夜会のあとで
遅くなりました・・・
夜会も終わり、予約した宿へ向かおうと馬車に乗り込みました。何かいるんですが、気にしたら負けでしょうか?
「あの子にも困ったものだわ・・・。教育を間違えたかしら。あなたはどう思う?」
何かおかしいです。私は自分が宿泊予定の宿へ向かっているのに、何故王宮の主である王妃様がいるのでしょうか?自由というか、やりたい放題というか・・・。誰か止めてください。
「ああ、あなたに言っても無駄ね。王族を使い走りに使おうとするわ、上手いこと転がそうとするわで、やりたい放題だものね?」
また頬を抓られました。うう、本当に伸びてしまいそうです・・・。そもそも、お姉様方の事を私に言う事が間違っているわけで。大好きな二人に、変な真似が出来るわけがありません。今日のは我慢出来ないので、一ヶ月の出入り禁止としましたが。
「あなたがカミーラの生まれ変わりだから、こうして接する訳ではないのよ?大切な妹───ローサの子供な上に、色々と頑張ってくれているんだもの。時折、というか毎回かしら。無茶苦茶な事も仕出かしているけれど」
「おか───王妃様、それは誤解です。私のやりたい事に必要なもの、その延長線上に王家との繋がりがありまして・・・。お姉様は可愛くお願いすればやってくれますし、あの二人から頼まれれば、陛下も嫌とは言えないだろう、と思って・・・」
「それを、利用すると言うのだけれど?本当に、どうしてこうなったやら・・・。ローサに厳しく躾るよう言わないと駄目かしら?」
「そ、それだけは御容赦を・・・。以降は気をつけますので、ここだけのお話としていただきたいです・・・」
そんな事になれば、最近は無くなっていたセバス強襲案件になってしまいます。もうあのお説教だけは喰らいたくないのです。執事に説教され、恐れる貴族家当主というのも、なんだかおかしな話ですが。
王妃様は宿に着いたら、すぐに引き返していかれました。結局何がしたかったのでしょうか?
「はふぅ・・・、流石に疲れました・・・。もう今日は仕事しませんよー」
部屋に入ってすぐ、ベッドに倒れこんでみました。ドレスが皺にー、などと小うるさい声がした気もしますが、全部無視です。んー、本当に眠ってしまいそうですね。疲れましたが湯浴みはしたいので、準備しましょうか・・・。
「王妃様。こういった気まぐれは控えてくださいと、何度も・・・」
「仕方ないでしょう、話し足りないと思ってしまったんだもの。あの子の成長を見守るのは、私達の義務であり楽しみなんだから」
帰り道、護衛兼使用人の一人に小言を貰った。馬車の中では二人きりだったけれど、流石に護衛の何人かは後をつけて来ている。あの子がカミーラの生まれ変わりだと知るのは、私達王族だけ。そしてあの子の母親が私の妹だというのは、国内で知る者はあまり多くない。今日の招待客だと、ほんの数人というところかしら。単なる気まぐれといえばそれまでだけれど、母親としての想いに気付くのは何人いるかしら?




