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開通式。その前に。

 今日は休暇ついでに、馬車を出してもらいました。御者はリメリア、護衛はいつもの顔触れです。同行者にケイトとナーザスを連れて来ました。考えてみたら、この面子での外出って珍しいですね?

「リメリア、新設した街道を行ってください。途中で工事現場があれば、そこで一旦停止です。差し入れがありますので」

 側道の工事は始めたばかりの為、まだ入口付近しか着工していないはずです。幾つかの領地へ続く道へ繋げるので、合間には森や川等もありますし。最短で見積もっても開通までは半年程かかる場所もあるはずです。


 やがて工事現場に差し掛かると、何やら大きな機材が見えてきました。いつだったかに開発された穿孔機を改良し、山を掘り進められるようにした物です。あー、早速現地投入しているんですねー。そう言えばこの先に、登るには面倒な山がありましたっけ。貫通させて道に出来ればとかなんとか、ぽつりと零した記憶があるような、無いような。

「思いつきで発言するからこんな事に・・・。もう成人したんですから、慎みというものをですね」

 ナーザスからお小言が始まりました。いいんですよ、細かいことは。自由にやっていいと言われてますし、やれるだけの資産はあるんですから。もうちょっと人材は必要ですけどね?


 差し入れの食料品やお酒を置いていくと、作業員達から感謝されました。発注者、しかも貴族が現場を見に来るのは初めての事だったそうです。本道のとは、業者を変えています。泊まり込みで一年以上拘束してしまったので、そろそろ家族や恋人と会いたいでしょうし。あとは同じ業者だと、色々面倒な憶測を立てられてしまうので・・・。嫌ですよ、何処そこの息子を愛人で囲っているとか、意味不明な噂が撒かれるのは。

「後は街道筋を真っ直ぐに。日が暮れるまでには戻りたいので、適当な所で引き返してくださいね?」

 幾つかの領地を経由して、最終的には東国へ行き着く街道。終点まで行きたい所ですが、今日はやめておきます。セバスも怖いですが、何日も留守にすると書類が恐ろしい事になるかもしれないので。最近ではセバスよりも、書類の山の方が怖くなってきました。少しは成長したんですよ、私も!

「はぁ・・・。またお説教が必要かなぁ・・・」

 御者席でそんな呟きがあったと私が知るのは、もっと後の事でした・・・。


「経過時間を考えると、この辺にも休憩所が欲しい所ですね。ケイト、確か今ある宿場は徒歩を基準としていましたよね?」

「はい、その通りです。正確には馬車で約半日の距離で、徒歩ならばその倍という数値で想定しています。建造が完了したのは半数といった所で、残りも今月末から来月始めまでに完成予定との事です」

 そう考えるとここは、単なる休息所で良いかもしれません。一日中歩き通しでは疲労も溜まりますし、時期によっては水分補給なども必要になるでしょう。屋根と椅子、あと水を汲める井戸があれば十分でしょうか?あ、念の為に野営も出来るようにしましょう。それを各宿場との中間地点に設置という方針でどうでしょう。中には宿代を節約し、買い付けや遊びに使いたい方もいるでしょうから。井戸の設置費用は・・・面倒です、うちから出しましょう。王妃様を説得するのも大変ですし、書類の数枚なら今更追加されてもどうということはないので。ナーザスに頼んで、大まかな距離を記した看板も追加で発注してもらいました。一日回っただけですが、他に問題点は無いでしょうか?早く開通式をしたいです。

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