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【書籍化】機甲猟兵エルフリーデの屈折した恋愛事情~最強パイロットは無礼なスパダリにキレている~  作者: 灰鉄蝸
2章:救国騎士エルフリーデ卿の伝説

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フィルニカ王国クーデター





『――現在のところ、フィルニカ王国は混乱の最中にある。各地の都市で武装蜂起した軍の一部が、国王の親衛隊や警察組織と武力衝突している。国内を視察中だった国王に対して、山岳猟兵が急襲を仕掛けている頃合いだ。夜が明けるまでにどの程度、混乱が広がるかが見物だな』


 それはそれは楽しげに、フィルニカ王国に広がる混乱を語る男。

 その声を聞きながら少女は思うのだ――こういう陰謀で人が死ぬ過程そのものを楽しめる輩が、この業界でやっていける人材なんだろうな、と。

 つまるところ道徳的にはクズの部類に入る最低の人間だ。これで愉快犯でもなく、大いなる正義実現のために万事を取り仕切るのだから最悪である。


 状況を整理しよう。

 現在、フィルニカ王国では軍の一部が反乱を起こしている。七年前に軍を味方につけクーデターを起こして、前国王イシュヴィムから玉座を奪い取ったロガキス――近代化改革を進めている現国王に対して、一部の不満分子が反旗を翻した形になる。

 決起は前日の午後一〇時に行われた。大半の市民が家に帰り、街の多くで明かりが消えているような時間帯である。

 フィルニカ王国各地の都市で決起した反乱軍は、現地の警察組織と武力衝突を起こしつつ、武装の差でこれを制圧――さらにラジオ放送局に乗り込み、自分たちの存在とその理念をフィルニカ国民にアピールした。


 すべては簒奪者ロガキスから権力を取り戻し、正当なる統治を復活させるためにあるのだ、と。

 かくして騒乱は翌日にもつれ込み、今では王国のあちこちで銃撃戦が起きているとか。

 まったく巻き込まれる側にとっては堪ったものではあるまい。何より面倒だったのは、自分がこの謀略に加担する側であることだが。

 少女は通信の向こうの相手に、ずばり言いたいことを告げた。


「その割には上手くいっていないようだけどね、キング。山岳猟兵の連中、ラト・イーリイの確保に失敗したんでしょう?」


 キングと呼ばれた男は、気分を害した様子もなくそれを認めた。


『極めて遺憾ながら、我らが親愛なる隣人はしくじったようだ。ベガニシュ帝国の秘密裏の介入も疑われる状況だよ』


 呆れたことに、どうやらここフィルニカ王国は超大国の陰謀の舞台になっているらしい。スパイ映画もびっくりのクソみたいな状況である。

 少女は自分のため息が、キングに聞かれないか不安になった。所詮、電脳棺(コフィン)の擬似的感覚に過ぎないのだが、それでも厭気ぐらいは感じられていることだろう。

 無補給長時間活動という点において、バレットナイト以上の陸戦兵器は存在しない。


 機動力に優れた軽車両にありがちな装甲防御の(もろ)さを克服し、重装甲の車両やヘリコプターにありがちな連続稼働時間の短さもなく、その軽量さと二脚歩行システムによってあらゆる悪路を走破する。

 バレットナイトは全高四メートルという背の高さを加味しても、明らかに運用上のメリットが大きい陸戦兵器だ。

 作業用マニピュレータと大型スコップを使った塹壕(ざんごう)構築――人間の二倍以上の大きさの身体と、重機じみたパワーがある駆体ならば短時間で地面を掘り返せる――もお手の物だし、バレットナイトはそれに加えて高火力の電磁投射砲まで使える。


