社交界は地獄です
社交の場に出る頻度が、最近は少し増えてきました。ブルムント公爵を抱き込む為に、根回しが必要なのです。今日も今日とて、招待状持参で王都までやってきました。・・・お尻が痛いです。余裕が出来たら、馬車の乗り心地改善もしたいですね。技師の方々に頑張ってもらいましょう。
会場に入ると、早速数人に囲まれました。見た顔ばかりですが、数名ほど見覚えのない方がいらっしゃいます。んー、どなたに紹介していただきましょう?
「おお、ディアンサも来ておったか。堅苦しい顔ばかりが揃いおって、息苦しかったのなんの。これルーファス、そこをどかんか!」
「お爺様、侯爵様に何を・・・。申し訳ございません、アダムス侯爵。祖父が無粋な真似を致しまして」
駆け寄ってきたお爺様は、アダムス侯爵を押し退けて近づいてきたのです。むー、工作をする為に来たというのに、邪魔されては堪りませんね。どうにかして遠ざけなければ・・・。
「こちらにいらしたんですね、お父様?ブリング男爵とのお話途中で消えてしまうから、焦りましたよ。さあ、続きをお願い致します」
陰で見えなかったものの、歳若い男性の声がして、お爺様は去っていきました。お母様の弟でしょうか?そういえばお爺様も先月代替わりされて、息子に家督を譲ったと仰っておりましたね。忙しかったので、すっかり忘れていました・・・。
「なるほど、そういった経緯があり、街道建設を決められたと」
「ええ。人の流入に伴い、娯楽の整備は急を要すると判断しまして。幸いにも領内での整備により、知識と技術は大きく発展しました。それもあり、今回の計画を進めたのです」
話の相手はクーリオ侯爵です。街道の通り道ではないのですが、双方を結ぶ道がある為、話はしておくべきかなと思ったのです。そういえば、直接顔を合わせるのはいつ以来でしょうか?
「領内の道路建設といい、先見の明がありますな。失礼な話ではありますが、こうして話した以上、東国との通商については───」
「当然、侯爵様にもご協力を願う事もあるでしょう。今は建設途中であり、詳しい事は申し上げられませんが。何分、私の領はまだ発展途上の身であり、行き届かない点も出てくるでしょうから」
いつだったかの二の舞にはしません。寧ろ、協力してもらいたいが為にこうして社交の場に出ているのです。逃がしませんよ?
最初の印象は、活発そうな美少女だった。線は細いものの、顔立ちは何処と無く王妃様に似ておられる、とも思ったものだ。考えてみたら公にはされていないが、マーネイン伯爵の妻は殿下の妹だったか・・・。確かそれを知るのは、陛下がご結婚なされた際、侯爵位以上にあった者だけだったか。
蓋を開けてみたら、どうだ。領地は順調すぎる程に発展し、周辺の有力貴族とも交流を結んでいる。・・・うちが外されたのは爵位推挙への意趣返しだと知り、焦ったものだ。まさかこの世界に、爵位を与えられて喜ばない者がいるとは思いもしなかった。自分の娘より歳若い少女に、本気で謝罪する日が来ようとは・・・。く、治ったはずの胃がまた痛んできたぞ・・・。




