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研究レポート①

 実験開始。


【目的】

 意思疎通が可能な虫型の魔物作成。


【手順】

 虫が摂取可能な大きさまで砕いた魔石を三種類の虫を数匹ずつ、それぞれに与える。ここでは適量が判明していないため、さらに魔石を与える量によっても分類、経過を観察していく。

 魔石を餌として与える虫は、百足、蜘蛛、蟻の三種類である。


【問題点】

 ・魔石の特性が解明されきっていないため、粉末状にしても効果があるのかが定かではない。

 ※魔物化実験には噛んで食べていた個体も丸呑みしていた個体も成功しているため、おそらく問題ない。


 ・意思疎通が不可能な生物が対象である。





【経過観察】

■一日目

 本来、一般動物を魔物化させる場合、魔石をそのまま与えるらしい。


 虫達にはそれをそのまま食べるほどの力も大きさもないため、砕いて与え始めた。

 躊躇なく食べたため、これが自分に良い影響を与えるものだと本能的に悟っているのかもしれない。



■二日目

 変化なし。


 継続して砕いた魔石を1日に2回ずつ与えている。


 アルトも砕いた魔石を欲しがるため、ほぼ確実に本能的に求めているのだろう。

 ちなみにアルトには与えていない。



■三日目

 特に変化なし。


 高科商社の研究レポートには四日目でマウスが、二日目で室内犬が魔物化の反応を見せていたと書いていた。

 この差は摂取量、魔石の良し悪し、体重差、種、のどれかによるものだと考えられているが、この実験で摂取量と体重差が関係するのかが判明するはずだ。



■四日目

 変化なし。


 摂取量が個体差を引き出している場合、明日にはなにか兆候が表れるはず。念の為、後3日経過を観察して変化がなかった場合は改めて別の方法を試すこととする。



■五日目

 変化あり。


 室内犬を利用した魔物化実験のレポートでは、魔石を摂取している最中に突然変化したと記されていたため、おそらく魔物化のトリガーは摂取量が一定を超えることだと思われていたが、その可能性が高まった。


 粉末状の魔石を摂取している途中の蜘蛛の体長が突然1.2倍ほどに膨らみ、攻撃性が増した。



■六日目

 変化あり。


 最初に蜘蛛した蜘蛛に続き、同量の魔石を摂取していた蜘蛛3匹が魔物化反応を見せた。こちらは前日の個体よりも攻撃性の上昇は少ない。


 これらの蜘蛛は元々全て同じ飼育空間にいたため、序列関係が構築されていたのだと思われる。

 ただ、魔石を与える量自体は変わらないため、魔物化自体はある程度抑えられるもので、群れの強者を尊重した、もしくは群れの長であることそのものに魔物化の速さが関係している可能性がある。


 例としてはゲームの群れで出てくる敵の中で、ボスだけが少し大きかったりする、というものが上げられるだろう。

(あれは強者が群れの長になるからだろうが、レベルやステータス、なんなら称号が現実にある世界では、長という地位が力を得ることの助長をしている可能性もある、という話である)



■七日目

 やばい。じゃなかった。変化あり。


 魔物化する個体は増えていないが、既に魔物化した蜘蛛達の攻撃性が増加した。ガラスケースにヒビが入り、コツコツと脚で音を立てることで意思疎通を行っているように見える。俺を殺すタイミングを伺っているのだろうか。


 コレ絶対ゾンビパニックの原因になる博士の日記だろ。まだ死にたくない。

 ちなみに圭吾の野郎は電話に出なかった。高科商社お抱えの錬金術師の方は一応メールアドレスがあったため、助けとアドバイスを求める旨を送っている。助けてくれ。


 やっぱこれゾンビパニックだったかジャンル。

 このメールと研究レポートが状況を変える手立てとかに使われたら許さんからな。



■八日目

 本格的にやばい。


 ガラスケースが割られる前に、魔物化の研究に関わっていない虫達を避難させ、いつでも隔離可能にしておいた。また、意思疎通を阻むために、ブラックカーテンやガラスではない障害物などを置き、音楽を流している。それぞれ別の部屋に移すことも考えたが、実行に移そうとしたら威嚇を受けた。多分強行したら死ぬ。