 一部の竜騎兵と呼ばれる精鋭は弾丸のごとく駆体を疾走させ、敵陣に斬り込むのを売りにしているが、大多数の兵士たちにとってのバレットナイトは違う。

 それはおおよそあらゆる力仕事を短時間で終わらせ、重火器を満載して悪路を行き、短時間で簡易バンカーを構築できる兵器なのである。

 つまるところバレットナイトは万能の兵器だ。こうして単独で山岳地帯に入り込み、密かに遠方にいる黒幕気取りの男と長距離通信を交わせるぐらいに。

 今のところ、完全に秘匿性が保たれているこの通信技術を知るものは、キングとそれに従うビショップだけだ。

 機甲駆体の制御中枢、電脳棺の中で少女は皮肉な笑みを浮かべた。


「キングの言ってることは難しくてわからないね。要するにあなたが悪知恵を仕込んだ連中は、奇襲しておいてし損じるボンクラ揃いってことでしょう?」


『そういうわけだ、これ以上、彼らがし損じるようなら――お前が運転手を殺して止めろ、ビショップ』


「了解です、キング。そのための私でしょうからね」


『くれぐれもラト・イーリイは殺すなよ。彼にはフィルニカの王になってもらう必要がある』


 こちらの返答を待たず、通信が切れた。せっかちなのはあの男の悪癖だな、と思う。

 ここはフィルニカ王国北部、峻厳な山々が連なる山岳地帯――崖の影に潜んでいたバレットナイトが、のっそりと身を起こした。まだ野外は暗視装置を使わねばならないほど暗い。

 ラト・イーリイ・クナトフが宿泊していた高級ホテルから、最寄りの都市に至るためには必ず通らねばならないポイントがある。


「やれやれ……根腐れした愛国心とやらで、何を救うつもりやら」


 国を愛する心、故郷を愛する心、体制に忠義を尽くす心――フィルニカ王国にせよ、彼女が所属する組織にせよ、どうしようない愚か者の戯れ言ばかりのたまう。

 そのすべてを冷笑しながら、少女はガルテグ連邦製バレットナイト〈M4パートリッジ〉を駆動させた。既存の第二世代機に比べてもはるかに静音性に優れた機体は、歩行時の足音以外にほとんど痕跡を残さない。

 平時の哨戒状態ならともかく、山岳猟兵がクーデターを起こして外部に目を向けている今なら、バレットナイト一機で侵入するのは容易かった。

 秘密工作のためこの国に紛れ込んだ機甲駆体は、そうして音もなく夜闇の中に消えていった。







 自分たちと話していた異国の美少年は、クーデターで玉座を追われた前国王イシュヴィム・ウル・クナトフのご落胤(らくいん)だった。

 あまりにも奇想天外な事実を聞いて、エルフリーデ・イルーシャにあったのは、深い納得だった。

 よく考えてみると少女はもっと強烈な告白を聞いているのだ。自分を拾った無愛想な貴族男性は、実は一〇万年生きている驚異的若作りで超古代文明の生き残り――先史文明種なのだ、という。

