割と本気で詰んでます。私じゃないですよ?
事情聴取も終わり、折角だから工事現場の視察に行こうと思った矢先でした。なんと、領主邸が襲撃されたという急報が入ったのです。まあ、被害はありません。領地邸へ真っ直ぐ向かってきたそうですが、そこにはコンラッドとその指揮下にいる自警団がいたのです。え、花壇が荒らされた?・・・死なない程度なら拷問も許可します。お母様に種を譲っていただき、私が丹精込めて育てた花達を、よくも荒らしてくれましたね・・・?
「賊の素性については、現在調査中との事です。あと二日もあれば囀るだろう、との事ですが」
音を上げるというか、口を割るという意味でしょう。ごうも・・・もとい、丁寧な対処を心掛ければ口も軽くなるという寸法です。財布の紐も緩ませてくれたらいいのですが。
「凡その見当はついていますが。賊が所持していたのは、王国軍の余剰品ばかりで、幾つかには例の紋章が彫られていたそうですから。十中八九、あの侯爵家かと」
というか、それしかいませんし。獄中のはずですが、どうにかして家人とやり取りをしたのでしょう。折角の恩情を台無しにしてくれたのです、もう徹底的にやってよろしいでしょうか?
「お嬢様、また悪い顔が・・・。いや、もう諦めてますけど」
リメリアがまた失礼な事を言っていますが、無視です。またお給料を減らされたいのでしょう。
徹底的に叩くなら、ブリング男爵にご出陣願う必要があります。あとお爺様も加えれば、王国随一の戦力で叩き潰せます、物理的な意味でも。今更の疑問ですが、王妃様の幼馴染という事は、お母様の知り合いでもあるはずですが・・・。聞いた覚えがありませんね?
「男爵は姉さんに一筋で・・・。私なんて目に入らなかったのよ。挙式の時に初めて、妹がいる事を知ったなんて言われた程にはね」
後日尋ねてみたところ、遠い目をして、お母様が説明してくださいました。十七年、妹の存在に気付かなかったとは、なかなかの一途っぷりです。男爵閣下、純情青年だったのですね・・・。
さて、楽しい時間の始まりです。事情をとある方に話したところ、王国軍のごく一部ですが、貸し出してくださいました。罪状認否も令状も要りません、なんせ当事者立ち会いですし。おまけに宰相様も追加です。家人が言い逃れするかもしれないので。
「逃亡寸前でしたね。どうしてこの包囲から逃げ出せると思ったやら・・・」
「立場や地位で言いくるめられる、そう判断したのでしょう。上から二番目という方がいるとは思わずに・・・」
爵位という点では、侯爵は上から二番目になります。公爵は王家の親類や近縁、建国当時の重要人物の係累なので、実質上では一番なのですが。そこに王族が絡んでくると話は変わります。
宰相という役職ですが、この王国においては貴族全般の纏め役という立場があります。そこに王族の補佐官として、場合によっては名代としての役が積み重なる為、状況次第では公爵家よりも強い権力を持つのです。・・・お姉様方にはいつも振り回されていますが。
「さて、これから証拠探しと楽しいごうも・・・詰問が待ってますね。参加されます?」
・・・あれ、宰相ってこんな人でしたっけ?何かこう、笑い方が黒いのですが・・・。荒らされた花壇の再建に各事業の決裁、他にもやる事が山積みなので、辞退させていただきました。




