悪巧みと下準備。負けられません、勝つまでは
クーリオ侯爵は体調不良ということで帰ってしまい、若干手持ち無沙汰に。そういえば、ブリング男爵がいらしているとか?んー、少しお話したいですね。お爺様もいらっしゃるのなら、良い緩衝材になってくれないでしょうか?
「ディアンサ、色々とやるようになったのう・・・」
あれ、口に出てました?まあ、ブリング男爵とは旧知の仲だそうですし、お爺様経由なら無碍にされる事もないでしょう。失敗しても構いません、邪魔さえしてこなければ。
「ふむ、街道沿いの一定間隔に、宿場となる場所を設ける。その件で他国への口利きに、この老骨を使いたいと?」
簡単な説明でしたが、男爵はあっさりと理解してくれました。王国随一の軍略家として他国でも有名な男爵であれば、そういった話し合いも有利に進められると思ったのです。
「隣のユーザラス帝国は問題ないが、その先にあるモラント連合国がな・・・。領主らへの根回しは終わっておるのか?」
「はい。各地へ使者を送ったものの、否定的な意見は出なかったとか。街道建設は問題ないとしても、流石に宿場は他領の許可が必要だと思ったのです。御協力、願えますでしょうか?」
モラント連合は一国家ではなく、様々な領主の集合体です。それぞれに自治権はあるものの、法を始めとする柵は様々にあるようです。宿場となれば税や人員確保の都合もありますし、後で問題が起きないようにしておきたいんですよねぇ・・・。ユーザラス帝国は元々の同盟国でもあるので、比較的に簡単だとは思いますが。何故国王陛下に頼まないのか?そんなの、利権が奪われる事は間違いないからです。特にお姉様方に知られたら、と思うと・・・。絶対に秘密です、はい。
「計画図は見たが、儂としても問題ないと思うがの。可愛い孫娘の為にも、一肌脱いでくれんか?」
お爺様、ありがとうございます。利用しようとか考えて、申し訳ありませんでした。まあ、これからも色々とお願い事はするんですけどね?
「こちらとしても、一枚咬めるのは願ったりなんだが。如何せん、国軍の調練もあってな。単純に時間が足りんのだが・・・」
そういえば、恒例行事でブリング男爵による軍事訓練というものがありましたね。私は一度も見た事がありませんが、とても有意義な時間だそうで。時折脱走しようとする者も現れる程に、厳しい訓練ではあるそうです。ラウールが参加したいと言っていましたが、絶対許しません。私が出掛けられなくなるじゃないですか!
「うむ、そろそろお前も一人で調練の指揮は執れるな?調練は息子に任せるゆえ、各国の説得は私が引き受けよう」
あ、いたんですね。空気というか影というか、気配が薄かったので気付きませんでした。ブリング男爵家の長男で、確かルシウス・ブリングですっけ?上姉様とあまり変わらないお年頃だったはずです。顔立ちは良いのですが、存在感が薄すぎる、と姉様が言ってましたね。
「父上。それは構わないのですが、陛下への説明は・・・」
「そのようなものは不要だ。何か苦言を呈されたら、私からの指示があったと伝えればよい」
「我が馴染、その係累子息からの依頼では、動かん訳にはいくまい」と、呟くように言っていました。んー、公然の秘密だと思っていたのですが、違ったのですね。こればかりは王妃様へ感謝しなければいけませんね。




