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事情聴取4

読んで頂けると嬉しいです!

 同期会で、真理香にバカにされた洋平がその場を離れた直後。綾音は真理香の腕を掴んだ。


「ちょっと、真理香! 私の事だけならともかく、洋平の事までバカにするとか、許さないわよ!」


 綾音の顔を見た真理香は、フッと笑って言った。


「何よ、文句あるの? 大した実力もない、ポンコツ漫画家の癖に」


 それを聞いた綾音は、ギリッと唇を噛み締めた。


        ◆ ◆ ◆


「ああ、もうっ! 今聞いても腹が立ちます!」


 話を聞いた柿崎さんが、刑事の目の前だというのに声を荒らげる。


「広川さんは、綾音先生の事を見下してますよ! 広川さんとお会いした事はないですが、『アニメ化する事がどれだけ凄い事か分からないのか』って言いたくなりますね!」

「まあまあ。真理香は私と同じ文芸部だったとはいえ、そういう事にピンとこないんでしょう。あの子、自分が見下せる人間を見つける為に文芸部に入ったようなものだし」


 成瀬さんが柿崎さんを宥める。成瀬さんの漫画は、一クール分だけだが、アニメ化されているらしい。


「広川さん、成瀬さん、松谷さん、島崎さんは、皆高校の時文芸部だったんですか?」


 私が聞くと、成瀬さんは頷いて言った。


「はい。真理香は私達の事をバカにする傾向はありましたが、それなりに楽しい学校生活でした。それで、高校を卒業してからも皆交流があって……。真理香は特に気の弱い結奈に絡んで、食事を奢れと言ったり家に押しかけたりしてたみたいですけど……」


 成瀬さんが俯いてそう言った時、柿崎さんが大きな声を出した。


「あ、もうこんな時間! 綾音先生、私そろそろ帰ります。大学の友人と約束があるので」

「あら、もうそんな時間だったかしら」


 目を細めながら、成瀬さんが向かいの壁に掛けてあった時計を見る。


「それでは、失礼します。刑事さん達、綾音先生の事をよろしくお願い致します!」


 そう言うと、柿崎さんは椅子から立ち上がり、バタバタと部屋を出て行った。


 柿崎さんが抜けた後、私は花音さんに向かって言った。


「花音さん、何か成瀬さんに聞きたい事はありますか?」


 花音さんは、小声ながらも成瀬さんを真っ直ぐに見て聞いた。


「あの……成瀬さんは、眼鏡を掛けていらっしゃいますが、コンタクトレンズは使っていないんですか……?」


 成瀬さんは、苦笑しながら答えた。


「ええ、使ってないわ。子供っぽいと思われるかもしれないけど、目に異物を入れる感覚がなんだか怖くって」

「……そうですか……ありがとうございました……」


 花音さんは、ペコリと頭を下げた。眼鏡とかコンタクトレンズが、何か事件と関係があるのだろうか。


        ◆ ◆ ◆


 その後も私と御厨さんはいくつか成瀬さんに質問をしたが、特に収穫が無いまま面談は終わった。

 警視庁に戻る車内で、私は花音さんに聞いた。


「花音さん、どうして成瀬さんにコンタクトレンズを使っているか聞いたんですか?」

「……少し気になる事があって……。でも、私の考え過ぎかもしれません」

「そうですか……何か調べてほしい事とかがあれば、遠慮なく言って下さいね」


 私がそう言うと、花音さんは何かを考え込むような表情をしながら応えた。


「……では、お言葉に甘えて。小川さん、鑑識さんに、遺体の側に落ちていたガラス瓶の欠片を出来るだけ採取して詳しく調べるよう伝えて下さい」

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