 ちがうこれただの日記だ。一旦研究レポートに戻ることにする。


 他の研究に使用していた虫達は一旦魔石の摂取を控えているが、魔石に依存効果があるらしい。魔石を求めるように攻撃性が増したり、普段の餌を拒否している。

 一般動物との差異としては、元々人間と意思疎通が可能なのかどうかよりは、魔石への依存反応が原因ではないかと見ている。


 虫の魔物化自体も、魔石への依存反応をどうにかすることができれば実用化できるのかもしれない。



■九日目

 変化あり。


 魔物化した蜘蛛達が研究室を巣にしたらしい。

 朝起きると、廃墟も真っ青の蜘蛛の巣まみれになっていた。

 また、暴れている理由に魔石を求めているというのがあるのではないかと考察し、部屋に魔石を投げ入れた所、脚で床を叩く音自体は収まった。やばい。ゾンビパニックじゃなくてモンスターパニックだこれ。



■十日目

 変亻



























■十三日目

 この研究レポートは一旦、魔物化に関する日記として扱う。


 ここ四日間ほど、レポートを書けるような状態ではなかった。

 元々魔物化した蜘蛛の巣となっていた研究室だが、前魔石を食べたことで味をしめたのか、魔石を与え反応を観察、研究レポートを書こうとしたところを狙われた。

 何があったのかは分からないが、気がつけば蜘蛛の巣に絡まって一匹の魔物化した蜘蛛に監視されていた。


 恐怖に眠れぬ数日を過ごしたが、なんとか助かった。


 助かった理由についてだが、コレを読んで君達は驚くべきだ。私も心底驚いた。


 救出に来たのは、自動で餌をやる機械に設置していた餌がなくなり、食べるものがないことに腹を立てたアルトである。

 少しだけ開いていた扉から研究室に入ったアルトは、トン、と、他の魔物化した蜘蛛に比べれば本当に小さな音を脚で立てた。


 ただ、それだけ、それだけである。

 その音を聞いた蜘蛛達は、揃って頭を下げ、俺を解放した。


 ……どうやら群れの長だと思っていた蜘蛛は二番手であり、真の長はアルトであったらしい。



■十四日目

 変化あり。


 魔物化した蜘蛛達が攻撃性を見せようとする度にうちのアルトさんが威嚇するため、蜘蛛達は完全に萎縮状態になった。もはやアルトと呼び捨てで呼ぶ気にもならない。アルトさん。よろしくお願いします。


 現在は診断を行いながら、魔石の継続投与を行っている。


 また、今回の診断の結果、彼らは元々毒を持たない種であったにも関わらず、牙から微弱な毒が検出された。

 これはアルトには見られないため、確実に魔物化の影響である。

 推測にはなるが、魔物化とはそもそも種族を強くするものであり、これにあたって身体器官が変化したのであろうと考えられる。

 例えばもし人類が魔石を適量摂取し、魔物化した場合、人類の種としての強みをより強化するため、手足の爪が伸び、硬い毛が映えるはずだ。


 これでは人類と呼べるかは微妙だが、少なくとも一個体だけで自然に対抗する場合、知識ではなくそのような点で強化されるのではないだろうか。



■十五日目

 変化あり。


 魔石を一切与えていないはずのアルトが魔物化した。なんでや。







【考察】

 虫の魔物化における適量は確定したが、魔石への依存反応や攻撃性の増加などの理由は解明できていない。

 次回では、解剖することによって、魔石及び魔力がどこに保存されているのか、もしくは何か体内で変化したのかなどを調べるために、一切群れを持っていない個体で試すことにする。

(そもそもレントゲン施設を準備できれば良いのだが)

 また、体重に見合わない多量摂取が原因である可能性にも目を向けて実験を行っていくべきだろう。


 ※この後も何か書かれた形跡があるが、全て消された上で塗りつぶしてある。復元は不可能だろう……。



この小説のジャンルはモンスターパニックではありません!!!!!


次回の更新予定日は6月23日の18時です。

よろしくお願いします。

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