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ありえない方向から社会復帰した。  作者: 水鳴諒
――第二章(手稿)――
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■(4)警鐘


 ――アーシエの後に、テイテンという術が失われた場合、またはテイテンを用いる事が生まれつき困難な人々へと伝えるために、この文字を残す。


 今、アーシエの脅威に晒されているため、人間が絶滅する危険性がある。


 その中には、これまでテイテンで意思疎通を図ってきた葦原も含まれる。葦原の人々が絶えれば、テイテンで伝承・蓄積されてきた、知識・技術・思想などの事柄は、失われるだろう。その為、文字を必要としなかった我々は、異国の文字を此処で借り、最低限の情報を残す事にした。


 これは人間が絶滅した場合であっても、その後、言語理解を有する近縁の種、あるいは知的高等生物が出現した際には、その者への警告だ。オロチに備えよ。テイテンが失われる日が来たならば、キニも存在しない世界である事は容易に想像がつく。


 来る予測の中で、洪水に備えて此処に箱船を作り、情報と種子を残した。


 もしも目にした者の技術が十分に追いついていると確信を得られ、その時点でも復元可能だと判断したならば、唯々実行せよ。仮にそうで無いのならば、何もせずに技術の進歩を待つ事を祈る。


 洪水は、人々のおごり(対策を講じずに技術を乱用し天候を始めとした環境を悪化させた事)に対する、神々の怒り(地球の変動)だけで起こるのでは決してない。


 忘れてはならない。キニの非常に優れた使い手は、同様の事が可能である。他方ではケルビムや麒麟といったテイテンやキニを使用可能な、ユメグの術も生まれたと聞く。備えよ。ユメグは、エルパロの術すらも滅する事が出来るだろう。加えてヒガを使える者は、この国であってすら、天つ神の中でもごく少数である。


 五つの術は光であり鬼である。高天原も葦原はテイテンにより成立してきた。また知と学術の形態及び文字は、天つ神の一部にのみ許され、こと中つ神には、テイテンによる文化以外は、知る権利が無かった。今となっては悔やまれる。


 生き延びる可能性が僅かに存在するのは、中つ神であるからだ。暫くの間は、奇跡的に逃れられればエルパロにより長命を得た天つ神が、テイテンを用いるか、直接ヒガにより顕現する事も可能かも知れない。しかし絶えた場合に備え、ここに二柱のエーラを残すのである。人間以外の種子も同様である。




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