やっと本番。今度こそ!
珍しい予告通り。何をとは言わないけども。
地獄の書類が片付き、ようやく式典当日となりました。これを立案してから一ヶ月、一度も現地視察が出来ていません・・・。商会に依頼して、差し入れを届けるのがせいぜいだったのです。おのれルイード、復讐するは我にあり!
・・・とまあ、当日まではくだらない事を考えていました。実行したのか?それはほら、あの燃え尽きたような本人の表情でお察し下さい。ふふふ、たっぷりと余剰金を増やさせていただきましたとも。まあ、給与増額で最終的には還元するんですけどね?リメリアとゼノアには、削減分の給与は臨時賞与として戻していますし。なんて優しい雇い主なんでしょうね!
「戻すのなら、何故減額したんですか・・・。いや、大体理由は分かるんですけど・・・」
ケイトから呆れた目で見られましたが、おおよそ考えている通りです。ただでさえ人材が乏しい現状です、これ以上使える人が減ったら私が困るだけなんですし。
さて、式典内容は実に単純です。立食形式で、数人からの挨拶があるだけという簡単な物です。え、そこまで簡素で良いのか?もちろん、隠し玉は用意しています。・・・あ、進行役にそれを伝えていませんでした。ま、まあ何とかなります。・・・なります、よね?
「ははは、あそこにいるのはプライムロード辺境伯かな?東部戦線の英雄一族に、国内随一の領主までお揃いとは・・・。我が娘ながら末恐ろしい・・・」
乾いた笑いを携えて、お父様とお母様が登場しました。辺境伯領を迂回すると街道が不自然に伸びてしまうので、直接交渉した方です。お父様を良く知る方だったお陰で、思いの外順調に事が進みましたっけ。今度手合わせしたいと仰っていましたが、実現するのでしょうか?
「お久しぶりです、マーネイン伯爵。是非一度、模擬戦等をご一緒したく、今回馳せ参じました。ご都合がよろしい日はございますか?」
私への挨拶をそこそこに、お父様の方へ駆けて行きました。悪い人ではないのですが、どうにも脳筋というかなんというか・・・。コンラッドとの武功話に花が咲き、「あ、だめだこりゃ」と思ったのは私だけの秘密にしてあります。
「ご無沙汰しております、閣下。今はお互い忙しい時期ですから、なかなかお時間が取れないかと───」
「些事は家人に任せれば良いではないですか?お互い国境沿いを受け持つ身、交流の場は大切にしなければ」
文言通りならば良い台詞でも、「そんなの良いから模擬戦しようぜ」という副音声が聞こえてくるんですが・・・。あ、コンラッドも同感?脳筋同士で話が合うんですねぇ。いえいえ、コンラッドは区別がついてますよ?でなければ傭兵として、今まで生き残るなんて出来なかったでしょうし。
あ、お父様が折れました。領軍の半数参加で認めさせるとは、なかなかやりますね。全軍を出しては哨戒や野獣討伐にも支障が出るので、流石の辺境伯も提案しなかったでしょうが・・・。
「ほう、プライムロード伯との模擬戦と。これは儂も───」
「駄目ですよ、父上?来週は国軍との合同訓練、その後は街道の警備隊育成があるのですから。日程を考えれば、参加は不可能です」
・・・お爺様、辺境伯と同類ですか?




