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Q  作者: ねこまんま
181/208

Q

■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■■■□■■

<状況23>

<その7-7>

<バー『リンダ』>


『 ばーんッ!』



テーブルが叩かれた。



「お、お母ちゃんイヤラシイッ!」



リシアの、

ほんのりと、

ホロ酔い桜色の顔は、

あっという間に真っ赤になった。

元から色白なせいもあり遥かに目立っていた。



もう、

リシアは、

大声をあげると、

勢い外へと飛び出していった。

大皿に残っているカラアゲが跳ね上がり、

テーブル下へコロコロリン転げ落ちそうな勢いであった。



「あら、あら、あららァ・・・。  もう、ねぇ・・・。」


「あんたの年の時には、 あたしなんかねぇ・・・。」


「ふう、・・・どうやら、まだ何にも無いよ~ね~、つまんな~い・・・。」



リンダは、落ちずに命拾いしたカラアゲの中から、

コロっとした一つを選びフォークで突き刺し、

口のなかへとパクリ運び込んだ。



『 モシャモシャ、モチャモチャ、』


「うん~ん、ジュ~シィ~♪」





きっと、

リンダは、

それはもう、

娘リシアの、

あられもない、

おしげもない、

はじらいもない、

はずかしげもない、

まいみだれ、悶えること、

己の下心、忌まわしいままに、

隠しモノ肌けて、舌がはい乱れるままに、

そんな、娘の肢体を、いや、モロ痴態を想像していた。



そんな事なのかもしれなくもないかもしれなかった。

リンダはそのことを言うにいとわず、

言うことを止めないばかりか、

言いまくっていた。



それどころか、

ハシリドコロか、

そんなところか、

とことん言い続けた。

とんことん、トンコトン♪





なーんかね、

白けちゃったわぁ、

と言わんばかりの顔になり、

ホロホロと酔いも醒めかけていた。



「ふぅ、 あーあぁ・・・。」



ちょっと、

ため息まじりに呟きもらした。



「さーて、あっちの男ドモでも、カマってやろうかしらねェ。」



そして、

席を立つと、

マードックとルッター達の方へ、



しなを作りつつ、

艶めくままに視線を送り、

右手にはウォッカリンの酒瓶、

左手にはテキーライムの酒瓶、

二刀流の構えで向かって行った。



それは、

眼光鋭く、

獲物を見つけ、

新たな相手にいどみ、

立ち合い向かう剣士のようであった。

危険かえりみず死地にむかう剣豪のようであった。

剣呑あやまたず酒池にむかうシュゴイ酒豪剣豪のようであった。





もうッ、

どうでもよかった!





ただ、

ここで、

ひとつ言えることは、

さっきのリンダは、相当な大間違いをしていた・・・・・。





それは、

なんなのか、

酔いのせいなのか、

イタズラ心のせいなのか、

もともと性格的なことなのか、

こともあろうに、自分の娘にたいして、

勢いよく親指ニギリを押し付けていたのである。

それだけであれば、まだ良かったのだが、いや良くないが、

いつのまにか、手の形が変わり、握り方が変わり、意味が変わっていた。



リシアに対して、

“ 中指オッタテ握り ” を押し付けていた。

アレである。アレなのである。アレを押し付けていたのであるッ!



アレと言ったら、もう、アレなのであるッ!

アレと言わなくても、それは、アレなのであるッ!

アレれ~アレれれ~、取りも直さず、アレなのであるッ!

アレから転じてアレとなす、すなわち、アレからこるむのアレかげんであるッ!





ただ、

リンダは、

そんな中でも、

酔ってるとはいえ、

左手の親指と人差し指で、

輪っかを作り、オッタテ中指に、

『 くいくい、クイクイ、Q~Q~Q~♪ 』

それ、得意になって通し捲くりはしなかった。

これだけでも幾らかはまし、良かったかもしれない。





この宇宙において、

この世界での、

この星の、

この国、

ここ、





それ、

“ 中指オッタテ握り ” は、

このように言われるサインであった。





ふぁっきゅーッ!



ファッ、Qーぅッ!


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