初めての夜会 終
他の貴族家も続々と現れましたが、お父様は一部の方々は無視してしまい、極少数にだけご挨拶に向かわれました。勿論、私も一緒です。
「挨拶しなかったのは、僕より上位の貴族家なんだ。親交がある訳でもない貴族相手の場合、僕から声をかけるのは失礼だからね」
ああ、そういえば聞いた覚えがあります。ブルムント公爵様は王国でも有名人であり、お父様にとっては直属の上司に当たるので、挨拶に向かうのは当然の事なのだとか。というより、挨拶に向かわなければ反抗の意思有りと看做されるのだそうです。何処の独裁者でしょうか?
そうこうしていると、ようやく主催者である国王陛下が登場されました。本来ならば王妃様も同時に現れるはずなのですが、これはこれです。王妃様も確か、お母様と同類の社交嫌いでしたね・・・。
「皆、急な誘いにも拘わらず良く集まってくれた、礼を言う。今回、このように急な夜会となったのは、重要な事態が発生した為だ」
陛下の言葉に合わせて、壇上には数人の貴族が上がって行きました。中にはブリング男爵もいらっしゃいます。んー、上がっている貴族の殆ど・・・というか、全員がお父様の上司にあたる方ですね。あ、まさか嵌められました?
「我々が証人となり、略式ではあるが、この場でディアンサ・クロード・マーネインへの叙爵を行う」
やっぱり、嵌められました!流石は国王、チョロいと思いましたが、とんだ狸です。あれ、良く見ると宰相とブルムント公爵が笑っています。首謀者はこっちでしたか・・・。
「ディアンサ・クロード・マーネイン、此度の領地経済の立て直しに尽力した事、大儀であった。その功を讃え、子爵位を授ける」
敵は身内にもいました。お父様もグルだったようです・・・。今まで見た覚えのない、とても良い笑みで送り出されたのです。娘を差し出すなんて、酷い父親ですね!これは後で、何かやり返さなければ気が済みません。
ともあれ、私が爵位持ちになってしまったのは事実です。何か納得いきませんが、デビュタントも済ませましたし。
領地ですが、お父様が以前に分割譲渡された国有地、そこが私の領地となりました。周辺はこの夜会にいる貴族で囲まれ、広さも少し広い子爵領と言える広さです。か、完璧に謀られました・・・。これもブルムント公爵の仕業ですね、覚えておきます。
今回呼ばれた用件が片付いたので、帰ろうと思えば帰れます。が、こうなっては仕方ありません。周辺の領地を束ねる貴族全員と顔繋ぎをしておき、後々の為の下準備をしておきましょう。
「いやはや、伯爵も人が悪い。このような才女を何故隠しておかれたのです?知っていれば、我が息子の婚約者にと───」
ゾワッと背筋を冷気が迸りました。今話されているのは確か、ルイーズ辺境伯でしたか?王女時代でもあまり面識が無く、どのような方か知りませんが・・・。良い感じに歳を召されているのに、笑い方が恐ろしいのです。衛兵さん、この人です!と言いたくなってきます。
「いやいや、ルイーズ伯といえど、流石にうちの娘は差し出せませんよ?っと、そろそろ妻を救出しなくては。ディアンサ、行くよ?」
お母様がいい加減帰らせろという目で、こちらを見ています。周囲は貴族家の女性陣に囲まれてらっしゃいますね。あまり社交界に顔を出さない方なので、ここぞとばかりに取り囲まれているのでしょう。私を売った報いなので、そのまましばらく放置でいいと思うのですが、あとが怖いですね。んー、お近付きになっておいて、後で何かに利用出来ないでしょうか?綺麗な方ばかりですし、良い目の保養にもなりそうです。小さい子に甘えられて万歳、私は良い駒が手に入って万歳とどちらも損しませんしね?
プロローグ的な部分が終わりました。これで次からタイトルに追いつきます。
投稿ペースは自分次第なのですが、大体4~7日毎に一話と思っていただけると。他にもネタはありますが、同時進行する程の能力が無い事に気付いたので・・・。




