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好きなのに理由って必要ですか? と彼女は言った  作者: なつのさんち
好きなのに理由って必要ですか? と彼女は言った

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その5

 逃げるようにファストフード店を出た。注目されるのホント無理。みんな見てんだもの。怖いよ。

 今も通り過ぎる人達が俺の事を見ている気がする。俺が何したってんだ。

 もちろん見られているのは超絶美少女である冬花(ふゆか)ちゃんですよ。超可愛い女子高生の事をみんな見てるんだと思いますよ? でもね、こうも注目を浴びるとね、自分が見られている訳ではないにしても緊張しますよ。ドキドキもんですよ。


「あの……」


 はぁ、ただ歩いているだけで手に汗をかくわ。ふと隣を歩く冬花ちゃんを見ると、顔を真っ赤にしている。どうしたんだろうか。もしかして、俺の歩くペースが速かっただろうか。逃げるように店を出たから、そのまま早足で歩いていたかも知れない。悪い事をしたかな。


柊人(しゅうと)さん、その……」


 さっきまではあんなに怒っていた冬花ちゃんが、モジモジとしながら言い淀んでいる。もしかして、恥ずかしがっている……?

 俺と歩いているのを見られるのが恥ずかしいのだろうか、と考えて止める。そんな事を口にすればまた怒らせてしまう。そうではない事はさっきの発言で分かる。俺も学習能力があるから同じ轍は踏まないんだZE。

 でも何でモジモジしているのか分からない。ここは素直に尋ねよう。


「どうしたの?」


「私、男の人と手を繋ぐの、初めてで……」


「わっ!!」


 逃げるように店を出る際、冬花ちゃんの手を取って連れ出してからずっと彼女の手を握ったままだった!

 慌てて冬花ちゃんの手を離そうとすると、ギュッ!! っと手を握られて離せなくなってしまった。しかも俗に言う恋人繋ぎに変えられて……。


「このままでお願いします!!」


 ハイ! ワカリマシタ!!



 そのまま心なしか嬉しそうな表情の冬花ちゃんにさり気なく誘導され、広い公園へ入ってベンチに座った。

 ファストフード店で飲み物を頼んだのにも関わらず俺の喉はカラカラだ。何かジュースを買おう。少し冬花ちゃんから離れて心を落ち着けたいっていうのは内緒だ。


「飲み物を買って来るよ、何がいい?」


「そうですね、それじゃあミルクティーをお願いします」


 そう言って冬花ちゃんは鞄から財布を取り出して開く。いやいやいや、女の子にお金を出させるなんてとんでもない! ましてや彼女は年下だ、ここは俺が出すのが当たり前だろう。

 さっきはファストフード店で待ち合わせしてて、先に冬花ちゃんが店に入ってたから会計は別だ。俺が買ったポテトを彼女も食べてはいたけど、それくらいは奢ったと言える範囲ではない。

 その理論で言えば自販機で売ってるジュースを買ってあげるくらい奢ったとは言えないよね。


「いいよいいよ、ジュースくらい買えるお金は持ってるからさ。無理やり店を連れ出してからずっと早足で歩かせちゃったから、そのお詫びだよ」


 お、今のセリフなかなかいいんじゃね? 気を遣わせず、そしてお金も出させずでスマートな言い回しだったような気がする! 自分でもよくこんなに口が回ったなぁと感心してしまったわ。


「ふふっ、そうですか? ではお言葉に甘えて」


 小首を傾げて笑う冬花ちゃん。これは惚れてまうやろぉ……、いやもう知らない間に惚れ切ってるんですけどね。好きだって言われた瞬間から彼女をバリバリ意識して常に頭の中は冬花ちゃんの事を考えてるんですけどね。

 今度は上手い事言えず、そんな可愛い冬花ちゃんに向かって小さく会釈をしてベンチを離れてしまった。こういう所だよなぁ、何で会釈なんだよ。手を振るとか一言冗談を言うとか他にあるだろう!?


 はぁ……、自分自身の行いでテンションが下がった。



 ベンチから少し離れてからスマホを取り出してSNSアプリを立ち上げる。そしてタイムラインを確認する事なく投稿する。




橘は俺の嫁@デレレテP:自分が嫌になるよね




 自分の今の気持ちをそのまま投稿する。割とよくする。いわゆる感情のアウトプットというヤツで、別に誰かから心配して欲しい訳ではない。

 それでも誰かが反応をくれる、時もある。今回はその時だったみたいだ。




Mt.フォーチュン改@デレレテP:そんな事より筋トレだ!




 何でだよw やらねぇよ。こうしてマイナス思考に陥った時に笑わせてくれる人がいると、少し気持ちが楽になるんだよなぁ。




な2の3ち@小説家になりたいな:そんな事より告白の返事したの?




 あ、そうだった、告白に対する返事しないとダメなんだった! その為に待ち合わせ場所をファストフード店にしたのに、冬花ちゃんの塾仲間が来た事とか店から出る時に手を握った事とかですっかり頭になかった。




橘は俺の嫁@デレレテP:まだ出来てないです。どうしよう……




 自販機に着いた。俺は何飲もうかな、と思いながらお金を入れると、ミルクティーが売ってない事に気付いた。ヤバイ、どうしよう! ミルクティーがない!! 繰り返す、ミルクティーがない!!




橘は俺の嫁@デレレテP:ミルクティーがない!!


Mt.フォーチュン改@デレレテP:何だよ突然www ミルクティーと告白関係あるの?


橘は俺の嫁@デレレテP:今女の子と公園に来てて、ミルクティーが欲しいって言われたのにミルクティーがない!!


な2の3ち@小説家になりたいな:デート中ですね、分かります


Mt.フォーチュン改@デレレテP:テンパり過ぎだろw ミルクティーがないならカフェオレを買えばいいじゃない


橘は俺の嫁@デレレテP:でもコーヒーダメかも知れないし




 冬花ちゃんはファストフード店ではオレンジジュースを飲んでいた。ミルクティーがないからってさっき飲んだばかりのオレンジジュースを飲めっていうのは違うような気がする。気遣い出来ないのねって思われたくない。




な2の3ち@小説家になりたいな:カフェオレとお茶を買って、ミルクティーがなかったから好きな方選んでって出せばいいよ


Mt.フォーチュン改@デレレテP:それだ!!!




 そんな高等テクニック知らないよ!? でもそれ採用。よし、いいねだけ押してカフェオレのボタンも押す。ガタンと出て来たカフェオレを取り出して、続けてお茶のボタンも押す。ガタンと出て来たのでまた取り出して来た道を戻る。


 早足で歩きながらスマホを見ると、オッサン2人はまたあの子からいいねが来たとか話しているようだったけど、歩きスマホはよくないのでポケットに仕舞う。

 少し時間が掛かり過ぎた。冬花ちゃん1人ベンチに残したままだ。変な男に声掛けられてなければいいけど……。



 あ、しまった! セルフフラグ立てしてる!!

 俺はベンチを目指して猛ダッシュで駆け出した。



次話は明日7時に投稿予約済みです。


合わせてよろしくお願い致します。

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