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視点変更───領民の場合

予定より遅くなりました・・・。ユエが悪いよユエが。

 最初は、あまり期待していなかった。元王族領とはいえ、代官は私腹を肥やすだけの邪魔者で、国王は勿論、王族の姿を見かけた事は一度も無かった。隣のウェルレッジ子爵領は発展していく一方で、こっちは寂れていくばかりだ。同い年の連中は殆どどこかへ行ってしまい、残っているのは子供や年老いた連中が多い。何も無い場所とはいえ、生まれ育った場所だ、簡単に離れられる訳がない。その日暮らしな場所で一生を終える、そう思っていた。・・・あの日までは。

 綿花の収穫を終えると、村長宅の前に見慣れない馬車が止まっていた。かなり立派な物で、何処かの貴族様がやって来たんだと思う。

「ああ。丁度いい所に。今迎えをやろうとしていたんだ」

 何食わぬ顔で通り過ぎようとしたら、村長とその息子が出てきた。俺に何の用だろうか?

「初めまして、この度ここの領主となりました、ディアンサ・クロード・マーネイン子爵と言います。初めての事で至らぬ点もあると思いますが、これから宜しくお願いいたします」

 ・・・はい?見た目十四、五歳の少女(かなり可愛い)が、いきなりそんな事を言ってきた。マーネインって確か、国境付近に領地を持つ貴族で、伯爵じゃなかったか?

「この度、紆余曲折を経て子爵位を賜りまして。本日は挨拶と現状把握の為に伺いました」


 そんな日から大体三ヶ月。村の状況は、大きく変わった。綿花や蚕は食えない、そんなのは誰でも知ってる。でも稼げるし、何より売れ残ったり腐ったりという事がまず無いから、誰もがそれを作っていた。おかげで、村の畑は白一色に染まっていたんだ。

 それが今じゃどうだ。植えられているのは芋や穀物、一部は牧草と食事に直結する物ばかりになった。綿花も残ってはいるが、それらは山間の畑にあるだけだ。

 目に見えて変わったのが、もう一つある。・・・道だ、道が出来ている。今までは森を少し切り開いた、粗末な獣道だった隣村への道が、馬車も通れる位に広く綺麗になっていた。

 歩いてみたら、大きな岩や石塊は取り除かれていた。荷車を曳いて歩いても、それ程苦痛には感じないだろう。今までは少し歩くと木の根やそこそこの石に車輪がぶつかって、下手をすると壊れて使い物にならなくなった。そのせいで、荷車は一家に一台で、貸し借りは禁止って暗黙の了解が出来た位だ。

 隣村までどころでなく、隣領までしっかり整備されてるんだから、大したもんだと思う。特に税が上がった訳でもない(下がっている位だ)のに、最近じゃ暮らしやすさが圧倒的に高い。今までが酷すぎたのかもしれないが、これもあの領主様のお陰なんだろうか?


 税が下がったって言ったな?ああ、下がったさ。今までは作物の五割を持って行かれたのが、今じゃ三割だ。たった二割かって?俺も最初はそう思ったさ。でもな、その二割がかなり大きいんだよ。

 五割、つまり半分が税金として取り上げられる。これは勿論現金や他の物と交換出来ないから、何も手に入らない。残りの五割だって、実は全部収入に繋がるかと聞かれたら、答えは否となる。半端物や、商品にならない部分も出てくるからだ。

 五割の取り分が、七割になった。今まで食うに困っていた家だって、これで立て直せた位だ。悪い事は言わん、戻ってこい。今なら移住については領主権限で、紹介状を書いてくれるらしい。

 いいか、領主様は美少女だぞ?そんじょそこらのじゃない、町を歩いてりゃ声をかけづらい位の、とびっきりだ。そんな子がほぼ月に一回、村を見に来る上に言葉を交わせるんだ。・・・独身で戻ってきてないのは、もうお前位だよ。

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