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プロローグ

皇帝に憑依された高校生が生徒会長を目指す話です!

よろしくお願いします!

 3月が終わりに近づき、もうすぐ新学期で高校が春休みとなっている時に、家族でイタリアに旅行に来ていた。

 世界史が好きなため、ローマに行くことができるので、テンションが上がりまくりであった

 そして、ローマでは壮大な建造物を前にして、その神秘に圧倒されていた。

 上がっていたテンションは最高潮であったのは確かであった。しかし、その神秘を前にして、落ち着かざるを得なかった。

 ここはローマ皇帝のお墓らしい。

 長い年月を経て、荒れ果ててしまっているが、その優美さは、まだ健在である。

「お兄ちゃん!次行くよ!」

 妹に呼ばれたので、名残惜しさを残しつつも、その建造物に背を向けて、家族のもとに駆け寄る。その背中を押すように風が吹きつけ、寒気が走る。

 ––––––なんか、体が重くなった気がする。


 




 

 春休みが明け、ついに新学期が始まった。今年で高校2年である。

 昨年は入学ということもあり、期待と緊張を胸に抱いて、真新しい制服を着て歩いていた通学路であるが、今年は、バカンスはもう終わってしまったのか、という、落胆と喪失感を胸に抱いて歩いていた。

「ずいぶんと辛気臭い顔をしているな、石川」

 猫背になって歩いている横から肩を強めに叩かれた。結構痛い。

「そっちは初日から随分とテンションが高いんだな」

「あったりまえだろ!」

 大きな声をあげて、俺の言葉に返答したのは、いつでもテンションが高く、学年の人気者である、鈴原雄二。

「いやー、クラス替えだなぁ!楽しみだ!」

 とにかく声がでかい。旅行から帰ってきてから体調が優れないので、頭に響く。

「石川もテンション上げてこーぜ!」

 また、肩を強めに叩かれる。

「おま、それ結構痛いからな」

「おぉ、それはすまん!」

 ふむ、謝ってくれるならそれで良いんだよ。

 あと、ついでに言っておこう。

「あと、声がでかい、目立つ、頭に響く」

「それもすまんな!」

 直ってない。




 

 鈴原と2人で通学路を行き、学校に到着した。

「お、同じクラスだな!」

 昇降口に貼ってあるクラス表を見て、1年間生活するクラスに移動する。

 うるさいのと同じクラスになった、とげんなりとする反面、友達作りが苦手なので、鈴原がいると友達の輪が広がるので、実は嬉しかったりもする。

「今年もよろしくな、鈴原」

「おうよ!」

 バカでかい声で反応して笑った。


 教室に到着し、黒板に貼られている座席表を見て、席を確認する。

 席は窓際の後ろから2番目。

 うむ、プリント回収とか余計な仕事がないうえに目立たない。完璧な席である。

 しかし、鈴原は完璧な場所に位置する俺の席ではなく、俺の後ろの席の人に目がいったようだ。

「お前、大城さんの前じゃねぇか、羨ましいねぇ!」

 そう言われて、俺はなんとなく席順を見直した

 大城さん、というのは学校で1番の美人で、定期テストでは常にトップをキープしているうえに、昨年は学級委員まで務めた、超のつく優等生である。

 鈴原のでかい声で、こちらに気づき、読んでいた本から顔をあげた。

 大城さんは鈴原の言葉が恥ずかしかったのか、少し照れ笑いを浮かべた。

「おはよう、石川くん」

「おはよう」

 大城さんに挨拶を返し、席につく。

「また同じクラスだね、石川くん」

 肩をちょんちょんと叩かれ、話しかけられる。鈴原も大城さんを見習って、もっと優しく肩を叩きなさい。

「そうだね、今年もよろしくね」

「うん、よろしく」

 それだけ言うと、大城さんはまた本に目を落とす。ただ、その仕草だけで彼女は絵になるほどに美しい。

 その、様子に少しだけ見惚れてしまう。

 イタリアから感じていた体の重さは、その時だけは無かった気がした。




 そう、気がしただけだった。

 翌日目を覚ますと、過去1番の怠さを感じた。

 頭痛や腹痛や咳など、風邪らしい症状は一切無く、ただただ体が重いだけである。

 イタリアから帰ってからまだそんなに日にちはたっていないため疲労が残っているのだろう。そう思い、あまり深く考えずに家を出た。



「石川くん、すごい顔色悪いけど大丈夫?」

 学校に着くと、後ろの席の大城さんに心配をされた。

「少し疲れてるのかもな」

 見栄を張ってそう答えたが、実際はかなり疲れというか体の重さがある。

「あまり無理しちゃダメだよ、辛かったら保健室行く?」

 大城さんはかなり心配そうな顔をしている。

 そんなヤバそうなのか?

「本当にヤバかったら行こうかな」

 大城さんは本当に優しいな、美人で頭が良いうえに、優しいとかモテないはずがない。

「心配してくれてありがとう。でも本当に大丈夫だから」

「うん。でも、本当に辛かったら言ってね」

「ああ、その時はよろしく」





 なんて言っていてが、いよいよマズくなってきた。

体調は問題ないが、眠い、とにかく眠い。

 だが、今の授業は、居眠りに厳しい加藤先生である。通称カトセン。

『ふむ、やっと声がつながったか』

 誰かの声が聞こえるが、あまりの眠気に何を言っているのかわからない。

『あの地からついて行き、5日ほどの時間が経ったが、生者と声をつなげるだけでこれほどまで時間がかかるとはな』

 ごちゃごちゃとうるさい。眠気も相まって、かなりイライラしてきた。

『うん?貴様聞いておるか?聞いてないな?というか寝てるな?』

 貴様ってなんだよ、ずいぶん偉そうだな。

『ええい!起きよ!皇帝の前であるぞ!』

 急に大きな声になり、眠りから覚める、前を向く。

 そこには鬼の形相でカトセンが立っていた。

 あ、ヤバい。

「おい、石川」

「はい、なんでしょうか?」

 できるだけ冷静に答える。

「後で職員室に来なさい」

「はい、すいません」



 

読んでいただきありがとうございました!

不定期の更新になると思いますが、次回も読んでいただけると嬉しいです!

では、次回もお願いします!

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