仕返し成功。やったね!
「お嬢様、準備が整ったそうです」
リメリアに呼ばれて向かうと、邸内には夜会の準備が整っていました。そう、今日は私主催での初夜会なのです。周辺領には招待状を送ってあり、陛下には知らせないよう伝えてあります。また来られてもめんど・・・もとい、おもてなし出来ませんし。そろそろ時間ですし、続々と集まってくる頃でしょう。
「で、何でこうなったんですか!」
会場には・・・いますよ、お姉様が。しかも二人とも。しまった、王族に伝えないように、と言っておくべきでした。元肉親で現親戚ですし、私主催となれば来ますよねぇ・・・。
「ディアンサ・クロード・マーネイン子爵、本日はお招きありがとう。初の主催と聞き、喜んで参加させていただいたわ」
呼んでませんし、頼んでないのですが・・・?そんな事を言える訳もなく、挨拶回りを続けていきました。見覚えのある顔ばかりなのは気のせい・・・ですよね?後でお母様に慰めてもらいましょう。
「しかし、マーネイン子爵領は発展の速度が違う」
「陛下肝入りの事業も成功させ、今や飛ぶ鳥を落とす勢いですからなぁ」
会場内では様々な人が好き好きに歩き回り、交遊しています。立食の場と休息場を用意していますが、椅子の方には人がいません。・・・お母様と王妃様を除いては。いらしてたんですか、やはり。
「お母様、本日は遠い所をありがとうございます。こう言ってはなんですが、社交の場は苦手だったのでは?」
「一人娘が初めて開く催しだもの、我儘は言っていられないでしょう?それに、姉に首根っこを掴まれては逃げられないもの・・・」
どうやら王妃様に連れてこられたようです。お母様の弱点を良く理解していらっしゃいます。考えてみたら、頻繁にご一緒されてましたね?
「マーネイン子爵。此度の急な夜会、何か裏があるのでしょう?でなければ周辺の有力貴族はもとより、大小問わずの商会にまで招待状が配られるはずがないもの。何を企んでいるのかしら?」
薄々感づいているくせに・・・、姉妹揃って図太い神経です。何故こんな二人から、天使のような私達が生まれたのでしょう?
「小悪魔が何を・・・」
後ろのリメリアから何か聞こえましたが、反応してあげません。後でお給料を減らすだけにしておきます。
「ご歓談中に失礼致します。この場をお借りして、発表したい事があります」
会話や挨拶回りも落ち着き、会も中盤となった所です。ふふふ、この為に色々と仕込んできたのです。失敗なんて許しませんとも。
「この度マーネイン子爵領より、東国周辺への直通となる街道を整備する事となりました。幸いな事に通過する国内の領主である方々からは許諾をいただいており、先方の商会からも通商について歓迎のお言葉を頂戴しております」
尽力してくれた方全員に、感謝を伝えたい所です。会場からは歓声にも似たどよめきが。開通すれば、交易路が増えるのです。これを喜ばない人はいないでしょう。既に工事は始まっている上に、領内の道は一部これを見越した上で着工したのです。
「また同時に、当方からの航路を模索しております。危険な箇所割り出し、領内に整備しております交易港を使用する予定です。こちらは計画段階であり、形となりましたら、別途お知らせ申し上げます」
あらら、何人かの商人さんが倒れてしまいました。ブルムント公爵、顔が真っ青ですよ?お父様も、何故秘密にしていたと言わんばかりに真っ赤です。ふふふ、いつかの仕返しです。え、夜会でやる事ではない?そこはほら、私ですし。ブリング男爵まで巻き込んだのは失敗ですね、反省しておきます。
ともあれ、現状一番の仕込みは発表してしまいました。まだまだ考えている事はありますが、今は東国との交易路が優先です。・・・逆に考えると、今まで無かった事が不思議ですね。




