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<状況23>
<その6-15>
<撃墜>
敵 『石臼型』 の、
反重力浮遊炉を潰すべく、
ルッターは、装甲部分を狙った。
『クライン』は、
L字錨を引き抜かれない様に、
車体を振りほどかれ逃げられない様に、
ジャヴォは、巧みな操縦で、
敵 『石臼型』 の背後を、
押して押して押して、
押し捲くっていた。
3dメインモニターの、
火器管制レイヤーに表示される、
十字線[Cross-Hair , Reticle] の照準を合わせ、
ありったけ、これでもかと重力積層砲を撃ちまくった。
『 ズム゛ンッ、ズム゛ンッ、ズム゛ンッ、ズム゛ンッ、ズム゛ンッ、・・・』
重力積層弾を、
激しく続けざまに撃ち込んだ。
敵の重層バリアは、
L字錨のアース効果で、
弱体化して不安定になっている。
それでも、
まだまだ健在である、
敵の重層バリアに威力を削がれても、
なおも、しつこく、何発も、重力積層弾を叩き込んだ。
こぶし程の、
重力積層弾であっても、
外装甲を抉り、消し飛ばし、吹き飛ばした。
そこに姿を現したのは、
導管でつながる半球状の安全装置や、箱状の制御装置、
そして、それらに囲まれて稼動している2つの円柱状タンク。
まさに、
2基の反重力浮遊炉であった。
これらを、きれいに消散・消失・消滅させた。
ついに、
敵に、
振りほどかれ、
逃げ切られる前に、
後衛の 2機目を、無事撃破した。
それは、
浮遊することもなく、
戦車底面を地に押し付けていた。
もう、
最早これまでと、
微動だに、動くこともなく、
まさに、鉄の棺桶と成り果てていた。
後部の反重力浮遊炉が 2基とも破壊され、
きれいに消散・消失・消滅していた。
それどころか後部の外装甲が、
ほとんど消えていた。
敵 『石臼型』 浮遊戦車の、
車内が窺えるほどに、
装甲が消えていた。
計器が並び導管が走り、
抉られた天井辺りには、
赤色ベンチレーターや、
非常灯が見えていた。
ただ、隠れているのか、
そもそも、居ないのか、
搭乗員の姿が見えない。
逃げた形跡は無かった。
*****
ロル=マントル教国軍の、
『石臼型』 浮遊戦車は、
前衛の 3機が、
いま、
攻勢一転、守勢に変わり、
攻める勢い、守りに徹し、
転進がらり、撤退となり。
その逃げてく様は、
後方より重力積層弾の砲撃を受け、
着弾するたびに重層バリアは、
消滅しそうになっていた。
一瞬で、
弾着部分から、
波打つ歪みが視覚化され、
弾けるシャボン玉寸前の様に、
重層バリア全体が震え戦慄いていた。
いま、
ここに、
ヴェルドシア軍、
増援が到着していた。
その攻撃であった。
アルムット団と協力して、
追撃掃討戦を行っていた。




