開通式、本番中。
・・・イヴェルカーナを絶滅させる仕事が忙しくてつい。
お爺様達の漫談を見届けたら、次の招待者が現れました。ブリング男爵とそのご子息達です。奥にもう一台馬車が見えますね、あの紋章は・・・ブルムント公爵でしょうか?あれ、でももう公爵は来てましたよね・・・?
「ご招待痛み入る。街道の完成と開通式まで至った事、誠に喜ばしい」
男爵と一緒に現れたのは、国王陛下とお姉様方でした。ブルムント公爵の馬車を借り、お忍びという体でやって来たそうです。護衛は男爵家が行うのであれば、それ以上に心強いものは無いですよね・・・。
「お母様は来てないわよ?散々言い争って、今回は譲ってもらったの。その代わり、煩いお目付け役がいるのだけれど───」
視線の先には、宰相様のお姿が。ああ、はしたない真似をしないように、という事ですね。以前と同じ事になったら、また暫く出入り禁止とさせていただきますが。
「招待者の方々も揃ったようですので、これより式典を始めさせていただきます。初めに当主、ディアンサ・クロード・マーネインより挨拶がございます」
司会は急遽、ゼノアに変更しました。私からの無茶振りを任せる関係上、リメリアでは僅かな不安があったので。え、本人は喜んでる?この顔触れの前で通常営業は無理ですか、そうですか。うーん、私の傍付きである以上、慣れてもらわないと困るんですけど。主に本人が。無茶は言いませんよ、私は?本人に出来ないと判断した場合は、他の人に頼みますし。もう少し鍛えれば、度胸もついてくるはずです。
「本日はお忙しい中、開通式にご列席賜り誠にありがとうございます。皆様のお力添えもあり、無事に今日という日を迎える事が出来ました。東国との交易はとても有益なものであり、互いの発展に効果のあるものとなるよう、尽力していく所存です。つきましては───」
ここでゼノアの方を確認します。表情が「え、本当にやるんですか?正気ですか?」と訴えてきますが、気にしません。え、前にも似たような事をしでかした?何の事でしょうか?
「当家の運営する学舎において、交換留学を執り行う事が決定致しました。東国より十数名の留学生を迎え、三年程の期間を経て帰国される予定となっております。詳細につきましては───」
かれこれ五分程説明しました。書類がある訳でもなし、あまりに細かい事は省いていますが。
ここで歓声・・・と思いきや、静まり返ったままです。喜んでいいんですよ?褒めていいんですよー?
「・・・うちの娘が、誠に申し訳ない」
何故お父様が謝罪行脚を?え、社交の場はびっくり箱じゃない?そういう発表は、正式な場を整えて行うべき?
・・・いいじゃないですか、私が楽しければそれで。あ、お姉様から目配せで言伝が。なになに、「よくもやらかしてくれたわね?」・・・ごめんなさい。




