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黒い太陽~Black my son~ 暗黒竜騎士ダイ マツモトの奇天烈オゲレツ冒険譚  作者: むきむきパいパん
ダイの朝だち、友だち、そして旅だち
30/68

30 お引っ越し

「マイさんの宿、なんか凄いメルヘンですね…」




マイさんの宿の前に着いた。




三階建てで木造なのは変わらないが、造りが凝っており、まるで小さなお城だ。全体的に薄いピンク色で塗装されている。



なんだかラブホみたいだ。




「どう?可愛い宿でしょ?」



「そうですね…」



一応頷いておくが、僕なら絶対に選ばないだろう。




「宿の人には、話し通してあるから。その馬も預けられるわよ。」




「あ、助かります。」



これまたピンクの馬小屋に松風を預けた。



松風はちょっと気に入っているようだ。




「じゃあ、私の部屋に行くわよ!」




ゴクッ。




喉がなった。



生まれてこの方女子の部屋に入った事など無い。やっぱ良い匂いとかするんだろうか。


緊張してきた。



宿に入ると、食堂が無い代わりになんと浴場がある。



「凄い!お風呂もあるんですね!」




日本人らしく、僕は入浴が好きだ。



「そうよ。でも残念ね。この浴場、女の子しか入れないの。」



出た。男女差別だ。



世の中は女性に優しく、童貞に厳しい。



これはどこの世界も変わらないようだ。




2階に上がると、廊下には赤いじゅうたんが敷かれている。



僕は一番奥の部屋に案内された。




「何してるの?はやく入りなさい。」




「は、ひゃいっ!しちゅれいします!」




僕はガチガチだ。



逆に息子だけがふにゃふにゃになっている。




「おお…」



そこには、夢にまで見た光景が、広がっていなかった。



玄関を入ると、右にトイレがあり、この先には二十畳ほどの広々とした空間があった。



端の方にベッドが1つ置かれていて、それ以外は何も無い。



一応キッチンもあるのだが、調理機具が無いのでおそらく使っていないだろう。




ちなみに無臭だ。




「マイさん、家具とかあんまり置かないんですね。」




「そうね。ここには寝に帰って来るだけだし。無駄でしょ?」




なんと男らしい。




「そうですね…ちなみに、これから僕はどこで寝ればいいんですかね?」




僕は1つしかないベッドをチラチラ見た。




(僕も一緒のベッドに入れて!)



心の中で念じた。



「あなたの寝床はここよ。」




そう言うとマイさんは入って左にある押し入れを開けた。




ドラえもんかよ!



「あの、これは収納スペースではありませんか?」




「しょうがないでしょ。ここしか空いてないんだから。」




確かにかの傾奇者も畳は一畳あれば良いと言っていた。



しかし、こんな広い部屋で押入れの中に寝る必要はあるのだろうか。



「でも、まだ部屋に寝られるスペース、いっぱいありますよね?」




家具が何も無いので、部屋の端から端まで空いている。ゴロゴロし放題だ。





「……私の事襲わないって、約束出来る?」



マイさんは不安そうな顔をして言った。



何を今さら。




多分あなたの方が強いですよ。




僕は負け戦を楽しむ気はない。




「ええ、約束します。」




「知ってるかもしれないけど、私は獣人よ。約束は命より重いわ。」




「大丈夫です。」




マイさんは何事か考えている。




逆に襲う事は出来ないけど、襲われるのはありだ。




間違いが起こる可能性は0ではない。




「いいわ。そこまで言うなら、信用してあげる。好きなところに寝なさい。」





「ありがとうございます。」




「そうと決まれば、もうあんな怪しい商売は辞めなさい。」



僕も出来れば自転車操業なんてしたくない。



赤字にさえならなければすぐにでも辞める。



「わかりました。まだ配達が終わってないので、今日届けたら足を洗います。」




これでまたネズミ狩に戻る事が出来る。




「あと、ネズミ駆除もやめて。臭いから。」





まじか…




それじゃあ僕はこの先、どうやって収入を得れば良いんだ…



「でも、ネズミ狩りをやめると松風を養う事が出来ないです…」




松風を養うには金がかかる。しかも1日一回走らせに行かないと行けないので、他に短期高収入の仕事を探さなければならない。




体を売るか?





「そんなの、私と一緒に依頼を受ければ良いじゃない。」




はい、簡単に論破されましたー。



めでたしめでたし。

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