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とある高校の一場面

作者: ガソリン代は無料で

おふざけ全開の作品なので、まあ優しい目で見てね

切羽詰まった表情で走る、学生がいた


廊下を駆け回り、階段を駆け上がる


他人の目など知らぬ!と言うように駆けていく


目指す、場所は部室


視界にドアをとらえた瞬間ドアの正前に行くためスライディングし、


体勢を崩して転んだ


身体は、あおむけになりながら滑り、ドアは目の前から遠ざかり、足は軽くひねり、頭を床にぶつけ、腰を横から強打した


いてぇ・・いてぇよおおお!


涙目になりながら一瞬でボロボロになった身体を引きずり通り過ぎたドアまで戻り


戸を開けて、


「俺の財布どこか知らないか!?」


一瞬の間の後


「私と会って開幕一番それかい?もっと言うべきことがあるだろうが・・はぁ・・ドタバタ騒がしく何事かと思えば君は」


本を読んでいた先輩は手を止め目線を俺に移してそう愚痴を漏らした



「そんなことはどうでもいい!俺の財布知らないか!」

「君の財布の場所なら知ってるが」

「ほんとか!」

「いや、噓だが」

「はっ倒すぞてめえ!?」


なにシレっと噓をついてんだこの人は!?


「まぁまぁそう怒るな、そうやってすーぐ女性に怒っていたらヒモにしてくれる女性がいなくなるぞ?」

「なんで俺が働かない事前提なんですか!?」

そんなダメ男になる予定なんぞ立ててねえぞ!


「まあそんな君が、ヒモになれるか、なれないか、の話は今はどうでもいい」


「なれる、なれないじゃなくて()()()()んだよ!」

選択肢としてまずまず無い!!


「なんで人はうそをつくんだろうと考えたことはないかい?」


「話を聞け」

先輩の話がいつも通り始まった


「幼稚園では、うそをつくなと言われているのに大人は平気にうそをつく、まぁ、サンタクロースがいる、という噓がわかりやすいかな?」

「それは、子供の夢を守るためだろ」


瞬間、先輩は、すげえぐらい嫌な顔して

「子供のためなら噓をついても良いのかい?」


「いや、そういう意味じゃなくてだな…」

少しイラッとしながら反論しようとして


「どこに、イラッとした?」

質問で黙らされた


「多分『噓をついて良い』という言葉だろう?」

()()()()()()()なんて言う人は、今さっきの私のように、他人からの印象が悪くなる。つまり、人は他人がつく噓を毛嫌いしているんだよ」

「だから、幼稚園などでは、噓をつかないように教える。」

「なのになぜ、噓は減らないのだろうか?答えは簡単」

一呼吸置いて、指で俺を指し

「他人に悪印象を持たれるのが怖いからさ」

反論しようと口を開けて

「他人が、噓を毛嫌いすると知っているのに、噓をつくだなんて矛盾している、と思うかな?でも君が噓をつく時は、どんな時か考えてみてほしい」


少しの間静寂が訪れる


「怒られそうな時・・かな?」


「おお!正直だね~偉いよ~こういう時に「人を庇う時だぜ!例えば君をさ!」なーんて言ったら気持ち悪くて110番通報しちゃうところだったよ」


「そこまでやるのかよ!?」

警察案件ではないだろ!

「いや、普通に怖くないかい?そんな台詞を女子の前で言える奴。」


「…………」

何も言えない


「わかっていただき何よりだ」

(コホン)

咳払い一つ

「話が脱線したから戻すが…」

「私が言いたいのはそれだよ」

「他人が噓が嫌いなのは、みんな知っている。そして、大抵の人は他人に悪印象を持ってほしくないと感じている」

「でも、そんな人でも、噓を生涯一度も吐かないなんてありえない」

「だって噓をつく場面で、正直でいることも他人に怒りを与えると知っているからだ。」

「なら、噓をついて相手を騙して無かった事にする。そうすればこのままの関係を保てられる。相手の印象を保てられる」

「だから人は、噓か、正直か、これを天秤に乗せ、『噓を吐くこと』を選ぶのだと私は思う」


よいっしょっと


先輩が椅子から立ち上がり近づいてきて


そのまますれ違う


入り口にいる自分の横を通り廊下に出たのだ


そして、自分と向き合い


「よく噓を吐くのが悪いと聞くが、そう言うなら

正直者が得をするような世界を作ってみてほしいとは思わないか?」


先輩はにこやかに、同意を求めるようにそう尋ねてきて


「まあ、たしかに…」


目をそらしながら、俺はそう答えた


そして、


不覚にも可愛いと思ってしまった事が少し恥ずかしかった



そんな、俺の気持ちは知らない先輩は嬉しそうに

「そうか!そうか!君ならそう言ってくれると信じていたよ!」


そう言いながら

先輩は、上着のポケットに手を入れ何かを取り出そうとする


取り出そうとしながら、先輩は、


「私は、一つ君に噓をついた」

いきなりカミングアウトをしてきた



「私は、君の財布がどこにあるか知らないと言ったな」


手がポケットからでてくる

手が持っていたもの、それは、ハンカチにくるまれていた

しかし、それでもわかるぐらいぐっしょり濡れていた


「ほんとは知っていてな」

「え?」


ハンカチをほどいていく

「悪気はなかったんだ、ただ手が滑ってお茶をこぼしてしまってね」

出てきたハンカチの中身を俺に手渡す


それは、


俺の財布だった


「いやー怒るなーと思っていてね、正直怖かったが、君が私と同じように正直者が得をするようにしたい!と考えていてくれて助かったよ」


俺に背を向け背伸びをしながら、先輩はそう言った


そして振り向いて


「アハハ!、なんだい?そんな般若(はんにゃ)のような顔して!」

「・・・・・・・・・・」



「きっとそれは会社の飲み会などでやったら受けるだろうが無言でいるのは面 白くないぞ」

「・・・・・・・・・・」



「お、おい、さすがにちょっと怖いぞ?冗談は、ほ、ほどほどにしないか?」

「・・・・・・・・・・」


「えーともしかして怒って・・る?」

「・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

先輩 ダッ!!!!!!

俺  ダッ!!!!!!


「ちょ!まっ!怖い!!怖いからあ!その顔で走るな!追ってくるなああ!!やめ!やめろおおお!」

「サイフ…ナカミ……ユルサナイ!…ユルサナイ!・・チノハテマデオッテ…コロシテヤル!!」


明らかに事項自得の鬼ごっこの火蓋が切っられ、今始まる!




ゆるしてえええ!

コロス!!



三日後、学校の七不思議に「走る般若」が追加された

続きはかくかも?

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