表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/71

第六話「起点を探して」

 インバーテッド家の屋敷は広い。

 起点の捜索は、手分けして行う流れになった。

 わたしは屋敷に詳しくないので、クロウと一緒に行動させてもらう。シャルティアさんは、一足先に捜索へ向かった。とりあえず、クロウとわたしもサロンを出る。


「さて、ルビィ」


「はい」


「自慢じゃないが、この屋敷は広い」


「そうみたいですね」


 だから、手分けして封印の起点を探そうという話になったのだし。


「正直、闇雲に探すのは効率が悪いとは思わないか?」


「まあ、それは……思います」


「というか、面倒だろう」


 それは、さすがにぶっちゃけすぎなのでは……


「そこでだ、ルビィ」


「なんでしょうか」


「お前、なにかこう封印の起点を感知できたりしないのか」


 え? もしかして丸投げ?


「……感知と言われても、具体的にどうすればいいのかわからないですよ」


「なに? お前、年齢はいくつだ?」


「はい? ええと……」


 ルベーリアって……たしか、十七歳だっけ。


「十七です」


「当然、魔法学校には通っているはずだな?」


「は、はい……」


 この世界では貴族の子供は、基本的に魔法学校に通っている……みたいな設定だったと思う。だからクロウは「当然」とつけたのだろう。


「十七ってことは……魔力の探知ぐらい教わっているだろう?」


「へ?」


 思わず間抜けな声が出た。


 魔力の探知? なにそれ?


 そんなの知らな……待ってよ。『わたし』は知らなくても、『ルベーリア』は知ってるのかも。

 前世の記憶を取り戻したわたしには、転生してルベーリアとして生きた十七年間の記憶もきっちりとある。

 ただ、その記憶には蓋がされているような感覚があって、深く思い出そうとしないといけない。

 えーと……探知、探知、魔力の探知……

『ルベーリア』の記憶を探ると、すぐに答えが浮かび上がってきた。


 魔力の探知とは、読んで字のごとく。

 意識を集中して、周囲にある魔力の反応を探知することだ。

 魔法を使う者にとっては、わりと基礎的な技術で……ん?


「あの、魔力探知なら、クロウ様もできるはずですよね?」


「当然だろう。とはいえ……さっきから試しているが、それらしい反応は今のところない」


 じゃあ、なんでわたしに振ったんだよ。


「ならどうして自分にって顔をしているな」


「う……」


 わたしはクロウから顔を背ける。

 考えていることが表情に出やすいって、昔からよく言われるんだよなあ……。あ、この昔っていうのは「わたし」としての昔だ。なんか、ややこしいな。


「聖女の封印が解けるお前なら、俺よりも聖女の魔力を感じやすいんじゃないかと思ってな」


「な、なるほど……」


「だから、やってみろ」


「……わかりました」


 ちょっと自信ないけど、わたしはルベーリアなんだ。

 魔力の探知ぐらいはできるはず。……たぶん。

 わたしは深呼吸して、目を閉じた。

 意識を集中させて、周囲にある魔力の反応を探る。

 すぐ近くに、闇の魔力……これはクロウのかな。

 他にも色々と、小さな魔力の反応を感じ取れたけど……


「ええと……なんだか魔力の反応がいっぱいあって、よくわからないんですけど……」


 わたしは両目を開き、クロウにそう告げる。


「あー……この屋敷には魔法道具もあるからな。小さい反応は全部、無視しろ。それから封印の起点は、たぶん光属性のはずだ」


 たしかに、聖女の魔力だもんね。


「この近くにはない……と思います」


「よし、なら移動だ」


 クロウとわたしは、屋敷内を歩いて回る。

 二階の部屋を一通り回ったけど、封印の起点は発見できなかった。


「ありませんね」


「そうだな……俺たちも一階に下りるか」


 一階はシャルティアさんが捜索している。なにか見つけたりしてないかな。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=49427196&si
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