Q
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<状況23>
<その6-11>
<撃砲>
今、
敵重層バリアの、
形成率が最小となった。
その時、
「よしッ。」
ルッターは、タイミングを見計らい、
『 カチリ』
トリガーを引いた。
『 バゴォッ』
雷管点火、装薬起爆、
錨撃砲が火を噴いた。
『 『 ガツ゛ンッ 』 』
L字錨は、敵の重層バリアを難なく貫き、
勢いそのままに、
上部装甲を、
貫通した。
そして、
両機は重なり合うように、
閂[カンヌキ] 差し込みガッチリホールド状態となった。
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●錨撃砲[びょうゲキホウ] とは、
銛撃ち砲 ……ダス・ハルプーンゲシュツ[Das Harpungeschütz]
これを、とても凄くした近接攻撃方法である。
半分だけ錨[イカリ] の形をした L字錨による攻撃である。
敵に取り付き、
戦車上部に搭載している、
L字錨が 『グインッ』 と持ち上がる。
L字錨からの、
鎌首をもたげた Γ字状になって、
その鋭利な先端を、相手に向けて撃ち下ろす。
相手に、『ガッチリ』 と喰らいつき離れないのである。
接近戦で一気に決める 『喰らいつき技』。
まさに漢勝負である。
これは、
けっこう大掛かりな装置のため、
ルッター機は、反重力浮遊炉を改造している。
出力を上げてる分、他の 『クライン』 より車内騒音がひどい。
ふだん、遠めに見ると、
L字錨が上を向いて寝ている状態なので、
『クライン』 上部に、角が生えてる様に見える。
なので、
ふだんはバレ無いように、
迷彩模様の幌を被せて偽装している。
なにか大きな装備品を積載してるようにしか見えない。
L字錨の後部には、
錨先端を打ち込む点火ハンマー役となるべく、
物理砲弾の弾頭のない装薬薬莢部分が、5~6発装着されている。
いまどき、
物理砲弾の装薬薬莢を手に入れるなど難しい。
そのため、ルッター達のお手製・自家製の装薬薬莢である。
[1] 装薬雷管単発点火 『 バゴォッ』 →単発撃ち込み 『 ガツ゛ンッ』
[2] 装薬雷管バースト点火 『 バゴバゴバゴォッ』
→バースト撃ち込み 『 ガツ゛ガツ゛ガツ゛ンッ』
[3] 装薬雷管連続点火 『 バゴォッ、バゴォッ、バゴォッ・・・、』
→連続撃ち込み 『 ガツ゛ンッ、ガツ゛ンッ、ガツ゛ンッ・・・、』
この 3通りの方法で、
敵浮遊戦車の上部装甲に、
【怒り】の牙を突きたて食い破る。
ただ、
[3] は滅多にない。
それに、もったいない。
ちなみに、
●モード切替セレクター [アバレタ]
[ア] 安全位置……………[撃砲トリガーを引いても作動しない]
[バ] バースト撃砲………[トリガーを一回引くと 3連続で急速作動する]
[レ] 連続撃砲……………[トリガー引きっ放しで装薬を連続で起爆させる]
[タ] 単発撃砲……………[トリガー一回ごとに雷管を点火し装薬を起爆させる]
相手に 『ガッチリ』 喰らい付き、
短砲身 50mm 砲で、ゼロ距離砲撃を行う。
更には、奮迅勇ましく、飛び移って突撃肉弾白兵戦である。
ただし、
敵の後部に、
爆砕反応装甲を持ってたら厄介である。
打ち込みどころが悪ければ L字錨を爆砕されてしまう。
また、
両軍とも、
重層バリアを突き破り、
浮遊戦車に肉弾戦をいどむ等、
そんな戦法をとるなど想定外のため、
いまのところ近接防御兵器を搭載していない。
言ってみれば、
錨撃砲は、ルッター固有の独自戦法である。
その後、
対人兵器として、
発射方式が、信号弾打ち上げと同じ、
『星地雷』 の発射装置を搭載するようになる。
星地雷 ……ディー・シュテルンミーネ[Die Sternmine]
小型星地雷 ……ダス・シュテルンヒェンミーネ[Das Sternchenmine]




