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黒い太陽~Black my son~ 暗黒竜騎士ダイ マツモトの奇天烈オゲレツ冒険譚  作者: むきむきパいパん
ダイの朝だち、友だち、そして旅だち
28/68

28 お食事会

「まさか、そんなにお金に困ってたとは…知らなかったよ…」




僕たちは今、大衆居酒屋の無我夢中に来ている。



なんでも創業千年の長い歴史を持つ店らしい。



しかし、味は普通だ。





「ええ。思ったより馬を飼うのにお金と手間がかかりまして…」




2人がかわいそうな目を僕に向けて来る。




「あの時の報酬、やっぱり分けようか?少しは生活の足しになると思うよ。」




2人がいくら貰ったかは知らない。



しかし、1度断わったものを今さら貰う訳にはいかない。



「いえ。あの話はもう済んだ事なので。」




「そうか…」





「じゃあ、私の宿に来れば良いじゃない。」




マイさんはお酒を飲んで、顔が少し赤くなっている。



「マイさんの宿は安いんですか?」





後で知ったのだが、僕が借りている宿は高い方らしい。


冒険者ギルドの前にあるのだから当然かも知れないが、最初はお金に困っていなかった為、気にせずそのまま借り続けていた。




「私の宿は、月極めで金貨30枚よ。」




僕が借りている宿は、1泊銀貨8枚だ。30日泊まると、金貨20枚と銀貨4枚、僕の宿より高いじゃないか。



「いえ、その。今の宿の方が安いんで。」




でも、宿を変えるのも有りかも知れない。今度安い宿を探してみよう。




「は?なんでもう1部屋借りる必要があるの?私の部屋に来ればいいでしょ?」




「ホワッツ?」




何を言い出すのだ。



この女、大分酔っているみたいだ。




「ルームシェアか。それはいい、なんなら僕の宿でも……ごめん、僕の宿は無理っぽい。」




マイさんがアナさんを睨みつけている。



マイさんは怒るとたまに黒目が縦に細くなる。



おそらく獣族の特徴だろう。




「あんた、私と約束したわよね。あんたが死ぬとき、私が手を握ってるって。同じ部屋ならいつ死んでも問題ないでしょ!」



マイさんが優しいのか優しくないのかわからない発言をした。




「でも、女の子と一緒に住むのは、どうなんですかね…?」




「は!?何?あんたお金に困ってるんでしょ?」




僕は考えた。



安い宿に移り住めば、もしかしたら赤字スパイラルから抜け出せるかもしれない。




「そうでもないですよ?」




僕はマイさんに断りを入れた。間違いが起きて病気をうつしたら大変だ。




「それに、私に死ぬとき看取って欲しいんでしょ?」




この世界に来てから僕は独りぼっちだった。




しかし、今は松風がいる。




僕が死ぬ最後の日まで、松風と共にいたい。



なので、死んだ後に松風の面倒をみて貰えればそれでいい。




「そうでもないですよ?」



僕は答えた。




「は!?あんた本気?私と一緒に住めるのよ?ほら、私って結構可愛いでしょ?」






「そうでもないですよ?」




あっ、流れでつい言ってしまった。


マイさんは可愛い。




「あんた、殺すわよ…」



「すみません、マイさんは可愛いです。」




「そりゃそうでしょ。私のお母さんは傾倒の美女って言われてたんだから。私が可愛くないはずないわ!」




傾倒とは…確かにマイさんは可愛い。大学のミスコンでグランプリをとれるくらいには。けど、そこまでのものか?




もしかしたら獣族と人族では醜美の基準が違うのかも知れない。



「じゃあ、明日の朝あんたの宿に行くから、ちゃんと必要な手続きを済ませておくのよ?」




「これまた急ですね。」




「善は急げっていうやつよ!」




果たして善なのか?




「ところでさ、ダイ君の病気って、何なんだい?言いづらいなら構わないけど、もしよかったら教えてくれないかな?」




マイさんには知られたく無いが、アナさんになら教えてもいいかな。




「マイさん。出来れば、耳を塞いでください。あと、口を見て言葉を読み取るのも無しで。」




「なんで私だけ教えてくれないのよ!?あんたのこと、私が看取るのよ!!」



「だからこそ、です。」




エイズだと知られたら手を握って貰えないかもしれない。



そもそも部屋に泊めて貰えるかも怪しい。



マイさんがちゃんと耳を塞ぎ、目を閉じるのを確認すると、僕は念のため口を手で隠してアナさんの耳元で伝えた。




「ゴニョゴニョ…」



「ぷっ、はっ、はははははは!!!ダイ君、キミ、本当に面白いね!!」



「笑い事じゃないんですけど!」




マイさんがアナさんの笑い声で目を開けると、頭に?を浮かべてこちらを見ている。



「まあ、その病気は大丈夫だよ。今はマイも居るからね。今度教えてあげる。」




まさか、この世界には治療薬が存在しているのか?




それから少ししてお開きとなり、僕は少しの希望を胸に宿に帰った。

「ご感想、お待ちしております。」ミロ

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