初めての夜会 続編
女王陛下の次は、王女様達が現れました。お二人共私を拉致するように手を引き、人気の無い所まで連れ去ってしまいました。
「あー、やっぱり来てくれたのね!お父様をきょうは・・・もとい、説得して正解だったわ!もう一度抱き締めていいわよね?」
上姉様、今明らかに脅迫と言いましたよね?というか、聞く前に抱き締められてますし。下姉様、膝抱っこだけは御容赦を。姉様の膝は柔らかくとても気持ちいいので、なかなか抜け出せないのです。お父様のですか?引き締まっているので、座り心地があまり良くないんですよね・・・。なでなでは気持ち良いので大好きですけど。
「ディアンサだから、ディアちゃんでいいわよね?東国読みのティアの方が可愛いけど、なんだかなー、って感じだし」
上姉様は、他国の言葉も習得なさっています。第一王女であり、現時点では王位継承権の最上位ですから、外交の為という事でしょうか。確か東国では、あまり濁音の付く発音はしないんでしたっけ?東国は大陸の端にあり、往復には馬車で半年も要する国ですし、国交を結ぶ可能性は低いのですが。
「王女様、親しみを持ってくださるのは有難いのですが、ここは社交の場。そして今回、私にとっては初の夜会となります。他家の方々への顔見せも兼ねておりますので、そろそろ離していただけないでしょうか?」
二人に抱き締められたまま、時折匂いを嗅がれたり、髪を軽く梳かれたりと好き放題されています。ちょっと暑いんですよね・・・。
「うー、三年ぶりなのにつれないわよ・・・。でもそうね、デビュタントを邪魔したとなったら、お父様や伯爵達から叱られてしまうわ」
お父様がお怒りになられると、とても怖いですよ?怒鳴るという事はありませんが、空気がとても冷たくなるのです。喉元に刃を突き付けられるというのは、こういう事かと思う位に。あ、やらかしたのはお母様で、その後はいつものように甘ったるい空気を醸し出していました。私がいなかったらきっと、お見せできない事までしていましたね。私の妹か弟を作ろう、という話もしていましたし。どちらでも構いませんけど、子供の教育に悪い事はしないでくださいね?
思考が逸れました。解放された私は、お父様の所へ駆け出します。何人かお会いしたい貴族の方が居り、顔繋ぎをお願いする為です。爵位無しの私では、直接伺う事が出来ないもので。
「おや、丁度いい所に。ブルムント公爵、こちらが先程お話に出ておりました、私の娘です」
あらら、お願いする間でもありませんでした。ブルムント公爵は王国の四大公爵家の一つで、王国最古の公爵家です。なんでも建国の立役者であり、当時の王家を支える事に尽力したのだとか。そして現公爵は以前の私にとっては、最も忘れてはならない方だったのです。
「お目にかかる事が出来、大変光栄に思います。ディーン・フロイト・マーネインが嫡子、ディアンサ・クロード・マーネインと申します」
余計な事は言わず、最低限の挨拶を。確か目上の方にはそうするべきだと、公爵から教えられた覚えがあります。一応は守っていますよ?父の名と簡単な挨拶だけにしていますし。
「うむ、この老骨にも丁寧な挨拶が出来るとは感心した。ディアンサ嬢は夜会への出席は初めてかな?」
「ええ、その通りです。故に至らない所もあるかと存じますが、その折はご指導ご鞭撻いただければ幸いです」
お父様が心配そうな顔でこちらを見ています。が、それは無用です。ブルムント公爵は王家御用達の指導教官であり、私ことカミーラの先生でもあった方なのです。上姉様は、公爵家の御息女から教わったと記憶していますが。イケメンか可愛い男の子じゃないと嫌、と駄々を捏ねたそうです。・・・私は渋いおじ様が大好きなので、お姉様とはついぞ好みが合いませんでしたね。
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