 現実感がなさ過ぎて笑える。

 それに比べれば異国の王子(政治的にどう考えてもよろしくない隠し子)なんて笑って許容できる気がした。

 もちろんそれはエルフリーデの感覚が狂っているだけで、ベガニシュ帝国からやってきた皇帝の使いノーラ・ハイゼは絶句していたのだけれども。

 いや、それともあれは言外の納得だったのだろうか。赤毛の貴族令嬢はかなり頭が回る方なので、存外、薄々察していたのかもしれない。


 あれから敵中を突破した一行は、ハイウェイを高速で走っていた。このような無謀な突破が成功した理由は多く分けて二つある。

 一つは敵がうかつに重火器を使えないことだ。

 如何にクロガネが用意したトレーラーが防弾仕様の特注品とはいえ、バレットナイトや戦車の火砲を撃たれれば間違いなく装甲を貫通される。

 というか歩兵用の携帯ロケットランチャーなどに使われている大口径成形炸薬弾だって脅威になる。

 そして大型トレーラーは図体が大きいので、いい的なのだ。


 しかし敵の狙いはあくまでラト・イーリイ・クナトフの身柄である。爆弾でバラバラ死体にしてしまっては元も子もない。

 なので道路を高速疾走して突っ込んでくる大型トレーラーに対して、布陣していた山岳猟兵にできることは恐ろしく少なかった。

 本来、この手の装甲車両に効果てきめんな対戦車地雷すら、底面装甲をぶち抜く恐れがあって使えないのだ。

 トレーラーの運転席を撃ち抜いて足を止めようとしていた狙撃手は、エルフリーデの〈アイゼンリッター〉が狙撃砲を使って排除した。

 かくして大型トレーラーと〈アイゼンリッター〉、そして随伴するバナヴィア衛兵の〈M4Fカフドゥ〉は、欠けることなくリゾートホテルを取り囲む包囲網を抜いた。

 次々と悪意を先読みするように敵を射殺していった、エルフリーデの驚異的戦闘能力あっての強行軍である。

 残る敵の多くを、別方向に脱出していった陽動部隊――バナヴィア衛兵の決死の献身――が引きつけてたくれたのも大きい。



――さて、次はどう出るかな。



 自分が敵の指揮官ならば、追っ手を出しつつ、こちらの進路方向を塞ぐように余所の部隊を動かすだろう。

 問題は敵にそれをやるだけの余力があるかどうかだ。あらかじめ道路を封鎖する、といった一番単純な作戦が敷かれていなかったところを見るに、直前まで山岳猟兵は通常のパトロール任務のふりをしていたのだろう。

 だが、前国王の遺児ラト・イーリイ・クナトフは、クーデターを起こした反乱軍にとって喉から手が出るほど欲しいもののはずだ。

 傀儡であろうと彼がいるかどうかで、反乱軍にフィルニカ貴族が与するかどうかが変わってくる。

 多少、無理をしてでも戦力を用意すると見た方がいい。

 結論。



――前途多難だなあ。



 ため息一つ。

 とはいえリゾートホテルを脱出して数時間、エルフリーデたちは今のところは襲撃を受けずに走れている。

 エルフリーデが撃破した小隊規模のバレットナイトで本来、ラト・イーリイ・クナトフを確保するつもりだったのだろう。

 そして実際問題、警備任務に就いていたバナヴィア衛兵だけなら山岳猟兵に蹂躙されておしまいだった。

 相手の想定外になっているなら、悪くない状況である。


 現在、大型トレーラーは無灯火で道路を走っている。クロガネ特製のトレーラーは大変よくできており、運転席部分は装甲シャッターで防護され、外界はバレットナイトと同等のセンサー群によって認識できる。

 暗視装置を使って運転されているのだ。とはいえ暗視装置越しに見る景色だけを頼りにするのも危ないので、現在はエルフリーデ機が先導して道を走っている。

 全高四メートルの巨人であるバレットナイトは、二足歩行で大地を移動するが、その最大移動速度は車輪による走行に決して劣らない。

 なのでバナヴィア衛兵とエルフリーデ、合計五機のバレットナイトは大型トレーラーを取り囲むようにして並走していた。


 時刻はフィルニカ現地時間で深夜。

 まだまだ夜明けには遠く、暗がりがぼんやりと山道を覆っている。電脳棺と融合して疲労を知らない自分たちはいいが、大型トレーラーの運転をしているロイ・ファルカの負担は相当大きいはずだ。

