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ティアリーナ 10歳 亜人の少女

 二年間の時があっという間に過ごした。万物萌え出る春が再び訪ねた。

 ティアリーナは十歳になった。


 未来の大賢者アルフレッドは完全にティアリーナになった。

 毎日騎士団でジクーロイドと一緒に剣を練習していた。

 最初は世界樹ユグドラシルを救うために剣を学んだが。知らず知らずのうちに、戦闘の快感に浸っていた。

 そして、本人でさえ気付いていないが、心の中では、ジクーロイドが既に大きな割を占めていた。


 この日、ティアリーナはいつものように、騎士団の訓練を終えた。

 父と一緒に帰る途中で———


「助けてくれ!」


 ティアリーナは女性の悲鳴が聞こえた。


「お父様、さっきの悲鳴が聞こえましたか?」

「いいえ、私には何も……」


 父アラウドには何も聞こえなかった。顔に吃驚な表情を表した。

 ティアリーナは思い出した。練習の時から、ずっと聴覚を四倍に強化し続けていたことを。


「お願い! 誰か助けてくれ!」


 悲鳴が再び響いた。


「お父さん! もう説明の時間がありません! 人がもうすぐ死ぬかも!!」


 ティアリーナはすぐに馬に乗って駆け出した。


 悲鳴に沿って、城下町に来た。

 貴族令嬢のティアリーナにとって、こんな場所に来るのはまだ始めてだ。

 悲鳴にだんだんと近づいていたが。急に声が消えてしまった。


「パー! パー!」


 焦っているティアリーナに鞭で叩く音が聞こえたので、その音に沿って、暗い路地裏に入った。

 水まみれの路地に側に樽が並べている。その後ろにネズミのようなものが動けている。


「奴隷の癖に! オレ様に歯向かうか! この!」


 顔に傷跡がある太い男が地面に倒れている女性の背中を鞭で殴打している。

 女性は既に気絶し、体に血が滲んでしまっていた。


「やめてください! 彼女は既に気絶しています!」

「どこかのお嬢様よ! オレ様はただ主に歯向かう奴隷を教育していただけだ!」


 男が軽蔑な眼差しでティアリーナを見て、獰猛な顔に表した。

 僅か10歳の伯爵令嬢なら、絶対に怖くてたまらない。

 しかし、ティアリーナの顔に僅か恐怖の表情も露わになかった。


「この子が奴隷ならば、私に譲ってください!」

「生意気なお嬢様よ! こいつは亜人だ! 同情される必要はない! それでもこいつを助けたいか?」


 亜人——— 人間と違った動物の特徴を持つ生物である。

 未来では、すべての種族が平等に生存している。

 しかし、この時代では、亜人がまだ下等生物と見られている。


「そんなことはどうでもいいです! 早く鞭を止めてください! そのままでは、彼女が死んでしまいます!」

「わかった。3000ゼニだ。3000ゼニでこいつを譲る」


 3000ゼニはあんまり大金ではない。

 しかし、伯爵令嬢がお金の価値観を持っていなかった。

 ティアリーナが耳に付けているイヤリングを外した。上に鏤めているダイヤモンドがピカピカしている。

 これは、九歳の誕生日の時に、ジクーロイドからもらったプレゼントであった。

(ジク様… ごめん! 人を救うためなら… あなたならきっと私を理解できる!)


「これならきっと3000ゼニに値しますよね。早く彼女を放してください!」

「ホ~ なら頂くぜ! こいつはお嬢様のものだ」


 男はイヤリングを貰い下品な笑みを表して、後ろの路地に行った。


「あなた。しっかりして…」


 亜人はティアリーナの声を聞き、意識が戻ってきた。

 目を緩めて開けたら、知らない女性が自分を触っていることに気付いた。すぐに耳を立てて、警戒した。

 ティアリーナがこの子を見回っている。

 外見は自分とほぼ同い年の少女。頭の上に黄色い猫耳が生えて、金色と青色の色違いしている目の中に、ティアリーナの姿が映っている。


「心配しないで、もう大丈夫ですよ!」

「あんた! 何者だ! あたしに近寄らないで! さもないと…」


 猫耳の少女が両手を半分上げ、攻撃の構えを取っている。

 傷まみれの手に生えた長い爪、まるで鋭利な短剣のようだ。


「あなたの傷口はもう化膿してしまいました! 早く治さないと、命が危ないです!」

「近寄るなぁぁ!!!」


 猫耳の少女が本能的にティアリーナへ攻撃した。

 攻撃に対して、ティアリーナの顔には僅かな躊躇いもなく、慌てずに少女に向かって行く。


「ツッ!」


 顔に向かう攻撃が外れたが。三つの浅い傷跡を負てしまった。

 ティアリーナは頬にヒリヒリする痛みを感じた。鮮紅な血が流れてしまった。


「何故! 何故避けないか!」


 目の前にいるご令嬢の異常な行動に、猫耳の少女は戸惑っている。

 ティアリーナはこの隙に乗じて、少女を胸に抱き締めた。


「もう…… 心配する必要はありませんよ!」


 猫耳の少女は生まれて、初めて他人に優しくされたために。

 少女は路地を覆い尽くすほどの大きな声で泣き叫んだ。


「うわああああ…!」


 ティアリーナは手で少女の後ろ頭を優しく撫でた。


「ティアリーナちゃん! 大丈夫か!」


 後ろから、父アラウドの声が聞こえてきた。

 アラウドはさっきから、ずっと娘を追っていたが。複雑な路地で娘の姿が急に消えてしまった。

 迷っている時に、女の泣き声が聞こえたので路地裏に入ったら、やっと娘を見つけた。


「… というわけで、私はこの子を買いました。早く彼女の傷を治したいです!」

「わかった。こんな危険なこと、二度としないでくれ! そして、あなたの顔は!」


 ティアリーナが事の経緯を父に教えた。

 父アラウドは種族平等主義者のため、娘のことを誇りに思う。

 天使のような顔に傷つけられた跡を見て、アラウドは心配で叫んだ。


「これ? 大丈夫ですよ~ すぐ治すから」


アウラ! 傷を治せ!)


 ティアリーナの顔にキラキラな光が閃いた。傷跡はなくなり、まるで傷などなかったようだ。

 アウラで、受けた傷を一瞬で治すことはできるが、他人には使えない。


「早く! この子は気絶しましたよ!」


 二人は少女を連れて、馬に乗って全速で駆け出した。

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まず、自分の拙作をお読み頂き、誠にありがとうございます。


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