僕の趣味
僕が好きな物。
ギャグマンガとネット小説を読むこと。
特に最近は異世界転生物が面白くて、読みふけっている。
それからお笑い番組。
ドラマのように、毎週見続けなければいけない番組はあまり好きじゃない。
今日観て、今日笑う。
今観て、そこでおしまい。
でも僕の周りの人は、僕がギャグマンガやお笑いが好きだなんて思っていない。
僕が笑わない人だからだ。
店の人たちにも、無趣味で何を見ても無感動な感情の起伏の少ない奴、と思われている。
多分今僕の文章を読んでいる人もそういう印象を受けているのではないだろうか。
感情移入のしにくい、盛り上がりのない文章。
つまり読みにくい文章。
報告書や取引先へのあいさつ文、営業への状況説明
そういった事務的な文章は、おおむね周りから好評。
でもそうではない私的な文章は昔から不評だ。
僕はお笑い番組やギャグマンガが好きだけど、笑わずに観て笑わずに読んでいるらしい。
自分では笑っているつもりなのに。
僕は異世界転生物が好きでよく読んでいるけど、ゲームはよく知らない。
だからスキルとかステータス、呪文(?)なんかはよくわからずに何となく読んでる。
そうそうそれから、人間観察。
転職サイトと賃貸情報を見るのも好きだ。
転職するつもりはないけど、面白そうな仕事を探して、その仕事をするならこのあたりに部屋を借りよう。
借りるならこんな部屋・・・と色々検索しながら妄想するのは楽しい。
休日に気の向いた街に出かけて、そこで「空室あり」の看板を見つけるとうれしくなる。
その町が僕を受け入れてくれるような気がするからだ。
空室あり、を見つけた僕好みの街に出会うと、近くの喫茶店に入り転職サイトを見る。
それから喫茶店に来る人や、外を歩く人を窓越しに眺める。
あの人はどんな家に住んでいて、どんな仕事をしていて、この町に何年くらいいるんだろう?
家族構成は?ペットはいるのかな?趣味は何だろう?
そんなとりとめのない人間観察とも言えないような、ぼんやりとしたことを考える。
そんなある日、変なボタンのようなものが見えるようになった。
人の顔左横当たり。その人の姿が8割以上見えていれば、背面からでも見える。
ボタン?アイコン?フォルダー?
そんな四角いクリックしたくなる形をしたものだ。
当然僕にしか見えていないようだ。
なんだろう・・・?
僕は頭を掻くふりをしながら、クリックしてみた。
それはステータスバーだった。
ゲームのわからに僕の為に、僕にわかりやすくアレンジされた形のステータスバー。
僕がレベルが理解できないせいか、レベルはどうも収入を表示しているようだ。
・・・我ながらなんともいやらしいな・・・
種族・・・は「霊長類/直鼻類/狭鼻類/ヒト」と出る・・・
一気に動植物に詳しくなれた気分だ・・・
体力・知力などのステータスは、100がMAXのようで分数表示されている。
うん。これなら僕にもわかりやすい。
そして特技。
多分これは趣味なんかも含まれてそうだ。
そして職業。
これが僕になじみのある転職サイト方式で表示されている。
おそらく就いたことのある職業が黒文字表示、未経験の職業はグレー文字表示。
職業のわきには適正度らしきパーセンテージが表示されている。
僕は人間観察という、数少ない趣味のうちの一つを失った。