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爵位?私、元王族なんですが・・・

中途半端な区切りですが、話の都合で・・・。続きは今週中の予定です

「レイヘム達が戻りました。査察の者より先行したとの事で、ご報告したい事があると」

 今日はセバスが休暇を取っていて、代わりにクロードがお父様の傍に控えています。万能なセバスの代役が出来るって、クロード、どれだけ有能なんでしょう?

「旦那様、お時間を取って頂きありがとうございます。先だって王城へ代官変更の届けは提出してきました。その際、国王より───」

 レイヘムの話では、今回の策を提示した者への叙爵を検討されているんだとか。・・・何故こっちを見るのでしょうか。私、違いますよ?だって私、まだ十歳の子供ですから。社交界デビューもまだなのに、叙爵なんて早すぎます!

「国王様は、策を提示したのがお嬢様だと知らないようで・・・。かくいう私も話を聞かされ、まさかとは思いましたが」

「まあまあ、レイヘムさん。お嬢様はまだ子供なんですよ?先代が立案したとか、若しくはセバスさんが言っていたと、そういう話にする方向では不可能ですか?」

 クロード、もっと言ってやってください!お父様、私の頭を撫でる手が止まってますよ?気持ちいいんですから、止めないでください。え、そんな場合じゃない?・・・ごもっともです。

「それも考えた。でも少なくとも、臨時で据えてきた代官と査察団全員が、お嬢様の立案だという事は知っているんだ。もし口止めが間に合わず、代官からの書簡や査察団からの報告が王へ回ったらどうなる?叙勲は予定通り行われるだろうが、我々は良くて査問、場合によっては偽証で牢獄行きだ。そんな事になってみろ、伯爵家の名声は地に落ちるぞ」

 モゾモゾと体を動かして、お父様の膝から抜け出しました。抱き締める力が強くなって、ちょっと痛かったのです。それにしても、叙爵ですか。面倒な事になりましたねー。代替わりしていなければ国王はあの父上ですし、話して分かってくれないでしょうか?でもその為には、王城に入らなければいけません。そんな伝手、今の私には・・・。って、目の前にあるじゃないですか、立派な伝手が!

「お父様。私、お父様の職場を見てみたいです!」

 話の流れを完全に無視して、お父様にお強請りです。そう、お父様の勤務先は王城なのです。それも近衛兵隊の隊長補佐という、副隊長にも劣らない立場の。その権限と爵位があれば、国王との面談も可能ではないでしょうか?面会ではなく面談、ここが重要なのですよ。


 二日後。やってきました、王城!え、展開が早すぎる?ご安心を、私自身も話が早すぎて戸惑っておりますので。まさかお父様がここまで性急に事を進めるなんて、思いもしませんでしたから。

「さ、ここが僕の職場だよ。自由に見ていていいからね。と言っても、面白い物なんて無いとは思うけど」

 通された部屋は白塗りの壁に、机が幾つか並んでいるだけの場所です。壁際には本棚がありますが、書類が分厚い束で納められていて、背表紙も白紙のままです。ちらっと見えた限りでは、警備状況の報告書や犯罪記録の類みたいですが。

「お父様は普段、どのようなお仕事をされているのですか?」

「近衛兵隊は、警備部隊の性質も併せ持っていてね。王都での犯罪記録や住民情報の掌握、あと入国記録の監査をしているんだ。あとは部下の訓練や、有事の為の調整かな?」

 なるほど、縁の下の力持ちという訳ですね。つまり、王都の平和はお父様が握っているという事ですか。今も安心して眠っていられるのは、こういった努力があればこそ、という事です。

「あれー、先輩じゃないですか。今日って休暇でしたよね?何でこんな所に───」

「ああ、娘が職場を見たいと言い出してね。ディアンサ、丁度いい。この人が僕の部下一人で、警備隊の隊長しているクラーク・マクウェイだ。ゲーロッシュ子爵家は知っているだろう?」

 ゲーロッシュ子爵家といえば、王都では随一の商家です。庶民の日用品から貴族御用達の高級家具まで、食料品以外の大半を扱う商会主だったと思います。そういえば、王宮にも出入りする所だったのでは?

「へえ、この子が?先輩が緩みきった顔をしてるって、隊でも噂の的ですよ。初めまして、マクウェイ家次男のクラーク・ゲーロッシュです」

「丁寧なご挨拶をありがとうございます。ディアンサ・クロード・マーネインと申します。お父様が日頃お世話になっております」

 ドレスの裾をつまみ、カーテシーで挨拶をしました。私のような子供にまで礼儀を尽くすとは、普段からの教育がしっかりとなされているようです。

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