部の扉を「空間断裂」で消滅させ、俺たちはついに「神の涙」の醸造所に踏み込んだ。そこには、巨大な魔法陣に囲まれ、子供の姿をした「人ならざる何か」に変貌しつつある最高枢機卿と、その側近たちが待ち構えていた。
「……来たか。身の程知らずの鼠どもめ」
最高枢機卿の肌は透き通り、背後には魔力の奔流で形成された十二枚の光翼が揺らめいている。これまで戦った騎士や神官とは、存在の格が違った。
聖教国最深部:枢機卿との死闘
「ミノル、気をつけて! 奴ら、自分の魂を魔法陣に直結させて、この聖堂の魔力基盤そのものと一体化してるわ!」 セーラが叫ぶ。
「『神域・絶対遵守』」 枢機卿が静かに呟くと、俺たちの周囲の重力が数万倍に膨れ上がった。 「ぐっ……!? これが、神の涙の完成形か……!」 「フィジカルブースト」を最大出力にしても、膝が砕けそうになる。これまでの敵は「念動」でねじ伏せてきたが、枢機卿の魔力密度は俺の「念動」を内側から食い破るほどに強大だ。
「死ね、出来損ないの正義。……『光子崩壊』」
全方位から放たれる、回避不能の光の線。 「リア、カレン、俺の後ろへ!!」 俺はMPを5,000一気に放出し、空間そのものを折り畳んで盾にする「空間歪曲盾」を展開した。
キィィィィィン!!という鼓膜を裂くような音が響き、歪んだ空間が悲鳴を上げる。 「……ミノル様、防戦一方では削り取られます! 私の魔力を……すべてお使いください!」 リアが俺の背中に手を当て、自身の生命力すら魔力に変えて流し込んでくる。
反撃:限界突破の「概念解体」
「……お前たちの『不老不死』は、ただの強欲の積み重ねだ。そんな不味いもん、俺が全部『精製』してやるよ!」
俺はリアの魔力を核に、自分の全魔力を一点に集中させた。 狙うは枢機卿の体ではなく、彼らが一体化している「聖教国の魔力基盤」そのものだ。
「『ディスペル・ノヴァ』!!」
俺が放った無色の波動は、枢機卿の光の壁を透過し、地下に張り巡らされた魔法陣の術式を「概念」から分解し始めた。
「な、何だと!? 我らが積み上げた数百年の理が……消える!? 嘘だ、ありえん!!」
魔力の供給を断たれた枢機卿たちの肉体が、急速に老化し、崩れていく。 「カレン、タイガ、仕留めろ!!」
「逃がさないわよ……! その醜い顔、切り刻んであげる!」 カレンが影から飛び出し、枢機卿の喉を切り裂く。タイガの拳が、側近たちの肉体を魔法障壁ごと粉砕した。
トドメはリアだ。 「……子供たちの未来を奪った罪、地獄で贖いなさい!」 「白銀」の刃が枢機卿の胸を貫き、汚れた野望と共にその魂を浄化した。
最高枢機卿および側近を完全に殲滅しました。 聖教国の負の遺産「神の涙」を消滅させました。 かつてない膨大な経験値を獲得しました。 レベルが大幅にアップしました。
「……はぁ……はぁ……。流石に、少し疲れたな」
名前:ミノル(新川 稔) レベル:60(限界突破) HP:50,000 / 50,000 MP:65,000 / 65,000
【新規取得魔法】
事象改変:ごく狭い範囲の「現実」を書き換える。
崩れ落ちる大聖堂の地下で、俺たちは救い出した子供たちを連れ、静かに地上へと歩き出した。 リアの横顔は、憑き物が落ちたように晴れやかだった。
「ミノル様……終わりましたね」
「ああ、終わったな。……さて、腹が減った。今日は奮発して、アイテムボックスに眠らせてた一番いい肉を焼くぞ」
「……いや、まだ終わらせない」
俺の声の冷たさに、リアたちが息を呑む。 最高枢機卿は倒したが、この腐りきった国にはまだ、その恩恵にあずかっていた「生き残り」が五万といる。現場を見て見ぬふりをした神官、私腹を肥やした貴族、地下の惨状を知りながら祈りを捧げていた盲信者ども。
「一人でも残せば、また同じことが繰り返される。リア、お前の誇りを汚したこの地そのものを、概念ごと焼き払う」
俺は「鑑定」を最大出力で広域展開し、聖教国の国境内にいる「教会の思想に染まった全人間」をターゲットにロックした。逃げ場などどこにもない。
新魔法の開発:終焉の劫火「フレア」
俺は空高く舞い上がり、MPを一気に30,000注ぎ込んだ。 イメージするのは、単なる火炎ではない。太陽の核、万物を分子レベルで崩壊させる「絶対的な熱」だ。
