建設開始。やっとです・・・
一ヶ月、そう一ヶ月です!私が執務室の主と化して、それだけの間を書類と格闘する事で費やしたのです。これで不備があると言われたら、暴動でも起こしますよ・・・?え、領主が暴動起こすな?なんの事でしょう。
「お嬢様、予算申請が通りました。こちらとこちらの書類に署名をお願いします。それと、これは工事業者に対する発注書と工期に関する指示書になります。全て目を通した上で、修正案があれば指示をお願いします」
・・・追加された束は、私の身長と同じ位にありました。まだ働き足りないと、そういう事でしょうか?
「今までお嬢様が怠業していた分、これらは我々が捌いていたのですよ?ほぼ間違いなく、道路工事に関してだけで言えば、私が処理したのはこの倍はあったでしょうねぇ」
恨みがましい目で、ルイードから指摘されました。なるほど、私が自由にあそ───動けていたのは、皆さんの支えあってこそだったのですね。いつもありがとうございます。
さて、呆けていても束は減りません。手伝ってくれる人もいませんし、ここは頑張りませんと。これだけ仕事したんですから、外出しても文句は言われませんよね?
燃え尽きました、真っ白に・・・。流石に多すぎですよ、あれは。署名は直筆でという指示書きが無ければ、もう少し楽だったんですよ。こう、ぺったんぺったんするだけなので。うう、またもや手が痛いです・・・。
「簡単にですが、筋肉を解しますね。こんなに凝り固まってしまって、お痛ましいです」
近くに控えていた女中が、手を揉みほぐしてくれました。ケイト程ではないですが、結構上手ですね。確か、最近雇ったうちの一人でしたっけ?屋敷内の人事はナーザスに任せているせいで、入れ替えが激しいんですよね・・・。さすがセバスの愛弟子、容赦がありません。
「ありがとう、マーシャ。今日の仕事は終わったから、ミーアを呼んで来てもらえる?明日以降の事で、相談したい事があるの」
「暫く私は、領内の各事業を視察しに出掛けようと思って。その間に起きそうな問題点は書き出して、その対処法まで書いておいたから。領主代行としての権限を与えるし、指示はお願いできる?」
ミーアは最近、経済学と経営学を本気で学ぼうとしています。何故かと聞いてみたら、私やお母様の補佐が出来るようになりたいんだとか。それなら、と任せられる範囲は任せるようにしていたのですが、今では立派な私の右腕なのです。建設に携わる人は皆、以前道路の建設にも関わってくれた人ばかりですし、そこまで大きな問題は起きないという想定です。まあ、万一があれば私も戻ってきますが。
「あ、護衛はコンラッドに頼んだし、移動は馬車を使いますよ?移動経路と滞在予定日数も書いておいたから、何かあれば早馬を出してね」
「それはいいのですが・・・。領主代行って、私でいいんですか?ゼノアさんとか借りているクロードさんとか、他にも適任はいらっしゃるかと思うのですが」
ここでミーアの育成に力を注げば、私が将来的に楽出来るのは明白です。その絶好の機会を逃すなんて、もったいない話です。ナーザス?あれはほら、上手く取り繕えば怖くないので。仕事さえしっかりやってあれば、文句を言われる筋合いは無いはずなのです。
来月から、教会兼孤児院や学校の建設が始まります。領内一斉なので、とても楽しみです。んー、ミーアに渡した予定図、ちょっと変更しましょうかね・・・。




