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6章 別の世界

 橘の本性がわかってから1ヶ月たった。

その間、何も話せていない。

もうすぐ体育祭がある。体育祭の何が楽しいのかわからないが、一大イベントである。

俺は運動神経がそこまでいいとは言えない。

だから、適当に体育祭を過ごす。

そんな俺に対して、クラスメイトたちはとても気持ちが浮き上がっている。

橘は友達と体育祭の準備をしている。

 そんなことはどうでもいい。

 この前の橘の「感情に対する考え方の違い」とはなんなのだろう。

あれからいくら考えても全くわからない。

そんなこと、どの本にもテレビにも無かった。

調べてもよくわからなかった。


 体育祭当日。

グラウンドは明るい雰囲気で溢れかえっていた。

体育祭のためだけに飾られた装飾、トラックの周りに並べられたテント、大きな旗。

楽しそうに話している人、気合いの入っている人、準備で忙しい人。

まさに、体育祭である。

俺は、綱引きと応援のみである。

橘は体育祭実行委員で忙しそうだ。

俺は痛々しく肌を焼く日光を避けるため、指定されたテントに移動した。

俺の出番は最後らへんだ。

こんなに暑い日差しなのに、学校に入ることはできない。

ようやく体育祭が始まった。

各競技で運動部の奴らが実力を発揮した。

俺は自分の出せる能力内で競技を完遂した。

体育祭が終わり、感情や表情という色彩の塊がグラウンド全体を埋め尽くしていた。ただ2人を除いて。

橘も何も感じず、ただやることを終わらせただけのことのようだ。

この色彩の塊の中、モノクロの色なのは橘と俺だけだ。

ものすごくわかりやすい。

あれ?橘の色が変わった。

紫、青、黒が混ざったみたいな。それと、水色。

これは、羨ましさと、悲しい過去?

俺は、もう気づいてしまった。

橘は明るい感情が無くなったわけではない。

ただ、心の奥底に押し込んだだけだ。

俺とは違って橘には感情がちゃんとあるのだ。

橘はほとんど色彩の世界にいるのだ。

モノクロの世界には片足しか突っ込んでない。

完全にモノクロの世界にいる俺とは違って。

ならば、俺はもう橘と関わるのはやめなければならない。

色彩の世界とモノクロの世界は対立しているのだから。

俺はそう思いながら変わらない世界を歩いて帰った。


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