 クロガネたちは今頃、仮眠を取っているはずだ。敵襲が来れば就寝など不可能だから、座席の上の浅い眠りであろうと取っているべきなのだが。

 しかしどうやら、内緒話をしたい人がいるようだ。

 大型トレーラーからレーザー通信機で声が入る――クロガネかと思ったが、送られてきた映像に映っていたのは意外な人物だった。

 灰色の髪、褐色の肌、まだあどけなさの残る顔立ち。


「殿下?」


『……殿下はやめてください。僕は技術者のラト・イーリイ、それ以上でもそれ以下でもないつもりです』


「それは無理な相談ですね。現実問題として、わたしたちは敵の追撃を受けていますし」


『容赦がないですね、エルフリーデ卿は』


「すいません、性分なので。何かご用でしょうか?」


 エルフリーデ・イルーシャが問いかけると、ラトは辛そうにその顔を歪めた。慚愧の念に堪えない、と顔に書いてあるような表情だった。


『……申し訳ありません、本来、ゲストであるあなたに戦闘行為を強いてしまった……そればかりか、山岳猟兵のバレットナイトは……僕の設計した〈ホーラドーン〉です……』


「つまり殿下はこう仰りたいのですね? ご自分の作った兵器が、このような騒乱に使われていることが耐えがたい、と」


『……そうです』


 驚くほどナイーブな感性だった。どこぞのバレットナイトの部品を売りさばいて帝国の富を集めている伯爵様に、爪の垢を煎じて飲ませたいぐらいだ。

 あるいは兵器産業に関わり、自らその設計に関わるような人物として、ラトは優しすぎるのかもしれない。

 第一に――そもそもエルフリーデ・イルーシャは、こうした事態を見越してフィルニカ王国まで連れてこられた騎士である。

 彼女をここまで連れてきて戦闘に巻き込んだ責任は、どう考えてもクロガネ・シヴ・シノムラにあるし、その点は常々、彼が自ら口にしている。


 その点では、戦地の英雄として宴の席に呼んだラトが無邪気すぎたのだ。

 第二に――あの首なし騎士〈ホーラドーン〉が彼の作品だから何だというのだろう。武器職人がありとあらゆる罪業を背負わねばならないなら、今頃、地獄は彼らの魂でいっぱいのはずだ。

 罪悪感を得てしまうなら、そんな仕事に就くべきではない。

 そんなことを思ったエルフリーデだったが、流石に不躾すぎると思ったので、なんとか柔らかな言い回しを探した。


「まず、わたしの仕事はこうして皆さんをお守りすることです。その点であなたが責任を感じる必要は一切ありません。次に……あなたの感じている罪悪感に対して、わたしに口にできる言葉はありませんが……」


 大切な人々の顔を思い浮かべた。クロガネもミリアムも自身の過去を後悔しながら、それでも生きている。

 どうかラト・イーリイ・クナトフにも、彼らのように強く生きて欲しい。そう、ただの少女であるエルフリーデ・イルーシャは強く祈った。

 ゆえに、真っ直ぐにそれを言の葉に乗せた。


「絶対にあなたを死なせたりしません。どんな後悔も絶望も、生き延びてからすればいいと自分は愚考します」


『…………生き延びて、後悔する……』


 強く言い切られて、ラト少年は沈黙した。どこかに呆気に取られたような表情の少年は、そうしていると胡散臭い印象はどこにもなくて、自分より年下ぐらいに見えた。

 まあ考えてみれば、ラトにもいろいろな事情があるのだろう。何をどう考えたって、表向きにされていない王族なんてきな臭い存在である。

 庶民にはわからない苦労もしているはずだ。

 そして気づく。



――わたし今、説教しちゃった?



 不味い。だらだらと冷や汗を掻きたいぐらい、エルフリーデ・イルーシャは後悔した。自分で言っておいて早速、生きるとは後悔することだという原理を体現してしまった気がする。

 画面の向こうでラトは黙り込んでいる。

 しかしその瞳はキラキラと輝いていた――まるでそう、憧れのスポーツ選手にサインをしてもらったファンみたいな感じの目だ

 あれはたぶん、エルフリーデの言葉に感じ入っている。

 ひょっとしなくても失言をしたかもしれない。

 今このときばかりはクロガネが起きていなかったことが恨めしい。本来、こういう王侯貴族の相手は彼の方が適任だろうに。



――あれ?



 そのときだった。山々が険しくそそり立つ断崖絶壁の向こう側から、音が聞こえてくる。〈アイゼンリッター〉に搭載された電脳棺が、音声パターンからデータベース照合を開始する。

 間違いなかった。

 これは輸送ヘリのローターブレードの回転音だ。それもおそらく複数機が展開している。


「――所属不明の飛行物体が接近中です」


『了解しました。ご指示を』


 バナヴィア衛兵のアラン・バリエ隊長は、数時間前の態度が嘘のようにこちらに敬意を払っている。

 指揮権をこちらに委譲するレベルなので、心底、命を預けてもいいと思われているらしかった。

 エルフリーデとしては反抗的な言動をされるより、よっぽどありがたいことなのだが――ともあれ、データリンクで繋がっている〈アイゼンリッター〉と四機の〈M4Fカフドゥ〉は、互いの死角を補いながら周囲を警戒する。

 とはいえ武装は心許ない。

 彼らから予備の狙撃砲を手渡されてはいるものの、敵陣を突破するときにかなり弾倉内の砲弾を使っている。やはり移動射撃ではミリアム・フィル・ゲドウィンほど上手くはいかない。

