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素人の張り込み

履歴書は返送してしまったし、返送していなくてもそこから個人情報を拾うのはNGだ。

乗り気じゃない僕をよそに、佐倉さんは盛り上がっている。

「大学で待伏せして、後をつけよう!

運が良ければ現場に遭遇できるかも!」

嬉々として佐倉さんが言う。

「現場に遭遇って・・・・・絶対に嫌なんですけど」

殺人現場に遭遇したいとかおかしいだろ・・・


「いやいや。特技に表記されるくらいだから、遭遇できる可能性は高いよ。

だいたいあの子結構気が強そうなのに、反撃しないとか警察行きたくないとか意外だなぁと思ってたんだ。」

「気が強そうですか?」

僕はそうは思わなかったけど、女性の受ける印象は違うのだろうか。

「うん。ぱっと見大人しそうだけど、結構自我の強いタイプだと思う。

私の女の子を見る目は確かだよ」

「そうなんですか?」

「そうそう。女の子大好きすぎて刺されたくらいだから・・・あっ・・・」

「は・・・?」

佐倉さんが口に手をやり、目をそらす。

「・・・痴情のもつれで刺されて、転生したんだ・・・」


確かに勇者らしくない、あまり人に言いたくない理由だ。

「討伐地区ごとに女がいる勇者、とか言われてて・・・

ちょっとモテたし調子にのっちゃってさぁ」

佐倉さんが照れたように笑う。

港ごとに女のいる船乗りみたいなものか?

っていうかもしかして

「男性だったんですか・・・?」

「うん。そうだよ。

さすがにもう女はコリゴリだなぁって思ってたら、自分が女の子になっちゃったよ」

あははーと軽い感じで笑う。

「・・・佐倉さん、女はコリゴリなんて思ってなさそうですよね・・・?」

女性に優しいのは気のせいではなかったようだ。

「うん。死んだときはそう思ったけど、今は思ってないね」

なんだろう。この人のこの軽さは・・・

軽くめまいを感じるほどの軽さだ・・・


さてそんな軽いノリの佐倉さんに押し切られ、例の彼女を調べることになった。

と言っても大学で見張るのは僕だけだ。

「私、土日祝日休みだし、大学生ってことは基本平日授業だよね。

とりあえず深山君が休みの平日に、見張ってみてその曜日に見つからなかったら、私が有給取るよ」

と言われたからだ。

お店は火曜と二週間に一度月曜が定休日。残りはシフト制だ。

と言うわけでシフトの休みを取った木曜に僕が張り込みをする羽目になった。

それで彼女を見つけられなければ定休日の月曜と火曜も貼り込むことになるだろう。


・・・ひどい扱いだと思う・・・

なんだよ張り込みって・・・

ため息しか出ない・・・


そんなわけで僕は近所の公園ベンチに、本を数冊もって座り込むことになった。


三月。

日差しは暖かくなってきたものの、まだまだ寒い。

電車内で痴漢を捕まえた日時から、今回の休みを木曜に決め、時間も通勤通学ラッシュ時間より早い時間に決め、公園に行く。

たぶん朝はこれで、見つけられるだろう。

問題は帰りだ。

このまま彼女が出てくるのを待つのだろうか・・・


気が重い。


結果僕は、帰りの彼女を見逃してしまった。

朝登校したのは確認できたのだが・・・


やっぱり一人で張り込みって無理がある。

と言うわけで、来週は佐倉さんが有給を取り、二人で見張ることになった。


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