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■38:体力



 先程から、茨木が僕を擽っている。脇の下を触られて僕が跳ねたら、気を良くしたように脇腹を擽りはじめたのが最初だった。僕は笑っていたが、その内に、冗談ではすまなくなってきた。もう茨木の体温に慣れきっているのも悪要因である。手袋をはめた指先が動く度、トクンと体が疼くのだ。逃れようとした僕を、左腕で抱き寄せて、茨木が続ける。吐息が僕の耳にかかっている。段々顔が熱くなってきて、僕はうつむきがちに、熱い吐息を逃した。


「ぁ、ちょっと、っ」


 シャツの上から、悪戯っぽく乳首をそれぞれ弾かれた時には、声が漏れてしまいそうになった。必死で誤魔化すと、また脇腹を撫でられた。その手が今度は降りてきて、僕の内股に触れる。太ももの付け根から右膝のすぐそばまでを手が往復した。


「琉唯様は可愛いですね。感じてしまいましたか?」

「……っ……ン」


 僕は潤む瞳で茨木に振り返った。そしてキスして欲しいと目で訴える。茨木は優しく笑っていた。顔が近づいてくる。


 ――その時、声がした。


「いや待てお前ら、俺はそういうのは、恥らいが必要だと確信している!」


 僕は視線を向けようとしたが、お構いなしで、茨木が僕の唇を奪った。どんどんキスが深くなり、僕はうっとりする。体から力が抜けていったので、茨木の腕の中に倒れ込んだ。そして抱き合った所で、改めて声の主を見た。


「そろそろ帰ったら? きっと凛も心配してると思うよ」


 ギルが家出して来て、本日で三日目である。ここは僕の部屋だ。僕が茨木と何をしようとも、僕の自由である。そう考えるくらい、最近の僕は大胆になった。


「どうだろうな? 心配しているなら、させてやる」

「――そろそろ家出理由を教えてよ」


 茨木の腕の中で僕が尋ねると、ギルが目を細めながら、カップを両手で持った。本当は彼も帰りたいのだと、僕は思っている。だが、言い出せないらしい。


「その……」

「うん」

「……俺は、お前らとは違って、歳だから、ほら」

「ほらって言われても」


 僕が首を傾げた時、茨木が僕の腰を抱きながら、馬鹿にするように笑った。


「体力が持続しないというお話ですか?」

「俺には、治癒のフォンスはあんまり無いからな。休息が必要だ!」

「え? どういう事?」


 茨木を見上げて問うと、額にキスをされた。


「今から教えて差し上げましょうか? そのためには、ギルベルト様が非常に邪魔なのですが」

「ギル、自分の客間に戻って!」

「お前らって友達甲斐が無いよな!」


 そうは言いつつも、ギルが姿を消した。僕は改めて茨木を見る。その時には、既に茨木が僕のシャツのボタンを外し始めていた。


 こうして僕達は交わった。


 翌日、朝食の席に行くと、ギルの姿は無く、代わりに凛がいた。


「お世話になりました。連れて帰ります」

「うん。今度は二人で遊びに来てね」


 僕の言葉に凛が頷いた時、やっとギルが姿を現した。僕はその首にキスマークを見てとり、気づいていない様子のギルに苦笑してしまった。凛を見ると、凛は素知らぬふりをしている。


 こうして二人を見送ってから、僕は茨木と共に部屋へと戻った。






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