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黒い太陽~Black my son~ 暗黒竜騎士ダイ マツモトの奇天烈オゲレツ冒険譚  作者: むきむきパいパん
ダイの朝だち、友だち、そして旅だち
26/68

26 記念日

「はいやぁ!」



パカラッ、パカラッ!




僕は今草原に来て、松風を走らせている。




本当はすぐにネズミ狩りに行きたいところだが、松風は1日1回走らせないと、馬小屋のなかで暴れてしまう。



ヒステリーを起こした女子のように暴れて柵を壊してしまった事もある。




朝一に草原まで行って帰って来るだけで、お昼近くになってしまう。



それだけではない。



夜寝る前にブラッシングしてあげなければならない。



松風が暴れた日の夜




僕は機嫌の悪い松風を落ち着かせるためブラッシングをした。



5分くらいして馬小屋を出ようとしたら、また暴れだす。



仕方ないのでブラッシングを再開したのだが、どうにも機嫌が治らない。



色々試してわかったのだが、松風に対して甘い言葉を囁きながら1時間以上ブラッシングをしないといけないらしい。




おかげで僕の稼ぎは急激に減った。



「そろそろいいかな、松風?」




「ヒヒーン、ブルルル(そうね、今日のデートはこんなものかしら。次はもうちょっと遠くに行きたいわ。泊まりがけで!キャッ!!)」





満足してくれたようだ。




草原を見渡すと、馬狩りが再開されたようだ。




捕まった馬達が1本の縄で結ばれて連行されている。




「ヒヒーン(姉御!助けて下さい!捕まっちやいました!)」




「ブーブルルル(は?そんなの自己責任でしょ!バカで弱いあんた達がいけないのよ。私とご主人の時間を邪魔しないでくれる?)」




「ブル、ブルル(そんなぁ!いやだぁ!俺は姉御の初めてを貰うまで死ねないんだぁ!)」





松風と連行される馬達が会話しているようだ。



「ごめんな松風。お前の仲間だろ?俺がお前を連れ出したせいで…」



(気にしないでご主人。私はあなたのもの。あなたのためなら、私は修羅にだってなれるわ。)











「今日は18匹か…」



ネズミ1匹銅貨7枚なので、稼ぎは金貨1枚、銀貨2枚、銅貨6枚である。



冒険者ギルドのセルフレジで報酬を貰う。





冒険者カードには1万2千6百ポイントが加算された。



今日は銀貨8枚近くの赤字である。




貯金はまだ残っているが、そろそろ対策を練らなければいけない。




「ねぇ」




今日は松風と僕が出逢って1ヶ月記念日だ。



昨日ブラッシングしながら、松風にプレゼントするって言ってしまった。




「ねぇって」




エイオンの日に買えばポイント2倍なのだが、あいにく今月はもう終わってしまっている。




「ダイ!私を無視するなんて、あんたいい根性してるわね!!」




「あ、マイさん。お久しぶりです。初めて僕の事、ダイって呼んでくれましたね。」




マイさんからは、あんた呼びしかされた事がなかった。名前を覚えられていないと思ったのだが、少し安心した。




「あんた、殺されたいの?」





マイさんが怒った。



しかも、マイさんの背中には大きな剣が背負われている。




やばい、今日はストレス解消の日だッたようだ。




「ちょっと、落ち着いて下さい。僕が悪かったです、ごめんなさい。」




僕は九十度にお辞儀した。



気持ちはこもってなくても、このお辞儀を見た人は反省してると受け取ってしまうだろう。




「そこまで深いお辞儀する人、ミロ以外で初めてみたわ…」



当たり前だ。僕はミロさんのお辞儀を見て部屋で練習したのだ。



「それで、僕になんの用です?」




「あんた、この後暇よね?夜ご飯食べに行きましょ。そこで話すわ。」




「あ、ごめんなさい。今日はもう予定入ってまして。」




「なに?それは私の誘いより大事な予定なの?」




メッチャ怖いが、ここで引いたら松風が暴れてしまう。金欠の僕には馬小屋の修理代を払う余裕が無い。




「はい。今日は記念日でして。プレゼント買ってすぐに帰らないと行けません。」



「えっ?」




「その相手って…おんな?」




マイさんの瞳が揺れる。




「そうですよ。」



松風はメスだ。





「あんた…あんな約束させておきながらっ!」





言いながらマイさんは僕に近づいてきた。




そして、僕はほっぺにグーパンされた。




僕はギルドの外まで吹っ飛んだ。





「もう、知らない!!」




マイさんは走って帰ってしまった。




「えー……」



僕、何かした?









「ブブルル(ちょっとご主人!怪我してるじゃない!!誰!?こんなことしたの!私が蹴り殺してあげる!!)」



松風は僕の頬をペロペロ舐めて来る。




優しさが伝わってきた。いい子だ。




「ありがう、松風。ちょっとマイさんを怒らせちゃって。ほら、僕達が出逢った日にいた桃髪の女の子。」




「ヒヒーン(あの女ね!!殺す!!人の男に手を出しやがって!!)」




松風が暴れだした。




「ちょっと松風、落ち着いて!今日は僕達の記念日なんだから。新しいブラシ、買ってきたんだ。これで今日は長めにブラッシングしてあげるね。」




「ブル…(ご主人!愛してるわ!私、あなたの子を産むわ!今から子供を作りましょう!!)」




松風がお尻を向けてきた。




僕は尻尾もブラッシングしてあげる。




「ブフル(ああん、焦らさないでよ。早く、入れてよ。)」




松風がお尻を振る。喜んで貰えたみたいだ。





ああ、生活が不安だ。


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