 音源の方を見る。

 山の陰に隠れているが、かなりの低空飛行なのは間違いなかった。そうでなければこんな近距離になるまで、ヘリコプターの接近に気づかないなんてありえない。

 明け方が近いとはいえ、まだ夜闇が色濃く残っている時間帯である。

 正気の沙汰ではなかった。



――見えた。



 大型トレーラーもエルフリーデたちも道路を走行しているから、遮蔽物になっている山との角度も変わってくる。

 一瞬だが、バレットナイトの光学センサーが所属不明機の影を捉えた。すぐさまその映像を解析する。

 それは暗視装置越しで不鮮明ではあったけれど――


「――ヘリで吊り下げできる戦車?」


 そうとしか言いようのない光景――大型のヘリコプターの腹から伸びたスリングベルトで、一両の戦車が吊り下げ輸送されている。

 妙にコンパクトな車体だが、砲塔と無限軌道がついているし戦車でいいのだろう。

 次の瞬間、通信が繋がっていたラト・イーリイ・クナトフが興奮し始めた。


『空挺戦車〈クサーリア〉――山岳猟兵の戦車です!』


 最悪だった。

 つまりは敵の増援が、大急ぎで危険な夜間低空飛行までして戦闘車両を運んできたわけだ。反乱軍には山岳猟兵だけではなく、飛行隊まで手を貸しているらしい。

 そしてこちらがヘリコプターの飛行音でその存在を探知したように、敵側も何らかの手段でこちらの現在位置を特定した――あるいは待ち伏せされたと考えるべきか。

 ともあれ把握すべきは敵戦車の性能である。


「一応、訊いておきたいんですが――」


『流石に僕は設計に関わっていませんが、アルケー樹脂装甲で軽量化され時速九〇キロメートル以上で道路を走行可能! 一五〇ミリガンランチャーの重装備が特徴です! 大口径成形炸薬弾もさることながら専用のミサイルに注意が必要かと! 個人的感想としては軽装甲に過ぎますが、その機動力と火力は決してバレットナイトに劣るものではありません!』


 いきなりカタログスペックをそらんじられた。そして訊いてもいない設計者としての感想までついてきた。

 あまりに元気がいい――さっきまで兵器設計者の苦悩を吐露していた、繊細な美少年とは思えない――受け答えだった。

 これはあれだ、クロガネ・シヴ・シノムラと同じ類の病気だ。あちらは科学技術愛好家だが、そう、これは。




軍事愛好家(ミリタリーオタク)……!」




 エルフリーデはうめいた。














・軽戦車〈クサーリア〉

フィルニカ王国独自開発の空挺戦車。オーソドックスな砲塔形式の装軌戦車の形態を取っている。

装甲材にアルケー樹脂を使って設計された最初期の戦闘車両であり、ベガニシュ帝国が第1世代バレットナイトを開発していた時期、新技術を導入して研究開発していたもの。

従来の装甲材に比べて格段の軽量化が可能となるこの特殊樹脂の恩恵で、恐ろしく軽量化されていながら頑強な車体を誇る。

車体も全長5メートル半以下に抑えられており、フィルニカ王国の国境線の多くを占める険しい山岳地帯での運用に適する。


これらの特徴から輸送ヘリでの吊り下げ輸送が可能であり、高速での展開能力を備えている。

主砲には150ミリガンランチャ-を搭載。

対戦車ミサイル、成形炸薬弾、対人キャニスター弾を発射可能。対戦車ミサイルはレーザー誘導装置によって照準され、タンデム弾頭を採用。

長距離射撃・対装甲兵器の火力をかさばる対戦車ミサイルに依存しているため、小型の車体と相まって継戦能力は低い。


また車体の小型化と軽量素材の使用が祟って、対戦車火器に対する防御力は不足しており、その存在はバレットナイトを代替するものにはなり得なかった。

山岳地帯での火力支援にうってつけの画期的な戦闘車両だったが、より軽量・高機動で長射程の重火器を運用可能な第2世代バレットナイトの登場により、その性能は陳腐化しつつある。

自動装填装置が採用されており、乗員は車長・操縦士・砲手の3名。

〈クサーリア〉とはフィルニカ王国の伝承に登場する人面獣で、おぞましい人食いの怪物とされる。


モデルはM551シェリダン。

武装

・主砲150ミリガンランチャー

・無人銃塔12.7ミリ機銃/発煙弾発射機

・主砲同軸6.8ミリ機銃










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