「セーラ、ルナ、障壁を最大展開しろ。……カレン、タイガ、子供たちを連れてテレポートで拠点へ避難してろ」
俺の手のひらの上に、極小の、だが直視できないほど眩い「白銀の火種」が生まれた。
「『事象改変』……この空間の全酸素を燃料に固定。熱量を無限に増幅。……『フレア』」
俺がその火種を地上へと解き放った瞬間、聖教国の全域が、音のない白い光に包まれた。
聖教国、消滅
絶叫を上げる暇すら与えない。 神官も、貴族も、隠れ潜んでいた残党も。豪華絢爛な大聖堂も、子供たちの血を吸った地下工房も。すべてが1万度を超える超高温の中で蒸発し、原子レベルまで分解されていく。
俺はさらに「念動」を使い、舞い上がる灰すらも一箇所に集め、空中で完全に消滅させた。
聖教国の全生存残党および構造物を完全に殲滅しました。 「フレア」により、証拠となる残留魔力・DNA・記録をすべて抹消。 未曾有の経験値を獲得しました。
数分後。 そこには、ただ滑らかな「ガラス状の更地」が広がっていた。かつてそこに国があったことさえ、地図を見なければ誰も信じられないような無の空間。
「……これで、証拠は一切残らない。聖教国は『神の怒りによって一夜にして昇天した』。……そういう物語になるだろうな」
名前:ミノル(新川 稔) レベル:65(限界突破) HP:70,000 / 70,000 MP:90,000 / 90,000
【称号:終焉をもたらす者】
拠点に戻ると、リアが静かに俺を待っていた。 彼女は、更地になった故郷の方角を一瞥し、それから深く頭を下げた。
「……ありがとうございます。私の過去は、今、完全に消え去りました」
「ああ。……さて、熱い魔法を使ったせいで、喉がカラカラだ。ガルド、キンキンに冷えたエールを出せ。今日は俺の『事象改変』で、つまみを最高に熟成させてやる」
聖教国があった場所は、今や月の表面のように滑らかで静かな更地と化していた。拠点に戻った俺たちは、救出した子供たちをリアやタイガに任せ、テラスで夜風に当たりながら一息ついていた。
俺は、隣で複雑な表情を浮かべながら魔導書をめくっているセーラに視線を向けた。
「……さて。リアの件は終わった。次はセーラ、お前の番だ。あんな大聖堂を一撃で更地にするような魔法理論を組み上げたお前が、なぜ街の片隅で野垂れ死にそうになっていたのか……詳しく聞かせろ」
セーラは眼鏡を指先で押し上げ、小さく溜息をついた。
セーラの過去:知識の独占と「賢者の塔」の傲慢
「……私のいた『賢者の塔』。あそこは大陸中の魔導師が憧れる聖域でありながら、その実態は『知識の墓場』よ」
彼女が語る理由は、リアのような凄惨な暴力ではなく、より陰湿で、知的探究心を汚すものだった。
「私の理論……『魔力の効率的変換とイメージの具現化』。今のミノルの魔法の基礎になっているものだけど、あそこの老いさらばぼれた賢者たちには、それが魔法の権威を貶める『異端の技術』にしか見えなかったの」
セーラは、魔法の深淵に触れる権利は「血統」と「膨大な修練」を積んだ選ばれし者(彼ら自身)にしかないと信じる長老たちによって、徹底的に弾圧されたという。
「彼らは私の研究成果をすべて没収し、自分たちの名前で発表した。それだけじゃない……私が外部で活動できないように、『魔法使いとしての資格』を剥奪し、あらゆるギルドに『セーラは禁忌に触れて発狂した』とデマを流したのよ」
彼女が家賃も払えず飢えていたのは、彼らが社会的な繋がりをすべて断絶させたからだった。
「私が一番許せないのは、彼らが私の理論を『未完成で危険だ』と決めつけ、封印指定したこと。知識は共有され、磨かれるべきものなのに。彼らは魔法を自分たちの『権力維持の道具』として独占し、新しい可能性をすべて殺している……」
セーラの手が、持っていた魔導書を強く握りしめ、ミシリと音を立てる。
「あの塔の地下には、何千年もかけて先人たちが積み上げた、日の目を見ない魔導書や希少な魔晶石が眠っているわ。……それを自分たちだけの私物にして、高笑いしている連中よ」
彼女の瞳に宿っているのは、私怨以上に、真理を冒涜されたことへの深い憤りだった。
「……なるほどな。知識の独占か。飯のレシピを隠し持って、他人に不味いもん食わせてるようなもんだな」




